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D.N.A配列:ドラゴン  作者: 吾妻 峻
第五章 近衛兵・ジンウェイビン
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デュアルトラップ

「話って何ですか、大黒先輩」

学校の、図書室を経由し理科棟へとつながる、三階を橋渡しする連絡通路。大黒は明崇に、そこで待てと命じた。

彼は明崇についてこい、と。そう言う前、確かにこう言ったのだ。


「君の正体を、僕は知っている」

「その背負っている、刀の事も。騒がれては」

――困るでしょう?

「事を荒立てたくなければ、ついてきてください」


そういわれて明崇が、ついてこないわけがなかった。

「取りあえずここでお話、しましょう」

秋の風が心地いい。夕日の射す三階連絡通路の丁度真ん中。

大黒が立ち止まる。しかし振り返った視線が明崇の後ろを捉えたのに、気が付かない明崇ではなかった。

「取りあえず、近衛会長からの本当の提案……それをお伝えします」

「その……提案を聞く前に」


「後ろで俺を待ち構えている二人組は、何ですか」


大黒がわざとらしく、ため息をつく。

「全く……君、その直感だけは馬鹿にできませんね」

振り返ると、やはり明崇の後ろに迷彩服の男が二人。こちらに歩を進めてくる。

何の、つもり……。

「交渉を有利に進めるためのカード、という事ですか」

視線を大黒に戻す、が振り返るとそこにはもう――

大黒の姿はない。

「しまッ」

背後から静かに殺気が、その距離を詰めてくる――。



「ハァッ、ハッ……」

明崇、どこ、何処にいったの――

何処を探しても、その姿がない。二階の廊下を出て連絡通路、そこを見渡しても、明崇らしき影はなかった。心拍数が上がる。どうしよう、明崇――

「んもー、なんでいきなり出てっちゃうかなぁ」

――桑折ちゃん、びっくりしたじゃない。

底意地の悪そうな眼付き。きっとこの女の仕業……それは間違いない。

「目的は、何……?」

「へぇ?えへへ、桑折ちゃん怖い顔」

近衛六華の表情が、小馬鹿にしたようにへにゃりと歪む。

「あんたの目的は、何って聞いてんのッ」

怒る真夜に対し今度は、やけに落ち着き払った、クールな微笑を浮かべて見せる。

「何って……それを言ったところで桑折ちゃんは、きっと理解できないもの」

――三位君なら、きっと理解(わか)ってくれると思うケド。

明崇を、語らないで……。何も、何も知らない癖に。

歩みより、その平手を挙げ――。

――ガァン。

「……!?」

二人の丁度真上、三階の連絡通路から、何かがぶつかり合うような、音。それと共に細かい塵が、パラパラと落ちてくる。

「上っ……」

そう、上だ。上から、音がする。

近衛六華の脇をすり抜け、真夜は三階への階段へと足をかけた。

「真夜ちゃんッ」

亜子と……、後ろには剛。

「ついてきてッ明崇がッ」

「アキ君が、どうしたの!?」

今は、説明、してられない――。


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