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狩り/鳥越充
「あーあぁ。殺しちゃってんじゃん。もォ」
鳥越充は溜息をついた。相方は、何ともあっけなく逝ってしまった。
傷の再生が遅い。後藤は泡を吹き、痙攣している。もう使い物に、ならないね。
そこで、天井を見上げる。
三階上。逃げられた。また尻尾。油断した、な。
「窮鼠、猫噛むってやつかぁ」
現国は、僕の担当教科じゃないんだけど――
「なァッ」
飛び上がる。
三階上の廊下は明るい。とても明るいショッピングモールだった。その遠く奥に、揺らぐ人影が消えた。
「殺してあげよう二人とも」
――芸術的に。
僕は逃げ惑う可愛い教え子二人に、ニッコリ笑顔で笑いかけた。