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悪役令嬢の私との婚約を、王子が破棄しないと私は断頭台に直行なのよ  作者: 田中 まもる
第七章 悪役令嬢マリア、大魔術師ルーメンを罠に嵌める
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032 悪役令嬢マリア、母上の謝罪を初めて聞く

「ガンダルフ様、ネルー様、無礼なことを申し上げたことをお詫び致します」


 私は母上が謝罪したのを初めて聞いた。


「現在、王宮内外で敵、味方の判別が困難な状況です。魔獣は王宮の魔法使いが全員で結界を張っており、王城には近付けませんが、魔法使いの魔力の消耗が激しく、それほど長くは持たないと思われます。また王城を守る兵士が突然同僚を斬ることが相次ぎ、しかも、その兵士は剣で斬られても刺されても平気。結局鎖で拘束する以外の手立てがなく、王宮内は恐慌状態でございます」


「国王陛下、王妃は王家秘蔵の魔力封じの結晶が置かれた部屋、多重結界が張られた部屋から出ることが出来ません。それゆえ、どなたにも会わせることが出来ません。このことは極秘事項で、現在、王都、王宮内の指揮はハインリヒ王子がとっておられます」


「国王なら兵士を率いて魔獣退治にあたるのが本当なのに、自分たちだけが安全なところにいるなんて、最低だわ」


 ネルーさん、正論ありがとうございます。


「本来であれば、そうなのですが、国王陛下の体に敵が憑依ひょういすると魔法使い全員が言うので、今回の措置になりました」


「しかしながら、ハインリヒ王子は退魔の聖剣と聖鎧を着用して奮闘されておられます」


「マリアの母上殿、その退魔の聖鎧は三日もすれば、結界が裂けるので、ハインリヒ王子にそう伝えておいてくれ」


「魔封じの結晶も聖剣も聖鎧も俺が作った物で、ルーメンにしてみれば、オモチャにしか過ぎない」


「ネルーがあの島に居座ったお陰で、ルーメンは半分も魔力が補給出来なかったので、王国はまだ滅んでいないだけだ」


「ガンダルフ様、私たちはどうすればよろしいのでしょうか?」


「マリアの母上殿、聖剣は二本あるはず、一本をアメリーに渡して魔獣退治。マリア、俺の鞘に付けられている宝石をグラントに渡せ、簡易結界が張れる。グラント、アメリーを屍人から守れ」


「了解しました」


「ガンダルフ様、必ずアメリーを守ります」


「男を見せろ、グラント」


「ガンダルフ様、王家に伝わる聖剣は一本でございますが……」


「初代、国王の像が腰に帯びている、剣を外してここに持って来るが良い」


 母上、自らが取りに行った。あり得ない。母上が人の指示を素直に聞くなんて。


 母上が石像が帯びていた剣というか、石の彫刻を持ってきた。


「マリア、俺に魔力を寄越せ」


 私はガンダルフに魔力を譲渡した。石の彫刻の剣は輝き出して、ちゃんとした剣になった。

「この剣で斬られたものすべて、ゲヘナの炎で焼かれる。とは言え制限時間付きだ。三日間で、アメリーすべての魔獣を退治せよ」


「三日間で退治出来なければこの国はルーメンのものになる」


 アメリーとグラントはさっそく二人そろって魔獣退治に出かけた。なんとなくだけど、デートって雰囲気がする。不謹慎だった。


「ネルー、俺をマリアに渡せ、マリアと俺は王宮内の屍人退治だ」


「ガンダルフ、ワレ、いえ、ワタクシはどうすれば良いのかしら?」


「ルーメンから俺たちを守れるのは誰だろうな?」


「ワタクシしかいないわね」


 ネルーさんが軽くブレスを吐くと、王城は一瞬で灰になるから、ネルーさんって細かい作業にはとっても不向きだったりする。



 マリオネット化した兵士に斬られた者はマリオネットになるって、B級ゾンビ映画そのものに王宮内がなりつつあった。


「ガンダルフ、誰もネルーさんを襲わないのはなぜなの? 私には群がって来るのに」


「ネルーは人間ではないからな。マリオネットは襲わない」


 私はシャルロッテが住んでいる、離宮に向かっている。私はシャルロッテが何らかの方法で、隠居中のルーメンを呼び出したと思っている。



「さすがは逸材、ちゃんと多重結界が張ってある」とガンダルフが言う。私の中での疑惑が確信に変わってきた。


「ワレ、いえ、ワタクシとしてはピリピリするくらいの結界ですけど……」


 ドラゴンがピリピリする結界を人間が張れるのって凄くないかしら。私には無理だ。


 離宮に入った。護衛の兵士は全員石像化している。侍従も侍女も皆んな石像になっている。


「これなら、誰もマリオネットにはなれない。よく考えたものだ」


「シャルロッテ、無事」


「マリアなの? 食べ物は持ってる?」


 こう言う状況下で、食べ物持ってると聞かれるとは思わなかったよ。


「非常食を二日分」


「中に入って、私って生活能力がゼロだったのを思い知ったの!」


 中に入ると、ベッドに腰掛けたシャルロッテが髪もとかさずに、青白い顔で、私を見つめていた。




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