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D.N.A配列:ドラゴン  作者: 吾妻 峻
第二章 紫夜叉・ヴァイオレットデヴィル
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再起/桑折真夜

「アキ君を探してって、お願い」


亜子が力強い視線を、真夜に向けている。

つまり……捜索願。明崇を、探し出そうということか。もしかして剛はそのお願いのために、ここ最近家を空けて、学校にも顔を見せなかったのだろうか。

「で、できるのか。そんなこと」

伽耶奈さんの目が輝く。

「できます。お兄ちゃんに、できないことはありません」

亜子自身が、強くあろうとする意志を感じる。彼女はこれでも、芯のしっかりとした娘なのだ。


そしてその剛が、間もなくして現れた。

「よう、ああ、明崇のお姉さんって……」

部屋をぐるりと見渡す。亜子のベッドの横に胡坐(あぐら)で座り込む、伽耶奈さんを見る。

「沖伽耶奈だ。よろしく」

「どうも。登田剛です。……苗字、違うんすね、まぁいいや」

剛もドアのすぐ近くに胡坐を作る。

「えっと、じゃあ作戦会議だな」

「わぁい、こういうの好き」

「どちらかというと捜査会議?」

「だな」

「いいな!なんかこう、熱いなっ!」

なぜだか一番年上の伽耶奈さんが亜子よりもはしゃいでいる。

――伽耶奈さん、同世代の友達いないんだろうなぁ。

「は・な・し。戻すぞ」

強制的に会議を進行する剛。明崇以外の年下に注意されたのがよほどショックだったのか、隣の伽耶奈さんは固まっている。まぁそんなところもお茶目で伽耶奈さんらしいけど。


「明崇はおそらく広めに見て、新宿にいる。目撃情報が信用できる筋からいくつか上がってて。それによると今は……大久保まではいかないか。あいつは早稲田あたりをうろついてるんだと思う」


信用できる筋。剛のヤンチャしてたという時代の知り合い、なのだろうか。


「じゃあそこに行けばアキ君に……」

「だが……、明崇もかなり移動するはずだ」

「ああ、目撃情報が点在しているからそれは間違いない。だからそれだと効率が悪いだろうな。そういうのが得意な探偵崩れみたいなヤツに今は当たらせてるから。発見したら尾行して、リアルタイムの明崇を捕捉できたら動くってのでいいと思う」


本当に剛は何者なのだろう。普通の男子高校生が、こんな特殊なコネクションを持っているものだろうか。だが明崇を探す以上、手段を選んでいられないのも確かだ。


――蛇の道は蛇、ね。


「じゃあ俺はそろそろ行くから。出来たら亜子の事も、よろしく頼む」

亜子を残して三人。部屋の外で段取りを確認。

「ありがとね、剛。引き続き頼めるかな」

「任せろ。明崇には、返そうとしてもしきれないくらい、大きな借りができちまったからな……。亜子のためにも、アイツを探し出してやらねぇと」

そうだ。何があったかというのも剛は亜子から、聞いてたんだ。

うん、と真夜は大きく頷いて見せた。


何かが確実に良い方向に動き始めている。真夜はそう、感じていた。


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