イクイクベルサイユⅡ~開け肛門、殿下のお通りであるぞ~
「なぁジェイコブ、そういえばアレはどうした?」
時刻は昼、馬車に乗っている二人のうち一人の男がそう切り出した。
この男の名をアルベルトという。
「んあああああああっ!! イグッ! イグウウウッ! ガチイキスルウウウウッ!!」
今現在、目の前で叫び続けているジェイコブと呼んだ友人を見ながらアルベルトは再度尋ねた。
「答えろジェイコブ、アレはどうしたんだ?」
当初白目を向いていたジェイコブだったが流石に無視はいけないと思ったのか無理矢理意識を取り戻しアルベルトの質問に答えた。
「入れちゃった」
「見りゃわかるよ、だってお前おかしいもん。尻が異様に席から浮いてるし」
アルベルトは額に青筋を浮かばせながらグッと飲み込むように会話を続ける。
「もうお前の性癖には何も言わないよ。こっちにきた時からそう決めたしな。だから別に何を尻に入れようが構わない……だがな……」
しかしとうとう我慢の限界に達したのかアルベルトはカッと目を見開き、ジェイコブの尻に指をさした。(※肛門に指を突っ込んだわけではない)
「何で王様から預かった魔剣をわざわざ尻に入れたんだよ!」
この二人は異世界に来てからというもの、王様からさまざまな雑事を引き受けさせられていた。
そして現在も他国への贈り物「絶対に鞘から抜けない魔剣」を馬車で運んでいる最中だったのである。
「ウガアアアアアアッ!? 馬車の震動でより深いところまでぇええー!? イグッ! イグゥアアアアッ!」
「聞けよ! あー! もう頭にきたぞ! その魔剣、今すぐ俺が引っこ抜いてやる!」
アルベルトはそう言うと痙攣しているジェイコブを馬車から放り投げ、その尻に挿入さっている魔剣をガシッと掴んだ。
「や、やめておくれ! 今そんなことをされたら魔剣が鞘から抜けてこの国は滅びてしまうっ!」
「何をバカな! この魔剣は絶対に鞘から抜けないんだぞ!? そんなでまかせで惑わそうとするのはやめろっ!」
「ンアアアアアアッ!」
そして人間セグウェイよろしくジェイコブの上に乗り魔剣を思いきり引っ張るがやはりというべきか尻から抜けない。
「クソッ! 俺はこの魔剣を何がなんでも届けなきゃいけないんだ! こんなところで負けてられるかぁっ!」
「な、何をする気なんだアルベルトッ!?」
叫んだアルベルトはジェイコブの尻から突き出ている魔剣の柄に馬の手綱をくくりつけると思いきりその馬の尻をムチでひっぱたいた。
驚いた馬が嘶き、全速力で駆け出す。
その間にアルベルトはジェイコブの体を近くの木に固定させ、そして固定されたジェイコブの尻から馬の引っ張る力によって徐々に魔剣の一部が顔を覗かせはじめた。
「ンアアアアアアッ!! イヤだぁあああっ! 頼むアルベルト! このままじゃこの国は滅びるぞっ!」
「また言ったな! 一体どうやって剣が抜けたくらいで国が滅びると━━」
スポッ
瞬間、ジェイコブの尻に挿入さっていた魔剣の鞘から刀身が抜け轟音が一帯を支配した。
驚いたアルベルトはその音がした方を見て膝をつく。
「ウソだろ……」
彼の瞳には紅蓮の炎で焼きつくされる自国の姿が映っていた。