汝のビキニアーマーを愛せよ
ビキニアーマーが一番似合うのはアテナだと思います(懐古)
「勇者『あーあぁー!』よ! 魔王の驚異より月日が経てど、未だその勢力は衰えず! 貴殿の活躍を心より待ち申しておるぞ!!」
オッス! 俺は『あーあぁー!』だ。名前に六文字使える最先端勇者なのさ! 誕生日の召集に応じたら、王様より激励の言葉と支度金50Gを頂戴。これで魔王を倒せると思っている辺り、この王様の頭の中はハッピーだな。
「先ずは酒場にて仲間を集うのだ! さらばだあーっあぁー!よ!」
王様に促され、酒場へと赴く。俺は未成年だからミルクしか飲めないのさ。
「筋肉ダルマと巨乳魔法使い。それとセクシーダイナマイト僧侶を一つ頼む」
酒場にてバニーガール姿の受付嬢に注文を付ける。
「えーっと……少々お待ち下さいね」
バニースーツの胸の所が少し浮いている受付嬢が奥から人を連れてきた。まさか適当に行ったのに、居るのか? セクシーダイナマイト僧侶が……。
「…………バッカス……戦士だ」
THE・筋肉! と言わんばかりの100%筋肉なモリモリマッチョマンが俺の前に現れた。うむ、これならば問題無く戦力になりそうだ。うん、妙に生々しい頬の傷には目を瞑っておこう。
「アマンダよ♡」
THE・巨乳! と言わんばかりの100%ホルスタインが俺の目の前に現れた。うむ、これならば息子も大喜びだろう。
「ゴンスケだべ」
THE・酪農! と言わんばかりの100%農家が俺の目の前に現れた。うむ、やはりセクシーダイナマイトは無理か!
「以上になります♪」
バニーの受付嬢が笑顔で俺に言い放った。
「え? アレ僧侶なの?」
「んだべ」
ゴンスケが藁を刺す大きめなフォークを構えた。マジか…………。
仕方ないので、この四人でパーティを組むことにするか。
「さ、先ずは装備を整えないとな」
四人で武具屋へと向かう。支度金50Gで四人分を揃えられるのか?
「いらっしゃい! ココは武器と防具のお店だよ!」
メニューを出され、俺はその額に驚いた。
銅の剣 200G
棍棒 80G
革の鎧 150G
革の盾 120G
布の服 60G
「…………」
俺は言葉が出なかった。支度金50Gが本当に役に立たないのだ。
「買えねぇ……。オヤジ、他に安いの無いか?」
「去年流行ったビキニアーマーなら10Gだぜ!」
「それだ!! 五つくれ!!!!」
俺は有り金を全て使い切り、ビキニアーマーを五つ購入した。
「勇者殿、装備は買えましたか?」
俺は無言で戦士にビキニアーマーを二つ手渡した。
「これは……何で御座るか?」
「一つは着て、一つは武器にしてくれ」
巨乳魔法使いと酪農家にもビキニアーマーを一つずつ手渡した。
「ヤダァ。これ着るのぅ!?」
「あんれま! 新しい作業着だっぺか!?」
巨乳魔法使いがその場でビキニアーマーを着てくれた。実にサービス旺盛な人だが、股間がやけにモッコリしている点については、目を瞑っておこう…………。
「よし! 準備出来たな! レベル上げ行くぞー!」
俺はビキニアーマーと言うには柔らかすぎる布の服を握り締め、街の外へと出た。
スライムを布の服で締め付け圧殺してゆく。やべ、思ってたよりイケそう。
隣ではパツパツのビキニアーマーを着た戦士が素手でスライムを握り潰している。なんかシャバの空気が美味そうな顔をしているんだけど大丈夫か?
後ろを見ると、巨乳魔法使いが胸がパカッと開き。スプリングの効いたパンチを出していた。とりあえず見ない振りをしておこう。
更に後ろではビキニアーマーの酪農家が例のフォークでスライムを刺し殺していた。アイツだけ武器持ってんのおかしくね?
スライムの絞殺死体を築き上げ、レベルが上がったところで次の街へと向かう。お金も500G貯まったから、次の街で何か買えるだろう。
「オヤジ! 500Gあるぜ! 何か無いかい!?」
「いらっしゃい! ココは武器と防具のお店だよ!!」
三人を宿屋に残し、俺は辿り着いた武具屋で二度目の絶句をする事となる。
青銅の剣 2000G
鉄兜 2500G
鉄の盾 1700G
魔道服 1200G
「…………」
ブタの貯金箱満杯に貯めた500Gが、悲しく鳴いた。
「オヤジ……ごめん、買えねぇや」
「ほら……」
「え?」
カウンターに置かれた10個のビキニアーマー。
「革のビキニアーマーだ。全部で500Gで良いからよ」
「オヤジ……!」
俺は涙ながらにブタの貯金箱を粉砕し、オヤジから革のビキニアーマーを譲り受けた。
宿屋に戻った俺を出迎えた三人は、安らかな顔でビキニアーマーを受け取った。
「さ、モンスターを絞殺しに行こうぜ♪」
革のビキニアーマーはちょっと固くて絞めづらかったが、大きな魔物には効果的だった。