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chapterⅧ allowance -斟酌- Ⅰ

脱落した蓮のその後、そして竜と桃の前に 竜の元カノが登場しちゃう お話です。


「くっそ……何者だアイツは――まさか一撃で……」

蓮は――体力は20%以下になっていたが、死んではおらず……

先程背後から自分を襲ったプレーヤーを思い返す。

完全に気配もなく、いきなり襲撃され……避けようもなかった。


「お疲れ様☆ ふふっ♪ 強いでしょ~シーフの“彼”」

「創造者……!」

そんな蓮を――

自室に強制移動させた昂は微笑みながら見下ろす。


「まぁ普通に“彼”とやっても

 今の蓮じゃあ勝てるはずはないんだよね~」

「あんなチート級の強さのプレーヤーがいるんなら

 初めから結果は決まっていたという事か……」

「さぁね~♪ でも彼のさっきの技、すっごく魔力がいって

 プレーヤーから魔力回復アイテム盗みまくって

 よーやくできたから次はもうできないと思うけど」

「……終わったなら、俺は帰るぜ」

「……君は帰っちゃダ~メ☆ 見届けて欲しいんだ、最後まで

 ほら、今の状況――このモニターから見せてあげるからさ!」

そして――各プレーヤーがいる場所を映したモニターを蓮に見せる。


「どうせさっきの奴が勝つんだろ?」

「……さぁ?“彼”は、どうするだろうね♪」

「……??」

「残っているのは椿ちゃんと竜君、

 そして彼と綾ちゃん……さあ、どうなる事やら☆」

昂は意味ありげに微笑んだ……




「……!? やべっ……!!」

「竜……!?」

一方桃のパラメーターが消えた瞬間、竜は上空から襲撃を受ける。

しかし――とっさに風のバリアを張り、攻撃は免れた。


「……あっぶねー……つーかこの魔法は……」

「私の魔法よけちゃうなんて、さっすが~☆」

「やっぱりてめぇか……綾……!!」

「えっ……??」


竜が睨み付けた先……上空から――1人の魔女が現れる。

竜や椿、蓮や碧とも面識のあるプレーヤーの1人、綾だった。


「えっ……? “アヤ”……? 竜の知り合い……?」

「竜、おひさ~☆ 元気だった~?」

「……お前は――相変わらずみてぇだな」

「ふっふふ~♪ 驚いたぁ? 私が組んでたシーフさん、

 激強でぇ……蓮の事やっつけてくれたんだぁ☆」

「――てめぇと組んでる奴が蓮をやったのか……」

「……? この二人顔見知りなの……?」

「ああ、あなたは初めましてだね~

 初めましてぇ♪ 竜の元カノ・綾で~す☆」

「ちょっ……綾!?」

二人が会話を進める中、面識のない桃に綾は楽しそうに挨拶をした。


「元カノってアンタ……??」

「昔の話だ! 昔の!!」

「私達それぞれがぁ――魔力の譲渡のお互い“初めて”の相手♪

 昔はい~っぱい譲渡し合ったのよねぇ、それでお互いキステクも

 レベルア~ップ!みたいなぁ☆」

「へぇー……それでどうりで……やけにキス上手いのは

 この子といっぱいやったからなんだ……この変態キス魔ー!!」

綾の挑発的な言葉に、桃は嫉妬心から言い放ってしまう……


「おい綾! 変な事言うなぁ!!」

「はは~ん、あなたが竜の今カノぉ?」

「違うわよ!」

「へ~自分からキス、してたのに? 彼女じゃあないんだ、あなた」

「えっ……!?」

「……! お前、見てたのかよ……」

「まぁお情けで攻撃はしないであげたけどぉ。私ってば優し~☆」

綾は2人のやり取りを見ていたようで――楽しそうにひやかす。


「あれは……! 勝手に助けたコイツに魔力返す為で!

 仕方なかったの! 仕方なかったんだから!!」

「あっははははは!! やっぱそーだよね~

 あくまで魔力の譲渡は魔力を返す――手段の1つだもん♪

 特別な意味なんてない、特別な感情も必要がない、

 ワンクリック感覚の――魔力のやり取りでしかない」

「……!!」

「それに――この世界での人間関係なんて、

 この世界でしかない関係よ? 本気になるだけバっカバカしい!

 私達みたいに壊れるのがオチなのよ……

 どーせ1時間で魔法は解ける……現実世界に戻される……!」

「……っ……」

今は強制イベントで解除されているが……

この世界には、原則1日1時間しか存在する事ができない。

竜や桃は――忘れていたかった、その事実を突き付けられる。


「そもそも、あなたも――勘違いとか期待、しすぎない方が

 いいわよぉ? 竜は誰にでも優しいし。

 それに貴方、私の事、竜から何も聞いてないみたいだし

 竜がどんな人間かも詳しくは知らないんじゃないの?

 そのくせに――竜の事、分かった気になってるんじゃない?」

「それは……」

桃は――綾に言われて自問自答する。

自分は――竜の何を知っているのだろう?

自分は――竜をどの程度知っているのだろう??


「竜は――全てを教えてはくれない。私と付き合うまでに、

 付き合ってからも――言ってくれてない事もあった……

 そして――目的の為なら手段は選ばない。……今だって――

 確実に勝つ為に魔力が少ないふりして――油断させようと

 してるけど、知ってるんだから……シーフさん

 魔力回復系アイテム、竜の分は――全部は奪ってないってね!」

「えっ……!?」

「……!!」

それを聞いた竜と桃は――顔色が変わる。


「……私、てっきり……2人共魔力回復薬がなくなったから

 譲渡にするしかなかったんだって思ってたけど……

 竜は魔力回復のアイテム、持ってたんだ……

 だったら、どうして椿ちゃんにキスで魔力渡したの?」

竜が椿にキスをしたのは――魔力を回復する為に、他に手段がない

から、仕方なくやった事だと信じていた。でも――綾の言葉を

聞いた桃は竜を問い詰める。

「……それは――」

「アイテム渡せばすんだ事なのに……どうして――」

「……確実に勝つ為に、自分用にアイテム温存したかったからだ」

「……それも竜にとっては、戦略……なんだ……竜は――

 勝つ為なら、本当に何してもいいって思ってるんだ……!!」

「あっ……!!」

桃は思わず姿を消す――……


「は~♪ これで邪魔な子はいなくなった、いなくなった~☆」

「綾……てめぇは……何が目的だ?」

「――ムカついたのよ、この世界は現実じゃあないのに

 どーせ“私達”の関係みたいに壊れちゃうのに……簡単に

 現実のものにできる、みたいに――夢見ちゃってるみたいな

 アンタ達が。そんな幻想――私が壊してあげる!」

「……それは自分の考えの押しつけだろ?

 本当に変わってねぇな、てめぇは」

「あはははは!! 竜も変わってないわねぇ……

 本当に哀れ……! じゃあ――勝負よ竜!」

そして綾と竜は――攻撃態勢に入った。

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