表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
D.N.A配列:ドラゴン  作者: 吾妻 峻
第七章 紅明王・フォンミンワン
189/287

救い/門田璃砂

「……ぷはっ」


ダクトを抜けた。璃砂はやっとの事、電力供給室と思われる、そのリノリウムの廊下に飛び降りた。

「痛ったた……」

飛び降りた勢いで腰を強打した。璃砂は腰をさすりつつ、立ち上がる。

「ここ、だよね」



銀色の外壁と機械類。そして大小様々、無数のメーター類が目についた。

「え……っと」

スマートフォンを操作。電力供給の大元、一際大きなブレーカーを探して、ゆっくりと歩き出す。

「この、先……」


三叉路を右に曲がる。また一つ、広い白銀の空間が広がっていた。


そこで璃砂は大声を上げそうになり。


「……ぇ」

それでも何とか声を押し殺した――。





人だ。いや、この姿。


頭部には角。衣服も――特に背中が、不自然なくらい尖っている。

そしてこちらを、振り向いた。

――いや、え、嘘。

「あ、あの、ごめんなさ――」


――ガァンッ


大きな音と共に。白銀の壁が砕け散る。突然の喧騒に璃砂の、言葉の続きはかき消された。そしてコンクリートの瓦礫から、新たな人影。


は、え?何起こって――。


「うがァァッ」

「え、ええェッ」

何故か鬼人と思われる男は璃砂に向かって突進してきた。冷静になって考えれば、突然背後に出現した何かに、怯えていたというのが正しかったのかもしれない。


「ぐばッ」


間抜けな声と共に、その男の体が勢いよく。璃砂を飛び越え向こう側に弾き飛ばされる。その代わりに男がさっきまでいた場所には巨大な片翼の、人間離れした姿が佇んでいた。

「あ、あれ……」


明崇君?だよね?あれ、こんなんだったっけ?こんな――



こんな尖った雰囲気。



「あッ」

バチッという音が電力供給室に響く。目くらましの様な閃光が弾け、次に目を開けた時には、先ほどまでいたその姿はなかった。


「……ん?」

今のは夢か。それとも現実なのか。

「あ、ブレーカー……」

璃砂は自分の使命を思い出し、慌てて分電盤に駆け寄った。


でも今のが本当に明崇君なら、何か――。


言いようのない不安を、璃砂は感じ取っていた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ