最初の危機
「……あ、足が動かない」
みいさの足は痙攣を起こし、地面から足が離れない。
「動いて!お願いだから!!」
必死に手で足を叩き、動かすように促すがビクリともしない。
そうこうしている内に怪物達はみいさの方へ近づいてくる。
怪物達は20mはあるであろう。
全身真っ黒で背中には翼が付いている。
そして口から火炎放射を放っており、辺り一面は火の海と化している。
周りにはもう誰もいない。
みいさは完全に逃げ遅れた状態である。
「嫌だ。嫌だ!死にたくない!!なんでいきなり知らないとこにきて死ななきゃいけないの!?」
涙目になりながらそう訴えた。
怪物の1人がみいさの存在に気付き、みいさ目掛けて火炎放射を放った。
みいさはもう駄目だと諦めて目を閉じた。
"あれ!?熱くない。てか、死んでない…?"
恐る恐る目を開けると、みいさの身体の周りを透明なベールが覆っている。
太陽の光で反射し、時々光輝いている。
火炎放射はその透明なベールを覆う形で全く熱を感じない。
「ぇ?え?」
もう何がなんだか理解不能である。
すると突然、火炎放射は消えた。
そして、3体の怪物達は一瞬にして姿を消した。
姿を消したというよりは、2人の人物によって倒されたのだ。
火の海だった辺りも怪物達が消えると同時に自然に鎮火していった。
怪物達を倒した後、その2人はみいさの方へ飛んでやってきた。
「君、大丈夫?怪我とかしてない?」
「すっごい綺麗なベールだねー!ねーねー、君のラピス見せて!」
"え?この人達、本当に人間?空飛んでたけど!
……やっぱり私死んだの?"
みいさは腰を抜かしてしまい、開いた口が塞がらない状態でまともに受け答えができない。
「おーい、聞こえてる?全然、焦点が合ってないけど」
1人がみいさの顔の前で、手を振り目の焦点を合わそうとしている。
みいさはその場に倒れ込み気を失った。