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D.N.A配列:ドラゴン  作者: 吾妻 峻
第四章 天雷鎚・サンダハンマー
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特殊急襲部隊・SAT/沖和正

SAT第二中隊が現場の渋谷に警備車で到着したのは、六時を回ったころだった。周囲には既に警視庁一課の機動隊、特殊捜査一係が詰めている。

「沖警視正。よろしいですか」

話しかけてきたのはその特殊班捜査一係係長警部、伊東連(いとうれん)

「現場の建物内部について、こちらからお知らせしたく……」

「ええ、構いません。お願いします」

こちらです、と。和正は伊東を連れ、自らが指揮する中隊の前に立った。

「では、現場調査に当たりました特殊班一係の方から、建物内部の状況について説明させていただきます」


内部構造。対象がいると思われる周辺の出入り口は六階と七階の非常口。

「内部構造はこのように、縦穴になっています。上階へと上がる手段はエスカレーターと階段。また六、七階からは商業施設が横付けになっており、そこに対象が逃げ込む可能性もあります。また……」

それ以降の内容が頭に入ってくるのを和正はシャットアウトした。ここから先の状況は我が第二中隊の狙撃支援班の方が詳しいだろう。

「質問は……無いな」

隊員を見渡す。その姿は微動だにしない。

「資料、一部いただいても」

「あぁ、はい」

それが終わるとその伊東は、またきびきびとした動作で和正に一礼、去って行った。

「あれが刑事部の特Ⅰ、ですか」

隊員の一人が言葉を発した。SATで初めて女性として配属になった高峰詩織(タカミネシオリ)だ。

「どうなのよ汽嶋。今一課にいる藤堂君の古巣でしょ」

「あー、まぁまぁやるんじゃないすか。つっても今回突入するのは、俺らなんで」

「高峰、汽嶋。少し黙れ」

ぴしゃりと、制圧一班、班長の堀田(ほりた)が注意する。

「……すみません」

「へいへい」

それを見て不安になったか。

「大丈夫でしょうか」

「何がだ」

和正に声をかけたのは指揮班の統括担当、和正の補佐を担う竹田警部。この中隊の中で和正に意見できるのは彼くらいだ。

「対象は二人と聞いています。C装備で十分だとは思いますが……先ほどから妙な“音”を拾っています」

――爆発物の可能性、か。

「ええ、じゃなくても、何か……」

流石は二年和正の隣に立ち続けただけある。優秀なだけあって、意見するほどの違和感は感じていたか。

「大丈夫だ。Cで行く。MとUSP……、後スタンがあれば十分」

まぁ三人だけ、若干違う装備だが。

――汽嶋達に持たせたのは、“金剛骨”の銃弾だ。


だが装備自体に言及すれば、そこまで対した差ではない。

彼らが持った主要装備はホログラムスコープ付機関拳銃、サブマシンガンMP5シリーズ。そしてオートマチックの拳銃、USP。後方支援はそれに加え、アサルトライフルが装備されている。そして全員に閃光弾を二個。これに防弾ヘルメットとベスト、アサルトスーツ、最後にインカム。これがSAT第二中隊制圧Ⅰ、Ⅱ班の現在の装備だ。

「十分すぎるくらいだろう」

――なぁ、汽嶋。

「ひとまず制圧班は所定の位置までついて待機。指示があるまでそこを動くな」

和正はそれだけ言って、彼らから背を向けた。


『A、B両班、配置付きました』

少しするとインカムに堀田の声が響いた。

『待機、ですか』

「ああ、待機だ」

『……了解』

インカム越しにも激しい音が聞こえる。彼らこそ、戸惑っていることだろう。

――まぁ三人以外は、そうだろう。

和正は片方の、もう一つのインカムにささやいた。

「突入指示が出たら、後続より先に動け。三位明崇を援護しろ」

『了解』

真っ先に小声で返事をしたのは詩織だ。

『りょー』

適当に汽嶋も答える

聞こえているはずのもう一人は、返事すらしなかった。


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