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4、論争と宝物

序章が終わると言ったのはどこのどいつだ?

「俺!?いやいや無理だって。俺は村の守り手だぞ。その勤めを果たさないと。」


「そんなことは重々承知しておる。その上で命じる。エレイン嬢の供として我らの声を届けるのだ。」


「いやいや、村を離れるなんて出来ないよ。」


 テッドは村長に反論するも、取り付く気配はない。


「あのー、先程から気にはなっていたんだけど、守り手というのは一体……?」

 

 恐る恐る手を挙げてエレインは問いかける。2人は話を止め、彼女の方へ向く。口を開ける村長を制し、テッドが説明に入る。


「ごめん、こっちで勝手に話し込んじゃって。守り手ってのは、村で一番強い男に与えられる勲章みたいなもののこと。それを持つ者は村を守る主導者としての役割を担うんだ。年に一度男達で闘って優勝した者に与えられるんだけど、それが今年は俺な訳。」


「ふーん、成る程ね。そういうことなら確かにここを離れるのはまずいわね。」


 王都まで行き、帰ってくるとなると、数ヶ月はかかる道のりだ。村を守るリーダーが、その様な長期間守るべき村に居ないのは些か問題だろう。


「よい。お主1人居ないところで、そう易々と魔物なぞにやられる我らではない。」


「いやいや、なにいってんですか。正に今日危なかったじゃないか!」


「元来魔物が柵を越え侵入してくること自体が稀じゃ。対策は取るし問題ないわ。」


 徐々に熱量を上げていくやり取りを止めたのは、ひっそりとした小さな来訪者であった。


「おじーさま、テッド兄、喧嘩は駄目なんだよ。」


「「ソル!」」


 孫のソルが部屋に入ってきた。2人を止めたソルはエレイン方に向き変える。


「こんばんは。僕はソル。エレインお姉ちゃん、村を助けてくれてありがとう。お礼にこれあげる。僕の宝物なんだ。」


 そう言って、ソルは両手で持っていた赤い箱からから宝物を取り出し、掴んだ手をエレインに差し出した。それは、ソルの手を広げた程の大きさで、無色透明ながらも部屋の光を反射してキラキラと光る、鉱物であった。


「ありがとう。凄く綺麗ね。それになんだか不思議な雰囲気……ってこれ、ヴォートクリスタルじゃない!?このサイズ見るの久しぶり!ほんとに貰っちゃっていいの?何にしよう!」


 受け取るや否や、目をキラキラと輝かせ、声を張り上げる。そして、両手に掲げて鉱物を眺める。


「ヴォート…クリスタル……?何それ?」


 聞いたのはソルであったが、この部屋にいる全員の疑問であった。


「魔力を封じ込められる結晶、それがクリスタルよ。中でもヴォートはすっごい珍しくて、それにこんなに大きいのはそう見つからないの!これくらい大きければ、そうね……、村の結界が作れるかも。」


「ほんと!あっ、でももうあげちゃったからなぁ。」


 ソルの言葉の後、半ば空気と化していたテッドと村長がようなく声を出した。


「結界作れんの!?マジで?」


「いやはや、お嬢さんには驚かされてばかりじゃの。」


「フフッ、安心しなさいなソル君、皆様!ガナット村の為に、一丁やってやりますよ!良い物くれたお礼って事で、思いっきり遊んでから返してあげるわ。というわけで今晩は失礼します。おやすみなさい。良い夢を。」


 言いたいことを言って、エレインは用意された客室へ去っていった。残された人たちは呆然としている。


「なんか凄いお姉ちゃんだったねぇ。えっと、僕もおやすみさない。良い夢を。」


 ソルも自分の部屋へと帰っていった。残ったのは村長とテッド。再び話し合いが始まる。


「もし、お嬢さんが結界とやらを完成させたのならテッド、お主の不安も解消されよう。」


「まぁ、確かにそうかもだけど、俺だってさ、覚悟決めて守り手やってる訳だし……。」


「お主の気持ちくらい、分かっておるわ。じゃがな、村の人手は足りておる。守り手としてお主の出来るお主なりの方法で村を守ってくれんかの?」


「……。」


「やってくれるな?」


「……はい。拝命いたします。」


 覚悟の決めた目で、テッドは頷いた。

会話多めですね。

今度こそ序章終わりますよ!

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