~おまけ~ あややとるいるいとあっきーと
午後8時50分、コンビニにて。
「―で?
何で俺らがコンビニで時間潰すんだよ。環を監視したいならお前一人でやれ。俺は帰る」
「いーからいーから☆
カンカンがちゃーんとはるるを優しくエスコートして一緒に帰るのを見届けなきゃ帰れないって!あややだってさっきから帰る帰る言って結局いるじゃーん」
(確かに帰るっつってコンビニ出てもスマホ忘れたとかで戻ってきて実際忘れてなかったし…。素直に気になるって言えばいいのに)
「ほらー!あっきーも素直じゃないな~って言ってんじゃん。そういうとこカンカンと同じだよねー!」
「言ってないから!思ってただけだから!」
「…お前と荻野は正直すぎるんだよ」
「とっところで何で相澤が五十嵐と一緒に帰るって分かんの?五十嵐のバイト上がる時間も分かんないし、本人も帰ったはずの相澤がいるとは思わないだろうし」
「それはね俺の計画書を見てもらえれば分かる☆」
「どうせこいつが環に一緒に帰るよう吹き込んだんだろう。五十嵐が上がる時間は直接本人に聞いた上で」
「もーっ俺が言おうとしたんですけどーっ」
「お前の話は9割が騒音で残りがほぼ雑音だから要点をつかむのがだるいんだよ」
「それ要点のつかみようなくね?」
(それでつかめる梅宮がすげぇ…)
「それじゃまるで俺の話がほぼ公害みたいじゃんっ」
「江崎ほぼってことは僅かだけど騒音と雑音以外の何かがあるってことじゃ…」
「なるほど!それはやっぱ優しさと愛だ「超音波だよ」
「ええぇっ!俺すげえぇっ」
(それ聞こえてないってことだ…江崎それ聞こえてない…喜んでるとこ悪いけど騒音の方がまだ印象には残るって…)
「えーと…そういや相澤はどこで五十嵐を待ってるんだろ。コンビニ寄らないっつって実はもう帰ってたり?」
「えええっそれやってたらないわーっ!もう引くねドン引きだね!どんだけヘタレなんだって!カンカンどっかで待っててくれー!」
「あいつなら多分走ってるだろ」
「「は?」」
「どこを?」
「まあこの近辺だろうな」
「いやなんで?」
「剣道馬鹿っていうかあいつはもはや筋肉馬鹿だからな。休みだと張り切って筋トレしてるぞ。まあスマホいじってるより体動かしてる方が余計なことを考えないで済むからじゃないか?」
「…そういうもんか。気合い入れてるって感じか」
「ま、そんなとこだな」
「あ!俺今からカンカンに気合い入れるわ!超音波で!」
「ああ、そうしてやれ」
(フリーペーパー見てる…今のは雑音だな…。返事するだけ優しいってことで江崎の読みもあながち間違いじゃなかった…)
午後9時10分。
「お!はるる発見!さてさて王子様もご到着~☆」
「…しないな。相澤がホントに走ってるとしてすれ違いにならなきゃいいけど」
「確かにな。ま、その場合は走って帰るだろあいつなら」
「そういや今朝も走ってきたって言ってたっけ。てっきり朝のジョギングかと思ってたけどあれってさ、まさかとは思うけど俺の家までってこと?」
「そうだろうな。あいつのすごいところは結構な距離を走っただろうにそれを感じさせない位涼しい顔してるところだ」
「ええ…相澤サイボーグなの…?」
「ちょっと!シャラップ!さっきからうるさい!今はるるがバス停に向かってんだから!今超いいとこなんだって!あーっカンカンがいつ来るのかハラハラする~っ」
「年中うるさいお前にだけは言われたくない」
「んーこっからだと顔は見えないなぁ~。そもそも暗いしなぁ~。あーっ俺にステルス機能が付いてたらバス停で待ってんのにーっ」
「付いてなくて良かったな。さすがに友人から逮捕者が出るのは悲しい」
「はっ!?あややが…あややが俺を友達って言った!あっきー聞いた!?録音した!?今友達つったよ!苦節約2年…ついに努力が実を結んだよ!今日は友達記念日だ!俺今日のこと一生忘れないー!」
「それは良かったな」
(…いや確かに言ってるけど犯罪やらかす前提で話してるよそれ)
「あ、五十嵐立ち止まってる」
「カンカン来たんー?」
「環はまだみたいだな」
「早く来てよ~もう~。はるるバス乗っちゃうじゃーん」
「あ!来た!走ってきた!」
「えっカンカンどこどこ!?」
「五十嵐の後ろだな」
「あれホントに走ってたんだ…」
「さあさあ!気合いも十分入ったとこで盛り上がっていってみよー!」
「お前が盛り上がってどうするんだようぜえな」
「あやや友達にうざいって言わない!」
(友達発言嬉しかったんだな…。はたから見れば十分仲いいと思うけど)
「あ!五十嵐が相澤に向かってダッシュ!」
「再会のハグだわ!キスだわ!きゃあっ大胆☆」
「あ避けた」
「首根っこ掴んだな」
「五十嵐宙に浮いてね?首締まってね?」
「カンカンの俊敏性ととっさの判断力とそれを支える腕力があればどんな時だってはるるを守れるじゃん!筋肉馬鹿すげー!」
(どんな時でも好意的に受け取れる江崎もすげぇよ)
「お、手離した」
「手を離したかと思えば先に歩き出す。あれでも歩幅合わせてるつもりだなあいつ」
「歩幅ってさ隣じゃなくて前後で合わせるもん?何あの2人行進でもしてんの?」
「ありゃカンカン恥ずかしがってますね」
「そのようだな」
(どのようなの!?)
「ちょうどバスも来たな」
「こっから2人のバス旅スタート!俺たちの見守りも残念ながらここまで~☆カンカンははるるをエスコートできるかな」
「ん?五十嵐が先に乗ったけど…なんか慌ててる?別にバス待たせてる訳でもないのに」
「さてはどっちが先に乗るかで揉めてるな~」
「お前じゃあるまいしそんなガキみたいなことで揉めるか」
「あ、五十嵐が手を振って行っちゃったけど…一緒に乗らないの?」
「いや…環も乗ったな」
「えぇ~絶対ないとは思うけどカンカン振られた~?」
「え、でも振られたなら隣座らなくない?」
「自然な流れで五十嵐の隣に座ったな」
「歩く時は前後で行進なのにそこは普通に隣に座るんかいっ!」
(江崎が珍しくつっこんでる)
「何はともあれバスも行ったことだし、これで一応は見届けたな」
「そうだな。じゃ俺達も帰るか」
「…」
「どうした江崎?帰ろうぜ」
「お前も黙ることあるんだな。明日は嵐か」
「明日は快晴!お天気お姉さんが言ってました!ヨシッ帰ろ!…」
「何だ。何か言いたそうだな」
「いや~別に大したことないけどさ~。ん~はるるってさ…」
「五十嵐がどうした」
「いやさ、なんか…。可愛いよね」
「荻野帰ろう」
「ちょちょちょ待って待ってーっ」
~おまけ終~