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chapterⅥ linkage -連関- Ⅱ

色々めちゃくちゃな、心を持った碧の強化データが活躍?するお話です。

そしてBATTLE CHARACTERSの世界――


「お久しぶりです、レイナさん! 本日は――僕の為に

 都合を合わせてくださって、本当にありがとうございます」


碧はレイナに頭を下げる。最近はお互いのプレイ時間がなかなか

重ならなかったが、メールでお互いの予定を確認し、調整する事で

碧が強化データに乗っ取られて以来久しぶりに碧とレイナは再会した。


「碧の為、だけじゃないし……なかなか都合が合わなくて

 遅くなってしまったし、気にしないで……それにしても……

 上手く話せると良いのだけれど……」


碧とレイナは考える――今から召喚する碧の強化データの事を。

初めての彼の発動は創造者である昂による強制的なものであり、

その時は碧を傷付けたプレーヤーだけではなく、碧に危害を

加えていない者達も平気で襲っていた。


レイナが彼を碧に戻す時は――彼が苦しんでいる事もあって、

レイナは何もされなかったが……万全の状態であったなら、

彼はレイナに襲い掛かる可能性もあった。


「……レイナさんが危ない目に遭った時、僕は何もできない……

 というか、僕の体を強化データ君が乗っ取るので

 むしろ僕が、レイナさん危ない目に遭わせてしまう事になるのは

 申し訳ないです……」


碧は思い出す――初めて強化データを強制的に発動された時の事。

自分の体のはずなのに、自分の意志で動かせなかった。

強化データが発動したら、自分の体を操るのは強化データ。

自分は何もできずに、ただ動かされるだけ……


「むしろ、碧の方が――怖い、でしょ?」

「え……?」

「あの時も……あの強化データと同じように、苦しかったのよね?」


碧が強化データに体を乗っ取られている間は、強化データと感覚を

共有している。強化データが苦しんだら、碧も苦しい思いをするのだ。


「苦しい事、よりも……僕が怖いのは――僕がどうにかなるより、

 暴走した強化データ君が誰かを傷付けてしまう事……です……

 だから、もしレイナさんが――……」

「でも――それは発動しないと分からない事よ。私の力でなんとか

 できるかもしれないし、本当に死ぬ訳じゃないし、そういう時の

 為にセーブも使っているのだから。まぁ最初は前に話した通り

 念の為発動した瞬間に身も隠すけど……通用しなくて襲われるよ

 うな事になっても、その時は、安心して私を殺してくれて いいの」


自分が、レイナを殺してしまうかもしれない。

……躊躇する碧に、レイナは憶する事なく答える。


「それは嫌です!! でも……ううぅ……」

「本当、よくその強化データの為に、自分の体を貸せるわよね」

「彼は――僕の体を乗っ取らないと、自分の意志で行動する事が

 できない……そんなの哀しすぎますから……」

「優し過ぎるのも問題よね……でも、これ以上迷っている時間が

 もったいないわ。あの子の為にも――」

「……はい、そうですよね……彼にも、この世界を楽しんで

 もらう為に――ご迷惑をおかけする事になると思いますが、

 よろしくお願いします……!!」


その言葉を聞いたレイナは――いつものRPGキャラから姿を変え、

2代目である天使の姿のRPGキャラに姿を変える。


「……じゃあ、外すわよ?」

「……はい……」


そうしてレイナは碧の左耳のピアスに触れる――ピアスを外す事。

それが、碧の“強化データ”である“彼”を発動させる為の条件……。


「……レイナ、さん……」


ピアスを外そうとするレイナの手を、碧は手で包む……

その手は震えていた。


「……信じなさい、私と……彼を――念の為、最初は距離を

 置くけれど、ちゃんと話せたら――その時は、前に一緒に

 聞きたいって言っていた、“あの事”も――……」

「――!! はいっ……!! ありがとうございます……!

 そうですね、その事も――楽しみにしています!

 では――よろしくお願いします……!」


不安がる碧をなだめるように手を握る……そして――碧も、

改めて意を決する。……レイナは碧のピアスを外した――



そしてピアスを外した瞬間、碧は黒い光に包まれ――強化データが

召喚された。その瞬間、レイナは即座に彼と距離を取る……


「ハーハッハッハッ! 俺様召喚~☆ キタキタキター! いぇーい♪」

「出た……黒碧(仮)……」

黒碧の笑いや楽しそうな様子を ――レイナは木の陰の高い位置隠れて

更に姿を隠す結界を張って見守っていた……こういう時に空を飛べる

上、姿を隠せるRPGキャラだと、避難するのに便利であった。


「ってぇ!? おい!! レイナどこだレイナ! 俺様が召喚されたって事は

 どっかにはいるよな!? え?まさかの放置プレイかよおぉぉい!!

 そんなの淋しいぜ! なぁ!! 俺様と語ろうぜ! レッツトーキング!!

 レイナぁぁおぉぉい!!」

「……よっ……呼ばれてるけど、これは行って大丈夫なのかしら……」


彼の言葉から――おそらく、自分と話したいだけのようだった。

だが……警戒心から、すぐに姿を現す事はしなかった。


「もぉぉぉ! これは俺様を疑ってるな~!? まっ前科持ちだから

 仕方ねぇかな! てへぺろっ♪ でもでもでも! きっと――

 俺様のデータ、分析☆ ――よぉし!!レイナなら――多分!」

「えっ……!?」


完全に姿を隠しているはずだった。……しかし、強化データは迷う事なく

レイナが隠れる方向にまっすぐ向かってきたのだった。


「レイナぁ! 見つけたぁぁ!!」

「嘘っ……こんなに簡単にバレるものなの……!?

 それにこの子も飛行能力!? 速っ ……!!」

「つ~かま~えたっ☆」

「……!?」

そしていきなり――

強化データは、正面からレイナに抱き付いたのだった。



「ちょっと貴方!? なんで抱き付くの!?」

「え? 感動の再会~! ってこういうもんなんだろ!?

 ほらほらレイナも抱き締め返してくれよ!

 セオリー無視されるとさぁ、俺様ショッキングだぜ!」

「しないわよ! それ絶対間違った知識よ!?……というか、そもそも

 感動の再会するような間柄じゃないでしょ私達……この前会ったのが

 初めてだし、それにその体――碧の体なんだから、碧が困るような

 事はやめなさい」

大人しくて自分から女性に抱き付く碧の姿が想像できない

レイナは――強化データを諭し、冷静に体を離す。


「え? 碧、困るのか? むしろレイナのでっかくてやわらけぇ

 おっぱいの感触とか――っていってぇぇぇ!!」

強化データの言葉の途中、

羞恥心から、レイナは思わず――強化データの頭を殴ってしまった。


「……碧の体でそういう事言わないでよ!?……ってしまった……!

 その体、碧も感覚共有してるって事は……碧、聞こえているかしら

 ……碧は悪くないのに、殴ってしまってごめんなさい……」

レイナは、強化データと感覚共有している碧に申し訳なさそうに謝る。


「……って!? 俺様には!? 俺様には謝罪の言葉なしかよ!?」

「ある訳ないわよ!……どうしたら貴方1人だけダメージを

 与えられるのか、創造者に聞いておけば良かったわ……」

「ひっど! でも残念でした~♪ それは無理!絶対無理だ!!

 そんなの存在しねぇ! 天才の俺様が言うんだから間違いねぇ!!」

「それは……残念ね」

得意気に言う強化データに対し、クールなレイナでも

目に見えて分かるように残念そうな様子を見せる……


「……ってぇぇぇ! ガチ凹みすんなって! 傷付く!

 傷付くから俺様! 俺様のハートブロークン!!」

「アンタは繊細な碧と違って図太そうだから心配いらないわ」

レイナは呆れて、強化データに鋭い言葉を放った……。

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