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D.N.A配列:ドラゴン  作者: 吾妻 峻
第七章 紅明王・フォンミンワン
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分水嶺

「……潮時ダ」

牛鬼を纏う空気が、変わる。明崇だけが、叫んだ。

「危ないッ」



ドッと。牛鬼の体から幾数もの金剛骨が飛び出す。それが牛鬼の付近にいた、警護課の警察官の体に容赦なく撃ち込まれる。

――奴の凶悪な能力のせいだよ。


汽嶋の一言が思い出される。


血分、かッ――。

遅かった。程なくというよりは撃ち込まれてすぐ、彼らの体は牛鬼に由来する、銅色の金剛骨に浸食され。

苦しみながらも仲間に、襲い掛かりはじめた。


やられた。


手薄になった弾幕と攻撃を、難なく突破し明崇に迫る牛鬼。

――だがこの俺が。

「死んでも通さない」


肉薄してきてから牛鬼の初撃。体を宙で捻ると、四本の触手が明崇を捉え損ね、勢いよく地面に刺さる。

これで、後四本――。

手数を減らすッ。


戦えない真夜達、そしてどうやら手負いの六華や詩織さんは後方に下がっていた。しかし後方からも牛頭羅の構成員に挟まれる形となり、石井を筆頭とした特殊班員数人がその全てを相手どっていた。


背後の真夜、六華達を危険に曝せない。これ以上後退するのは避けたかった。


大きく発達した明崇の翼。それをカッターの様に水平に薙ぐ。

「ッし」

牛鬼の金剛骨の触手が再び切断され、体勢が崩れる。よし、このまま――!

「ぐッ!?」


地面、からッ。


断ち切られた、地面に埋まったまま金剛骨。挿し木した枝が新たに芽を出す様に。金剛骨自体が自我を持っているのか。明崇に向かい突き立てられる。


翼で受け止めたものの深々と突き刺さり、その場から身動きが、取れなくなってしまった。

――しまった。

牛鬼が圧倒的速度で、迫るのは。


真夜達のいる方向――。

「や、止めろッ」


尾で勢いをつけ、翼に刺さった金剛骨を手折る。

雷撃を後方に放つ。推進力で――。


間 に 合 えッ


「何で、剛と亜子をッ」

二人に迫っていた、牛鬼の巨体に明崇は立ちはだかった。

「お、おい……、明崇」

「アキ君ッ」

金剛骨とぶつかる刃。鍔競り合いの様に、明崇の神薙がカチャカチャと震える。

――なんて力ッ、ダメだ、もう持たな……。


そのタイミングで、汽嶋の声がした。


「抑えとけよ小僧ッ」


汽嶋さんが肩に構えた、姥鮫の大きな刀身をスライドさせる。

――遠距離形態(モードチェンジ)


姥鮫――ある角鬼の鬼人の背骨から作られた金剛杵(バジュラ)。その特徴は金剛骨の持つ優位な“変形性”。太刀状の形態から、金剛骨を打ち出す遠距離形態へと仕様を変更することができる、過去には無かった発展形――次世代型だ。


「死ねデカブツッ」

――ドッ。

轟音と共に放たれる、金剛骨の矢状弾丸――。


「危なかったな」

「今回ばかりは……ッ、感謝してますよ」

それにしても。

「なんでアレが、当たんないんだ」





牛鬼は距離を取りつつ、それでも隙を狙っていた。


巨大な金剛骨の大砲。あれは厄介だ。まともに相手をしてはいけないと判断できる。


そこで牛鬼は正に敵の、背後に現れた同胞に頼る事にした。


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