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D.N.A配列:ドラゴン  作者: 吾妻 峻
第五章 近衛兵・ジンウェイビン
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半グレ/藤堂浩人

「半グレってのは……まず名前の由来はアレだ。“グレる”ってのが分かりやすいと思う。後はそうだな。グレーゾーンのグレとかも言うな」


「グレーゾーン?」


「まぁなんだ。半グレってのは、暴力団の何とか組とか、確固たる組織に属さない犯罪集団の事をまとめてそう呼ぶんだよ。それこそ反社会勢力組織に属してないわけだから、一般人との見分けが簡単につかない、そういう意味での“グレー”だ」


――暴走族だけじゃなくて、カラーギャングとかもそうだろ。


璃砂はうんうんと頷く。こういう時は不思議なくらい素直だ。


「この集団の厄介なところはまずその実態がつかめないところにある。暴力団だったらそれこそアニキだのオヤジだの、変に真っ直ぐな忠義があるからな。どちらかというと取り締まりやすいし、組織犯罪対策課が専門として、まぁしっかり監視できる面があるわけだ」


しかし半グレだと、そうはいかない。


「まず暴力団でいうところの事務所もないし、もし犯罪の現場を押さえても認知できるのは集団の一部。しかも彼らは暴力団の構成員――いわゆるヤクザと違って若い。携帯一つで他のメンバーもすぐ撤退しちまう。実態がつかめない」


「なるほど」


「中々にその取り締まり方は大変なんだ。暴力団の専門部署はさっき言った組織犯罪対策課だ。でも半グレを取り締まる部署は存在しない。殺人事件なら俺たち捜査一課の出番だが、それにもそれこそ組織犯罪対策課の様な、集団を相手どった捜査は難しい。半グレはサイバー犯罪なんかもやる。そういう時にはハイテク課の出番だが、ハイテク課だけじゃ根っこの組織自体、取り締まる気概も、力もない、分かるか?」


――警察組織の連携なんて、あってないようなもんなんだ。


「それに対して半グレは、集団に属する、個々の連携が大きな強味だ。最初から警察の分が悪いってこった」

「ほえー。浩人さん詳しいですね……」


と言いつつ、璃砂は半グレの記事を一緒に考察してほしいと、頼み込んできた。




その資料が先ほどから目を通している、この記事だ。


“新宿での怒紅狼(ドクロ)の動向について.docx”


都築実はこの書留の中で怒紅狼(ドクロ)と呼ばれる半グレ集団に特に着目し、言及している。


渋谷から新宿に拠点を移した暴徒集団らしく、元々は普遍的な暴走族から過激化し、傷害事件を繰り返すようになったと記述がある。


最終更新日は、事件発生の二日前――。


だがただの半グレ集団なら、都内に腐るほどいる。誘拐、そして殺人など、そんな大それた事が出来る半グレ集団は、最近は減ってきたともいう。


それともそれも、警察が認知できていないだけなのか――。


――いや、流石にないだろ。

「休憩、しましょっか」

昼になると全員分の弁当が配られ、昼食となった。


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