出港
二日後の朝、三人は港にいた。
「ランギリ様、お世話になりました。お元気で」
「あぁ。君らも気を付けるんだぞ」
別れの挨拶を済ませ三人は船に向かう。
この船に乗船し、みいさはアンとラベルと共に二人の居住国〈アスール国〉へと向かうのだ。
大きいこの船には他にも沢山の人、物資などがある。
ディープルを出港し、ギザ国、シャンバラ国、アスール国などに停泊し物資の売買を主に行っている。人の輸送も兼ねているが、特別な許可を受けた者のみ乗船が認められている。
今回はディープルの町長:ランギリの許可で、みいさも乗船することができたのだ。
『アスール国にはどれぐらいで着くの?』
「5日ぐらいだな。結構長いぞ」
そんな会話をしながら三人は用意されている小部屋へと向かう。
「ランギリ様は208号室って言ってたな。お、あったあった」
そう言うと、ラベルはドアノブに手を掛けドアを開けた。
みいさは少し嫌な予感をしていた。
「うわー!行きの船よりも良い小部屋じゃん!」
小部屋に入るなりアンは目を輝かせ喜んでいた。
部屋に入ったみいさは小部屋の中にあるベッドの数を見て予感が的中した。
『もしかして三人一緒の部屋ってこと?』
「一部屋分しかないからな~」
ラベルはベッドにゴロンと寝転がって答えた。
「行きの部屋なんてもっと狭くて最悪だったんだよ?」
アンもベッドに寝転がり、うつ伏せの状態で布団の心地良さを堪能していた。
"ベッドは違えど男の人と同じ部屋で寝るなんて初めてだよ~。アンがいるから安心だけど…ま、なんとかなるか"
少し戸惑いを見せたが、開き直りベッドにちょこんと腰を掛けた。