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027 悪役令嬢マリア、無人島生活を送るその3

 先生方の巡回の結果はキメラの魔獣は島にはいない。サバイバル生活を続行するようにとの指示が出された。


「ねえ、グラント、魔獣が現れた場所に行ってみたいのだけど、良いかな」


「三人一緒なら良い」


「では、三人そろって見に行きましょう」



 Bクラスの元キャンプ地に着いた。誰もいない。燃えたテントの残骸ざんがいが残っているだけ。


 地面には大蛇の胴が擦れた痕とこれは虎の足跡だろうか? グラントが燃えたテントの中に何か私見つけたみたいだ。


「アメリー、マリア、ちょっと見て」


 地面に魔法陣の跡が薄っすら残っていた。かなり複雑な魔法陣であの五人組にはまず描けないと思う。


「これって転送の魔法陣かしら?」


「色々と余計な模様を描いているので、転送、転移の魔法陣かどうかはわからない」


「アメリー、わかる?」


「これたぶん、転送の魔法陣ではないと思うの。土と水の記号が反対を向いているから、おそらくだけど」


 さすがは、ハインリヒ王子がいなければ、学年トップのアメリーだ。私にはまったくわからない。


「コイツはすげえ、太古の魔術が使える奴がいるぜ」


「ガンダルフ、あなたこの魔法陣を知ってるの?」


「俺が発見した魔法陣で、教えたのは二人だけ。アインザックとルーメンだけだ」


「これは何の魔法陣なの? ガンダルフ」


「拡大の魔法陣だ。突然消えたのは、魔力供給源が魔力切れを起こしたから、元のサイズに戻った」


「魔獣はまだその辺にいるんじゃないか……」


 アメリーの顔の色が悪くなった。


「ガンダルフ、術者がいなくなったから、もう現れないのでは?」


「俺が仕掛け人だったら、スペアのそのまたスペアを用意しておく」


 まあ、そうだよね。今回はあの五人組だから想定外のことが起こったとみるのが良いかも。なにせ、元私の取り巻きだもの。



「Bクラスはほぼ全員リタイアをした。残っているのは、マリアとグラントと単独行動中の奴らだけだ」


「Bクラスで、単独行動ってムチャです。王子」


「グラントの言う通りだが、そいつらはシャルロッテに魅了されている。自分の意思で単独行動をしているとは俺も思ってはいない」


「Aクラスは、俺を嫌っている奴、二人が単独行動中だ。とは言え奴らがシャルロッテに操られているとは考えずらいが……」


「今から国軍参謀本部本部長としての発言だ。グラントよく聞いておくように」


「了解です。本部長」


「王都に、戒厳令が出された。魔獣が王都に出現する可能性が高いという理由だ。クレール家には疾風のイライザに出陣してもらった」


「父上ではなく母上ですか……」


 父上がヤサグレているだろうなあ。


「マリアの母親は魔獣にも詳しいから。国王陛下直々の要請だ」


「で、ここに現れたキメラの魔獣だが、Bクラスがキャンプをしている範囲から出なかった。隣でキャンプをしていた俺たちの方に近寄っても来なかった。明らかに誰かが操っている」


「ハルトムートに操っている奴の居場所を探らせたが、島全体が強烈な魔力で覆われていて探知出来ずだ」


「ハルトムート、お前の考えはどうだ」


「この島には何かが仕掛けられています。魔獣もそうですが、魔力の痕跡がまったく辿れません」


「私としては、その何かが判明するまで戦術的に撤退するのが一番だと思われます」


「というのがハルトムートの考えだ」


「ハインリヒ王子、魔獣が一頭だとは考えずらいです。マリアと僕とアメリー以外は、ハルトムートが言うように全員、撤退した方が良いかと愚考します」


「確かに愚考だ。俺まで逃げろとはな」


「しかし、明らかにこれはハインリヒ王子とマリアを消す罠です」


「さっきの暗号文によると国王陛下も安全ではないようだ」


「シャルロッテ様だけでは無理です」


「ああ、王弟派の残党が力を貸している、それと未知の勢力もだな」


「俺が王都に戻れば、連中はこの島に総力戦をし掛けるかもしれんが良いのか?」


「お前たち、死ぬぞ」


「ハインリヒ王子、僕たちを甘く見てませんか?」


「食い破る自信があるみたいだな。グラント」


「ハルトムート、Aクラスは徹底する」


「教師のところに行ってリタイアの手続きをしろ。俺は王都を守護する」


「グラント、アメリーはAクラスなんだけど……」


「アメリー、どうする」


「私はマリアとグラントの仲間ですから、残ります!」とアメリーは笑顔で答えた。


「ハルトムート、ついでに単独行動中の連中に狼煙のろしを上げろ。Aクラス全員、リタイアする旨の狼煙を上げておけ。後々文句は言わせないためにな」


 Bクラス、ついでにAクラスもリタイアすることになったためCクラスもリタイアを選択した。先生方は私たちにもリタイアを宣言するように言ってきた。しかしハインリヒ王子が、私たちが仕掛けた奴らを罠に嵌める餌だと言って、私たちは島に残ることになる。


 本当に釣るための餌だったりするのだけど……。


 ちなみに先生方も王都が戒厳令下に置かれたことを知って全員、島から離れることになった。


 この島に残るのは、私たちとBクラスの単独組五人とハインリヒ王子の指示を無視したAクラスの単独組二人だけ。


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