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D.N.A配列:ドラゴン  作者: 吾妻 峻
第七章 紅明王・フォンミンワン
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怒髪/三位明崇

気が付かなかった。赤いチャイナドレスの女が、三メートルほど先。鉄骨の階段をゆっくり下りてくる。

「貴方は……」

間違いない。あの時――レセプションパーティで目があった、あの女だ。


「生きてるじゃん。うちのボスも」

ーー困ったものね。


その女の頭部から、しなる鞭の様な金剛骨――。


何なんだ、貴方(コイツ)


俺には用事があるんだ。皆に会いに行くんだ。貴方まさか俺を、足止め?する気――

焦りと怒りが。また強く、龍骨因子に火を付ける。


皆の所に行かなきゃ。


「はァッ、ァ……」

女が、迫ってくる。その視界が霞む。


ダメだ。ダメだよ。今この状態で、戦ったら。分かる。分かるんだ。


この人を殺してしまう。



迫る鉈。確かに速いが生憎、明崇はついさっきの――あの戦闘の後だ。


牛鬼のに比べたら、止まって見える。


――治った。

すんなりと足がたつ。先ほどまではどうやら膝関節が、くっついていなかったのか。


姿勢をギリギリ低く。通り過ぎた金剛骨が返ってくる、ブーメランの様な一撃が背後から。

――姑息(キタネ)ェんだよ。


左肩だけ歪にも巨大化した、もはや翼というに正しいそれを広げる。

上部から突き刺すようにぶつけると、まるで巨大な爬虫類の爪。その形状のまま振り下ろす。


「詰みだ」


よしこれで終わり。速く、速く三人の所に――

が。その一撃から女の体が逃げていく。どうやらもう一本の触手を穿ち、華麗に宙を舞いつつ、躱した。


生意気にも、その金剛骨で飛び、上から蹴り――


手、間ッ――

「かけさせんなッ」


怒りで脳天が爆発する。頬が白熱した金剛骨で、火照るように熱く――


大人げないほどのカウンター。雷撃で宙に浮いたまま、進行方向を変え勢いそのままに。その巨大な龍爪を。


その華奢な体に叩きつけた。


手加減はした。流石に死んでないはず。これでも“龍骨”に。体を明け渡さないだけの努力はしたのだ。命を拾った事には、むしろ感謝してほしい。


「これに懲りたら、もう俺の目の前に」

――立ちはだかったりしないで下さいね。


神薙。

丁度近くに落ちていた。白銀の刀身を拾い上げる。


コンクリートの支柱に衝突しずり落ちた。女を見やる。

ダメ押し。しとこうか。


手早く神薙に電流を蓄積。上方向、薙ぐように振り放つ。


太刀筋の延長線上――引き伸ばされた雷撃が鉄骨をあっけなく裁断する。それが女と明崇の間に、明確な壁として降り積もっていく。


「うん、これで大丈夫」

次の瞬間には既に、明崇は夜空に飛び上がり。


そのビルの壁面を、雷撃を用いながら移動を始めていた。


眼下にはキャッスルウォールビル。しかし全貌は見渡せない。それだけこの建物の規模は巨大だった。

――行くぞ。

宙を舞う明崇のその姿は――


今までの鬼人化に比べ、大きく人ならざる者に近づいていっていた。



そして丁度、キャッスルウォールビル、その中心部に差し掛かった時。


鬼人の気配が多数。


牛鬼意外にもう一つ、強大な若い鬼人の気配を感じる。しかしそれはどうやら増援部隊と激しい戦闘を繰り広げている。しかしこれら戦場と独立した階に、弱いが、確実に鬼人と思われる気配がある。


それにその雰囲気が、牛鬼のそれと、似ている。


しかもそのすぐ近くに人の気配。鬼人ではない。これは――。

「門、田……さん?」



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