異物の登場
振り返ると、みいさよりも身長の高い男性がいた。髪の毛は水色で瞳も水色である。
「あ、人違いだった!ごめんごめん」
そう言うと、その男性は去って行った。
「は、はぁ…」
みいさは別に気にも止めず、また歩き出した。
"あれはフロスティクォーツだな。
こんな田舎では手に入らない貴重な石をなぜ持っているんだ。
…これは調べる価値があるな"
先程の男性、カスランは心の中で呟いた。
カスランは人に触れただけで、その人の所持している石が分かる能力がある。
ー・ー・ー・ー・ー・ー
しばらく歩いたところで、みいさは道の端にある家の壁にもたれるように座り込んだ。
「はぁ~、お腹空いた」
混乱と気疲れで体力を相当消耗し、あぐらをかいた状態で俯き加減になった。
辺りはもう薄暗くなってきて少し肌寒い。
"これからどうしよう……"
と考えていたが、だんだんと睡魔に襲われてその場で眠ってしまった。
ドーーーーーンッッ!!!!!
凄まじい爆音で目が覚めた。
"何事!?"
みいさはすぐに立ち上がり、爆音のした方へ向く。
辺りはすっかり日が昇って朝になっていた。
爆音のした方向には家々があり、砂埃が舞い上がって徐々に崩れていく。
それと同時に沢山の人がこっち側に走って逃げて来る。
みいさは寝起きの為か頭が働かず、何が起こったかよく分からない。
瞬く間に人々はみいさの目の前を走って通過していく。
「またアイツが来たぞ!今度こそ終わりだ!」
「一体アレは何なの!?」
「とにかく逃げろー!!」
泣きながら走る人。
必死に歯を食いしばり走る人。
親に手をひかれながら訳も分からず走る子ども。
皆、様々な言葉を言いながら逃げて行く。
みいさは状況を把握しきれていないが、
"とにかく逃げよう"
そう思い、走り際に後ろを振り向いた途端、足がすくんだ。
「え?なにアレ……」
今まで見た事のない、そしてみいさのいた元の世界ではありえない"怪物"が3体もそこにいた。