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030 悪役令嬢マリア、スライムを見て気持ち悪くなる

 ガンダルフの案内で、て言うか傀儡くぐつ師ルーメンは俺はここにいるぞアピールをしているので、ルーメンのところに向かった。そこで見たものは、真っ黒なスライムだった。


「なあ、人間をやめてスライムになってるだろう」


「ルーメン、久しぶりだな。ガンダルフだ」


「ガンダルフ? ただの鉄剣に吸い込まれた、間抜けな魔術師か」


「お前こそ、気持ち悪いスライムになんぞになりやがって」


「人間はダメだ。エルフもダメ。寿命がある。その点スライムには寿命がないので、乗り移る必要がない。極めて合流的な存在だと言う結論に達した。もし、人間体をご希望なら人間体になってやっても良いぞ」


「ルーメンは国王陛下の姿になった」


 こちらを向くことはなく、相変わらずドラゴンと睨み合っているけど。


 ドラゴンは一ミリも私たちに加勢してくれる様子はない。つまり勝算がゼロ。


「俺はご覧通り今はちょっと手が離せないので、コイツらと遊んどいてくれ」


 地面からスライムが湧いて出て来た。


「アメリー、グラント、剣にありったけの魔力を注げ。魔力切れになったら、マリアの後ろに入れ。俺がお前らを守る!」


「了解」


「承知しました」


「あのう、ガンダルフさん、私は?」


「魔力を温存してくれ。それだけだ」


 アメリーもグラントもスライムを一刀のもとで消している。スライムは雑魚モンスターに見えるけど、絶対に違うと思う。二人がめちゃくちゃ強いだけだ」


 アメリーが私の後ろに入った。グラントも。私は多重シールドで防御に徹する。シールドにスライムが貼り付いて、気持ちが悪い。


 何となく、魔力を吸われている気がする。


「ガンダルフ、魔力を吸われているみたいですけど、どうしましょう?」


「元に戻せば良い。やり方はお前の頭の中に書き込んでいるので、よろしく」


 スライムの魔力を吸い上げるのって嫌なんだけど。やるしかないか。


 なんか気持ち悪い。毒を飲んでいる感じがする。


「お前はあらゆる毒に耐性があるから大丈夫だ。俺に感謝をしろ」


「ありがとうございます。ガンダルフ」


「礼には及ばぬ」


 こう言うやり取りが好きなんだね。ガンダルフは。納得したよ。


 アメリーとグラントは魔力が回復するとまた、戦闘に出る。


「あのう、あそこに狼の頭にヒュードラの胴体に虎の前脚をはやしたキメラの魔獣が」


「マリア、急げ、アメリーとグラントに魔獣の毒液をかけさせるな! 走れ!」


 私はガンダルフで狼の頭を切り飛ばした。斬り口からゲヘナの炎が燃え出した。前脚を落とし、胴体を切断して、私の任務を完了して、アメリーとグラントの魔力回復所になる。


「ガンダルフ、いつまでやれば良いの?」


「ルーメンの魔力が切れるまで。おそらく、ドラゴンはルーメンの魔力の供給元を断っている。逆に自分の魔力を蓄えている」



「ガンダルフ、王都でまた会おうぞ」


 ルーメンの国王陛下はそう言うと消えた。


 アメリーとグラントが戦っていたスライムも消えた。



 で、ドラゴンさんがこちらを睨んでいる。


「ガンダルフさん、ドラゴンさんが明らかにこちらを睨んでいるのですけど……」


「睨んでなどいない、ドラゴンは目付きが悪いだけ。あれが普通のドラゴンの顔だ」


 普通のドラゴンの顔なんて知らないし。


「ドラゴン殿、ルーメンを狩る邪魔をしてすまいない。こっちも仲間がやられて、多少の嫌がらせをしないと気がすまなかったもので。許してほしい」



「お前、ガンダルフか? なぜ鉄剣なのか? なぜワレの婚礼の儀式に来ない!」


「ええと、お前様はネルーちゃんかな。ずいぶん大きくなったなあ。いやあ、びっくりだぜ」


「ネルーちゃんはああ見えて女の子で、俺の元カノ」


「ワレはいつから元カノになったのか?」


「しまった!」


「ガンダルフ、キサマ、浮気をしていたのだな。許さない!」


「ネルーちゃんは今カノです。言い間違えました!」


「僕は、この通りの鉄剣なので浮気なんて出来ません。手も足もありません。ですので自分の意思では動けませんし、第一鉄剣を好きになる女性はおりませんです」


「そう言えばそうだよな。ワレとしたことがハシタナイマネをした」


 照れているらしいのだけど、威嚇されている気分にしかならない。


「良かった。死ぬかと思ったよ……」とガンダルフのつぶやきが聞こえた。


「ガンダルフ、あなたドラゴンさんと恋愛してたの?」


「今もしてるぞ! ネルーちゃんは人の姿にもなれるんだ」


 ネルーさんが睨んだように見えた。


「ガンダルフ、お前を背負っているチビは何者か?」


 私はドラゴンさんに比べたら、アリんこ以下です。


「ネルー、俺の弟子だ。安心しろ。婚約者持ちだ。でもって俺を倉庫から救い出してくれた恩人でもあり、現在は俺の手足だ」


「ところで、ネルー、今まで放置していて、厚かましいのはわかっているのだが、俺たちはこの島から出られない。ルーメンが王都に向かったようなので追いかけたいのだが……」


「ガンダルフの言うことはわかった。しかし今は待ってほしい。ワレは食事中なのだ」


「食事中って? ガンダルフ、ネルーさんは何を言っているの?」


「この島にはあちらこちから魔力が集まって来る。ネルーちゃんが腰掛けているあの山頂から魔力が吹き出している。ネルーちゃんはその魔力を補給している。つまり食事中というわけだ」


 そっか。魔力って口から補給するんじゃないんだ。私は、それ以上のことは考えると危険なので考えないことにした。

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