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D.N.A配列:ドラゴン  作者: 吾妻 峻
第七章 紅明王・フォンミンワン
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肩寄せ合い/近衛六華

痛い。痛いよ。


痛覚の遮断された夢の中。小さな、見知った男の子の声が聞こえる。

――れい……じ、く……。


「はっ」


目が覚めると、忘れていた鈍い痛みが走る。六華は自分の心臓が未だ、ちゃんと拍動していることに少なからず驚いた。


「大……丈夫?」

寝転がっている目の前に、高峰詩織の顔があった。その額には真珠玉の様な汗が浮いている。彼女も、重症のはずなのに――。

「詩織さッ、無理しちゃ……」

「してないよ」

近くに、注射器が転がっている。恐らく鬼人化促進薬。六華の鬼人化を亢進させ、命を救ってくれたのか。


「動ける?」

「は……はい。もう動けます」


立ち上がる。痛みはあるが体は問題なく動いている。鬼人特有の頑丈さに、六華は生まれながらにして鬼人であること。それに少なからず感謝した。


「詩織さん……その、血」

しかし彼女の体からは、未だに血が流れている。パタパタと、改修の済んでいないコンクリの床に滴る、赤黒い血。


「まだ、待ちましょう?このままじゃ」

六華がそう提案しても、彼女の足取りは止まらない。

「大丈夫だって。後少しすれば傷塞がるし」


でも。でもだからって。


高峰詩織の事は、この日まで、実際に話をするまで。知らなかったわけではない。

彼女は女性初のSAT隊員として、同時にSIRG十三係のメンバーとして。それなりに噂は聞いていた。


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