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D.N.A配列:ドラゴン  作者: 吾妻 峻
第五章 近衛兵・ジンウェイビン
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調停/三位明崇

「近衛六華、あんたの頼みは、聞けない」


「あらら……」


夕日が落ちていく。互いに陰っていくその表情は、互いの間に生じた溝の深さを感じさせる。


その沈黙の中、口を開いたのは……。


「一旦……二人とも落ちついたほうがいい」

剛だった。



「剛……俺は」

「分かってる」


明崇が何か言おうとするのを、再び剛が制した。


「会長さん。正直言って貴方が悪いと思います。明崇はそれこそ腕が立つかもしれませんが、争いは好まないヤツです。そもそも明崇のファンだとか、応援団に参加して欲しいとか、不自然に明崇に近づいたのには、それなりに事情があるんじゃないんですか」



それを聞いた六華の表情が、驚きの色に染まる。


「ちゃんと謝罪して……訳を話せば納得してくれます。ここまでの事をしたってことは、相当……切羽詰まってるんじゃないですか」


唇をかむ、その表情。近衛六華はこんな顔もするのかと、明崇は少し意外に思った。


そして彼女は、その眼を伏せる。


「大黒君……、下がってて。もう今日帰っていいよ」

「いや、しかし」

「いいから!」



鋭い口調。こんな声は、聴いたことがない。

「後ろの、ジンさんとイワミ君も。私のせいで傷つけて……ごめんなさい」


息を吸い込んだ。深呼吸だろうか。しかし吐き出す前にそして唐突に、ぽつりと、ある言葉を口にした。


「死んだの……」

「えっ」


その残酷な告白に、敏感に反応してしまったのは亜子だった。しかしそれを気にせず、彼女は続ける。



「私を守って、今年に入って13人、近衛家の人間が、死んだわ」


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