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D.N.A配列:ドラゴン  作者: 吾妻 峻
第七章 紅明王・フォンミンワン
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SIRG1係/沖和正

「状況は」


沖和正率いるSIRG13係はキャッスルウォールビル近くに特科車両を計10台詰め、特殊対策本部としてテントを設置していた。


「何が、狙いだ……?」


まさか各国首脳が揃っていない、レセプションパーティを襲撃してくるとは、予想できなかった。予想できなかった以上に、牛頭羅側から見れば、これは全く効果的ではない。


なぜなら。

奴ら――鬼人テロリストの執着が年々、ある一つの事柄に引き付けられていたからだ。


青写真(ブループリント)


鬼人対策の殲滅実行プラン。その警察内での隠語だ。



鬼人遺伝子の過剰発現には、実は地域性があるという事が、三位明崇の研究から明らかになっている。つまり特定の地域圏にしか、鬼人は発生しないのだ。


アジア。


日本、中国、韓国――アジア圏から中東に至るまでの地域で、特に日本で。鬼人遺伝子の過剰発現が優位にみられているという事実。


そして鬼人対策の先進国である日本を筆頭とした中国、韓国の三か国は、常に鬼人を警戒し、殲滅すべく策をめぐらせていた。その唯一の――しかし究極の回答とされる作戦プランこそ、青写真なのだ。


しかし沖和正自身、その青写真の実態が何かをつかめてはいない。恐らく現在のSIRGを主導し立ち上げた警視監でさえ、その真相を知らないのではないかと和正は睨んでいる。


青写真を目的として過激なテロ活動を繰り返してきた牛頭羅。しかしここにきてなぜ。その存在を無視し、リスクの高いうえに実利(メリット)に乏しいレセプションパーティの襲撃を決行したのか――。



そこで汽嶋太牙から、無線通信。曰く。


近衛一は死亡。牛鬼は東側へと移動。そして三位明崇の行方も掴めない。


「なるほど、動いたな」

――これは面白い。


和正は確信している。牛頭羅は今回、日本土着の鬼人の協力を受けて、このレセプションパーティ襲撃を敢行した。しかしまだ年端もゆかぬ――

「ガキを雇うとは、な」


怒紅狼(ドクロ)


新宿を縄張りとする半グレ。その実態は半数以上が御三家の一角・近衛家から流れた鬼人により構成された、強力な暴徒集団だ。

――近衛家(めいもん)の恥部、というわけだ。


西側から牛頭羅。当初の目的は近衛一。その首を取る事。


東側から怒紅狼。挟み撃ちにし、圧倒的物量で押し潰す。


「だがそう、うまくいくかな」

援軍は、そちらだけとは限らない。


「沖警視正」

――増援です。

和正を呼ぶ声がする。それでも振り返らない。

「お出ましだ」



『SIRG一係、現着しました』


インカムから聞こえてくるのは、その小隊を率いる真っ直ぐな声。

『これより怒紅狼(ドクロ)及びその首領――厳戒態勢指定Ⅱ種・阿修羅貪狼(アシュラタンロウ)との戦闘に入ります』





「行きます」

棍棒型――金剛杵(バジュラ)雷童(ライドウ)


先頭に立ち、縦横無尽にそれを振るうのはSIRG1係主任、榎本尊(えのもとみこと)警部。

「フッ……!」


振るうその一撃は相手に到達する正にその時形状を変化させる。ヤスリの様な表面構造は鞭のようにしなる特性も合わせ、強烈な痛み――ダメージを与える。


「掃射ッ」

間髪入れず。後発に控えた射撃部隊が一斉にその引き金を引いた。

量産型――銃剣形態の金剛杵(バジュラ)白毫(ビャクゴウ)の群れが(いなな)き。


怒紅狼を削り始める。



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