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chapterⅢ out of control -暴走- Ⅳ

碧の体を乗っ取った強化データと蓮が戦う一方、椿達は…。


2023年最後の投稿です。2024年も引き続き 週に1回投稿予定なので、お時間があって興味を持ってくださった方はよろしくお願いします!

「なかなかやるなぁ……お前っ!! 殺し甲斐があるってもんだぜぇ!!」

一方、碧の体を乗っ取っていた剣士は

蓮との互角の戦闘を楽しんでいた――

「コイツ強いっ! 創造者が力を与えたから……当然かっ!!」

なかなか倒す事ができない……蓮は強敵に焦っていた……


「……そういえば、苦手なんだっけなぁ……血。」

「……っ……!?」

その言葉を聞いた蓮の表情が歪み、動きが鈍る――

容赦なく、剣士の刃が襲い……蓮の腕に傷が付く。


「図星かよ……こんなに綺麗な色なのに、トラウマ……なんだっけ?」

「!? ……てめぇ……俺の事を……どこまで知ってる……!?」

「……てめぇの事はよーく知ってるぜ? 創造者にとってこれほど――

 良い意味でも、悪い意味でも、ここまで『特別』な人間は限られて

 いるみてぇだしな……『現実世界』』での創造者との関係、

 そしててめぇは現実世界の創造者をし――」

「黙れっ!!」

蓮は剣士の言葉を――大声で打ち消す。


「……現実世界じゃあ簡単に元には戻らねぇらしいなぁ……

 こっちじゃあ回復魔法やらアイテムやらで戻るらしいけどよぉ……

 まぁ現実世界の体が存在しない俺様には縁のない話だけどな……

 てめぇがこの世界で戦う理由……願いってのも知ってるぜ?

 確か――創造者にゆ……」 

「黙れ……黙れ!!」

「……自分で聞いておいて勝手な野郎だなぁおい! ……まぁいい……

 おしゃべりしながらのバトルもあきてきた……もっと見せろぉ!!

 血を……血をぉぉぉ!!」

血を求め、荒れ狂う剣士の攻撃は―更に勢いを増す……


「くっ……!!」 

このままでは、負けてしまうかもしれない。

こんな事になるのなら……一度でもセーブを使っていれば……

更に二人の戦いの激しさは増す――


「もらったぁ!!」

剣士が叫んだ瞬間、鋭い刃が蓮を襲う――


避けきれねぇっ! 

――死ぬかもしれない……


そう悟った瞬間、刃が彼を貫いた――




「……蓮さん?」 

椿は嫌な予感がした――

さっきの話を聞いた椿は、蓮がもしセーブを使わずに

死んでしまったら――初期化してしまったら……心配でたまらない……


蓮を助けようとした時の言葉――

『……自業……自得……か……さっきの奴も……俺……も……』

確かにそう、言っていた――今になってみれば、セーブを使わずに

死にかけた自分に対する、後悔の言葉だったのかもしれない……


そして、椿に必死でお礼をしようとしたのも……

蓮の初期化を椿が食い止めたからかもしれない……

おそらく蓮は初めて椿に会った時、セーブは使っていなかった。

そして今は――? あれから一度も会っていないから……わからない。

でも、竜と同じく今もセーブを使ってないとしたら……? 

心配でたまらなかった――

だが、桃を助けた竜の治療の為に駆け出す事はできなかった……


「……どうして……??」

そして椿はもう1つ――心の中で、大きな疑問が浮かんだ……

「……どうして……竜さんの傷――こんなに回復遅いの……??」

椿は以前、瀕死の蓮を一瞬にして治している……。

それにも拘わらず――今、何分もかけて回復魔法を使っているにも

拘わらず――竜の意識は戻っていない……傷口の血は止まったものの、

まだ、軽視できない状態だった……。


「どうして……? 桃ちゃん……ごめんね……まだ……かかりそう……」

「そんなっ……謝らないでっ……!」

焦っちゃ、ダメ……蓮さんなら、絶対大丈夫……

今は竜さんが優先……椿は心の中で、何度も何度も繰り返し

胸にある、不安を打ち消そうとした――

集中しなきゃ……竜さんは、大切な友達を助けてくれたんだから……!! 

中途半端に投げ出したくない……そんな、想いが渦巻く――


「……椿ちゃんっ……!!」

「……? 桃ちゃん……??」

桃はいきなり、真剣な表情で――椿を見つめた。

「ここは良いからっ……椿ちゃんは、蓮の所に行ってきて……!!」

「……!? ……だめだよっ! ……竜さんが――」

その言葉に、椿は焦りを隠せなかった――

抑え込んでいる自分の秘めた想いを、見抜かれたようだったから……。

事実、桃は椿の想いを汲み取っていた――


会う事を願っていた人が、近くで戦っている……

今すぐにでも助けに行きたい、という気持ち――

「椿ちゃんのおかげで一命は取り留めたから、後は私一人でもできるよ」

「! ……でも回復魔法って確か……」

僧侶系以外のRPGキャラは、他人に対する回復には

かなりの魔力が必要だ、と椿は桃の口から聞いていた。


「少し位なら、なんとかなるよ……それに私の責任なんだし……

 椿ちゃん、今回逃したら次は――いつ蓮に会えるか……

 わかんないんだよっ!? 好きなんでしょっ!? 蓮の事――

 だったら速くっ……!!」

桃は思わず、大声で叫ぶ――

それを聞いた椿は静かに、立ち上がった……。

「ごめんね、桃ちゃん――ありがとうっ!!」

そうして、椿は蓮の元へ急いだ――

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