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D.N.A配列:ドラゴン  作者: 吾妻 峻
第七章 紅明王・フォンミンワン
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総力戦/三位明崇

牛鬼がその巨大な触手を三本、同時に放つ。それを明崇は、巨大に発達した左肩の翼で三本すべてを受け止める。


「させないッ」

「ッチ……」


そして素早く龍の尾を、下から浮上するように繰り出す。その一撃に三本の触手が、あっけなくぶつ切りになる。


先ほどまでの入り組んだ場所じゃ扱えなかった尾も、ここまで広ければ存分に振り回せる。

翼を盾に、尾を槍に。明崇は重装歩兵(ファランクス)のように、攻防一体の形態で攻撃を凌ぎつつ、カウンターを合わせる。


そして――。

牛鬼のいる側。エスカレーターの側から、巨体に奇襲する影。

そのまま牛鬼に、一太刀。

「汽嶋、さんッ」

「バッカお前、何処(どこ)ほっつき歩いてたんだよッ」


汽嶋だけではなかった。いたるところから増援。その数が、どんどん増えていく。


――チュンッ。

牛鬼の巨体、その肩が金剛骨の銃弾にささくれ立つ。MP5、そしてアサルトライフル。正確な射撃が的確に、牛鬼を追い詰めていく。その増援の中に明崇は、藤堂浩人の姿も見つけた。


皆無事だ。

視界の端で高峰詩織と近衛六華が、お互いの肩を抱き、石井に守られながらも戦うのを見た。怪我は酷そうだが、どうやら彼らも無事。


警備部側は劣勢だと、勝手に思い込んでいた。


しかし彼らは、常に進行する特殊事案に対して適切なオペレーションを正確無比にこなす専門チーム。警護課の人間も。単純な戦闘力で言えばただのマフィア崩れ如きに引けを取るわけがない。


よし、このまま。

牛鬼を、討つ――。




しかし追い詰めたものの形勢はそこから、そう簡単に動かなくなってきていた。

警備部(こちら)側の増援が増えるのに対し、それを難なく凌いでいる。

――牛鬼(こいつ)、何を狙って。

いや、まさかそれとも。


最初から苦戦など、していない?


その時、キャッスルウォールビルの電気系統が復旧した。インカムもそれを、すぐさま伝える。

『電力供給システム、完全に復旧しました。非常口のロックを解除します』


「……潮時ダ」

牛鬼を纏う空気が変わる。しかしそれを感じ取れたのは、鋭い直感を持つ明崇だけだった。

「危ないッ」

明崇が叫ぶのと、牛鬼が仕掛けるのとが同時だった。



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