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D.N.A配列:ドラゴン  作者: 吾妻 峻
第五章 近衛兵・ジンウェイビン
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血池に潜む/三位明崇

寝ぼけてられない。



明崇に迫る、二つの影。その中心に立ち、半身で左右、両方が迫ってくるのが見える。


あの……心の奥底――血みどろの家から聞こえる衝動にも似た声。あんなものに、支配されるわけにはいかない。


まだ、俺“だけ”でやれる。


――真夜にも顔向け、できないしな。


「……なめるな」

――始翼。


明崇の肩、その肩甲骨から音を立てて小さな翼が広がる。


その両翼から雷撃を、噴出。


「「!?」」

二匹の鬼人、その攻撃が、空を切る。雷撃の推進力で、素早く後ろに下がり、そのまま飛び上がる。


「ッ……」

宙に浮きながら自身の体を回転させ、予測できない動きで二撃目を躱す。


迫ってくる鬼人の動きが、どこかスローモーションになる。


渡り廊下に宙を舞う、自分自身の影が踊っている、それを横目に見ながら。


尻尾を、一点をつくように繰り出す、狙いは、右手側の鬼人の肩――。

「ガッ、あァッ」


突き、刺す。


肉を断ついやな感触が尾を引くように神経を伝ってくる。それに後ろ髪を引かれつつ――。


始翼の雷撃を励起、勢いよく、再び渡り廊下に着地する。


再び、あの男と対峙。今度こそ銃ナシだ。


飛んでくる拳を絡めとる、右腕の神薙を放り投げ、右肩の掌状の始翼でつかみ取る。


両手でつかみにかかる。悟られれば抑え込むことは難しくなってしまう、だからこそ、慎重に――。


まず襲ってくる連続した軽い一撃(パンチ)。それをいなす。


できるだけ直撃は避け、柔軟な掌でダメージを殺す。


そして焦れて放たれる大振りのストレート――


「捉えた」


腕を取り押さえ引き付ける。明崇の右手でそのまま、蛇のように巻き付き、もう一方の腕も左腕で絡めとる。


そして神薙をもつ、三本目の腕ともいえる始翼で。


「今度こそ……動くな」


刃先をその喉元に当てた。


「く、ンッ」

しかし何とその男、この状況で抵抗して見せた。まだこの段階なら逆転できる、そう思ったのだろうか。


馬鹿だな。


躊躇なく、刃で頸動脈付近を抉る。一秒もかからず、殺せる。


「ッ……暴れんなよ」

その喉元に赤い血が、たらりと垂れて首元にいびつな血池を作る。



それを見る明崇の目には、自覚した以上の凶暴な輝きが宿っていた。


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