登田家/三位明崇+企画3
後書きにて真夜のインタビューを掲載してます。
その時、階下で物音があった。バタン、と。明らかにドアが閉まる音。亜子がビクッと、リスの様に体を震わせる。
「帰ってきたかも。アキ君待ってて」
下まで降りるのかと思いきや、そんな事は無かった。亜子は自室のドアから、頭だけをだし、大声で。
「アキ君、起きたァーッ!」
突如、どたどたと、やかましく階段を駆け上がる音がする。
「明ッ」
最初に部屋に突入してきたのは伽耶奈だった。その後ろに真夜、そして明崇の知らない大人の女性は……亜子と剛の母親だろうか。
「伽耶奈……お前仕事なんじゃ」
「あ、あはは。さっきそこで会ったんだ。し、仕事はちゃんと、やってきたぞ……」
伽耶奈はいつも言われているからか、こういう時決まって仕事についていの一番に予防線を張る。でも今の明崇に。
――伽耶奈の仕事をとやかく言う資格は無いのだろう。
彼女が正に仕事を放りだし、明崇を探してくれたから、今きっと自分は、無事でいられるのだ。
「亜子、お前うっさい」
寝癖の跳ねた頭を書きながら、遅れて、剛。どうやら亜子の大声で起こされてしまったらしい。少し、悪い事をしたなと思う。
「いや、明崇に言ってんじゃねぇよ……、体調問題ないか?」
明崇の顔を見て、剛はすぐに気を使う。それもどこか申し訳なく感じる。
そして、真夜。腕を組みながら、明崇を見下ろしている。その表情は真夜の状態が、とても良いものであることを表している様に見えた。何かいい事でもあったのか、そう聞きたいくらいに、その顔は晴れ晴れとしている。
「明崇、ずっと寝てたね」
――良い御身分。
そんな真夜の皮肉が、今の明崇にはとても……
「悪かったな」
とても心地良く感じた。
明崇は夕食前に、先にお風呂を借りることにした。まともに意識が無かったとはいえ、最後には銭湯に行く精神的余裕すら失っていた気がする。何日も自分で体を洗っていないと言うのは生理的に、かなり堪えるところがあった。
しかし起きた時に、それほど汗特有の寝苦しさを感じなかったのだ。それにかなり汚かったはずだ。そう問うと。
「決まってるだろ。何せ私たちが、体を拭いてあげてたからな」
どうやら眠ってる間に伽耶奈を中心に、明崇の体を拭いてくれていたらしい。
――何もそんな、病院みたいなことしなくても。
「そんなこと言わないでよ明崇、頭は私が洗ってあげたんだよ」
恩着せがましくそう言ったのは真夜だ。
「そうそう、みんなで頑張って手伝ったんだから」
亜子曰く、剛も、剛と亜子の両親も駆り出して、中々の大仕事だったらしい。
あのお父さんも、手伝ってたのか。
――そう考えると少し寒気がする。
「中々大変だったよな」
剛までそんなことを言う。
ありがたいけど……流石にこれは恥ずかしい。気を失ったままクラスメイトと面識もないそのご家族に体を拭かれていたなんて、恥ずかしすぎて死にそうだ。
そう言うと。
「だって明は掃除は苦手なのに綺麗好きじゃないか?いっつも意識を失って暴れて、その癖普通に戻る頃に体が気持ち悪いとか言って文句を言うんだ」
それは……確かに言った記憶があるけど。
「大丈夫よ、アキ君」
誰かと思えば、剛と亜子の母親と思しき人の発言だった。よく見ると顔の造詣は亜子に、目元は剛にそっくりだと気づく。
「ほら、体を洗ってあげるのだって、犬みたいな物だと思えば、普通な気がしてこない?」
いや、全然しないんですけど……。その前に俺、犬じゃないんですけど。
一方的に気まずい思いをしつつ、明崇はシャワーを浴びた。
何日も垢を落としてない肌は、最初は泡立ちが悪かった。しかし少しするとすぐに、肌がいつもの調子に戻ったのを感じれるようになった。肌が擦れた時のざらざらとした感じが抜けて心なしか、色味も先ほどまでより白っぽく見えてくる。
気恥ずかしいけどやはり、明崇は今、一人じゃないことに安心していた。
桑折真夜
2月4日生まれ ♀15歳
O型
身長163cm、体重:49Kg
性格
:言いたい事をはっきり言う。分かりやすい性格してると思う。
趣味・特技
:勉強、スポーツ、基本的に何でもできる。趣味はお気に入りの小説を読み返す事。休日に昼まで寝る事、など。
好きなもの
:紅茶。淹れるのも飲むのも好き。……コーヒーはニガテ。
好きな異性のタイプ(てか好きな人。いるよね!?)
:……ノーコメント。
周囲の皆さんのコメント
匿名希望:身長165ないじゃん、小っさ。←明崇うっさい。バカ。
アコ:真夜ちゃん、またパジャマパーティしよー!
お姉さん:若いっていいなぁ!
今作のヒロインです。あまり周りを気にしないところ、明崇にぐいぐい来るところ、すごい強い女の子だなって思います。