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ラベルとアン



「もう大丈夫か?」


男性は右手にコップを持ち部屋に入ってきた。


「この人はラベル。とっても頼りになる兄貴だよ!ラベル、この子ミイサっていうの!」」


アンはお互いを紹介してくれた。


ラベルという男性は髪は茶色の短髪で身長はみいさより若干高いぐらいである。


「よろしく。まぁゆっくり話そう。そいでこれ良かったら飲んで。薬味スープ」


そう言うと、ラベルはみいさにコップを渡し、部屋の角にある椅子を持ってきて、みいさとアンのいるベッドの横に置いて座った。


「ありがとう…ございます。みいさです。よろしくお願いします。そして頂きます」


「ミイサ、別にラベルに敬語使わなくていいんだよー!」


「お、おう。まぁ別に敬語じゃなくてもいいけど」


「あ、はい。じゃぁ…」


と言いながら薬味スープを飲んだ。


「はは、敬語抜けてないし!ミイサって面白いね」


アンは笑いながらツッコミを入れた。



「お、美味しい。すごく美味しい!」


みいさはラベルの方を向き輝いた目で感想を述べた。


その薬味スープは色々な草や海藻みたいな物が入っているが、元の世界でいうワカメスープの味に近い。

スープもきちんとダシが出ており絶品である。


「喜んでくれて良かった」


ラベルは少し照れ臭そうに笑った。




「ところで、ミイサに色々聞きたい事があるんだが…」


ラベルがそう言い出すと、みいさは唾をゴクリと飲み込み"ついに来たか"と身構えた。












キュルルルル……


みいさのお腹が鳴った。


途端にみいさは顔が真っ赤になり、両手でお腹を抑え下を向いた。


"そうだ、昨日から何も食べてないんだった……"


空腹の中にスープが入った事で胃の活動が活発になり、お腹が鳴ったのだろう。


アンとラベルはケラケラと笑っていた。

「もうお昼時だもんね。朝買ってきたパン持ってくるね」


アンはパンを持ってくる為、一旦部屋から出て行った。




"人前でお腹が鳴るのが、こんなにも恥ずかしいだなんて"



「このディープルで売ってるパン、すっごく美味しいんだぜ!ミイサ10個ぐらいいけるんじゃね?」


そんな恥ずかしさを忘れるかのように話てくれるラベル。


「あー、昼食べたらランギリ様に挨拶に行かないとな」


「アンがここはランギリ様という方の家だと言ってたんだけど、その方は一体どういう人ですか?」


敬語混じりの変な話し方になるみいさ。


「ランギリ様はディープルの町長の方だよ。俺とアンは少し離れた国から、ある用事をランギリ様に頼まれて少し前からここに来ていたんだ」




コンコンッ


ドアをノックする音が聞こえてきた。


「パン持ってきたよー。入るね」


「お、きたきた。詳しい話はまたあとで」


「はい」


アンがバスケットに入ったパンを持ってきた。

そして、先程座っていたベッドの端に座った。


「ささ、食べよ」


アンとラベルがバスケットからパンを取ったあと、みいさもパンを手に取った。


「「「頂きます」」」




ー・ー・ー・ー・ー・ー



「はぁ~美味しかった!」


「ラベルさんの言った通りだね!すごく美味しかった」


皆が食べ終わったあと、ラベルがみいさに聞いた。


「ランギリ様の所に行く前に、みいさの事を色々聞きたいんだが…」


明らかに服装がここの町に似つかないし、雰囲気が何か違うことを薄々察知していた。アンも同様に。


「何から話したらいいか分からないけど…日本って国を知ってる?」


「「ニホン?」」


「いや、初めて聞く国名だな」


みいさは日本を知らない事実にもう驚かなくなった。


「ここの町に来てから、町の人にも聞いたけど、知らないって言われたの。

それと、信じてもらえないかもしれないけど、私は多分、ここの世界の人間じゃなくて、違う世界に住んでたんだけど、気が付いたらここの世界に来ていたの」


その答えにアンとラベルは意外にも驚かなかった。むしろ、みいさからこの世界の人間の雰囲気が感じられなかった為、半ば信じている状態である。


「もしそうだとしたら、みいさはどうやって元の世界に帰るの?」


「そんな事、俺に聞かれても分からない」

少し"うーん"と考え込んだあと、ラベルが再び口を開いた。


「もしかしたら、俺たちの国のオババなら何か知ってるかもしれないな」


「オババちょー長生きだしね!それに時々、この世界の成り立ちは…とか難しい話してくるから、何かミイサの為になればいいけど」


「すぐにオババの所へ案内したいんだけど、俺達あと数日ここに居なきゃいけないからミイサも付き合ってくれる?」


「うん」


"なんて優しい人達なんだ。私の為に、こんなに真剣に考えてくれて…"


みいさは二人の優しさに終始感動していた。


「あの、ある用事でここに来てるって言ってたけど一体どういう用事でなの?」


「怪物狩りとその原因究明の為に来ているんだ。怪物はさっきミイサが見た、あぁいうの」


「ディープル周辺の町で怪物が最近よく出るの。でも、おそらくそれは闇の力を秘めたラピスを誰かが使っているって私達の国の王様が言っていて、それで私とラベルが派遣されたの」


「へ、へぇ~そうなんだ」


何やら色々なワードが出てきて、置いて行かれないように必死で話を聞くみいさ。


「俺たちの国の王様とランギリ様は知り合いで、俺たち良くしてもらってるんだ。ランギリ様はラピスを持っていないけど、ある程度ならラピスの事は知ってるから、俺たちをここに呼んだんだ」


「そ、そうなんだ。なんかすごいね…」


"怪物やら王様やら…

元の世界に居た時には、ほぼ百パーセントの確率で言わないワードだ"


「ランギリ様には、この部屋にミイサを運ぶ時に言ってあるから、今から行こうぜ」


そうラベルが締めると、3人が立ち上がり部屋から出た。


"一体どういう人なんだろう。そして、私はこれからどうなるんだろう"


様々な不安を抱えつつ、ラベルとアンの後ろを付いて行き、部屋から出て行った。

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