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スイカとスイーカ



『あっ、島が見えてきた』


「あれはギザ国だね」


急に二人の間からアンがちょこんと顔を覗かせた。


「びっくりしたー。もう大丈夫なのか?」


先ほどまでぐったりしていたアンが急に復活した為、ラベルは容態を心配した。

しかし、アンはガッツポーズで復活したことをアピールした。


「みいさ、ギザ国とシャンバラ国に停泊してアスール国まで行くんだ」


『そうなんだ~』




程なくして船はギザ国の港に着港した。

物資と引き換えに紙幣を貰う者、遠方からの船旅でギザ国に降り立ち身内や親戚と再開する者で港は賑わっていた。


その光景を三人は船の上から眺めていた。


船から沢山の食材を積んだリヤカーが港に降りて来た。それを見てアンが物欲しそうに嘆いた。


「スイーカじゃん!良いな~。最近全然食べてない~」


そのスイーカと思われる物は、丸い緑色に黒のギザギザ線が入っている食べ物のことを指しているのだろう。


見た目が同じで名前も似ている事からもしかしてと思い、みいさはアンに尋ねた。


『スイーカって中身は赤くて甘い野菜のこと?』


アンはキョトンとした。


「そうだよそうだよ!何でみいさ知ってるの?」


スイーカとはみいさのいた世界でいうスイカの事である。見た目と味は全く同じで名前が若干異なるだけであるのだ。


『私のいた世界では、それをスイカって言うんだけど、そのスイーカと見た目が同じだからもしかしてと思って』


「世界が違うくても、共通してることがあるんだな」


ラベルはその会話を聞いて驚いていた。


「すごーい!他にもあるかもしれないから、何か言ってみて!」


アンはピョンピョン跳ねながら質問をした。


『えっとー…

林檎とかミカン、メロン、パイナップル、キャベツ、人参、ジャガイモとか言い切れないぐらい沢山あるよ』


みいさは指折り数えながら答えていた。





「残念だ。知らない名前ばかり」


アンはしょんぼりして肩の荷を下ろした。


しかし、聞いたことのない名前をスラスラ言うみいさを見てアンは確信を持ったようだ。


「みいさって本当に別世界から来た人間なんだね」


いきないの言葉にみいさは、アンの肩をベシッと叩いた。


『何改まってるの?変なのー!』


「実はね、こんな事初めてだったから、少し疑ってたの。ごめんね」


アンはみいさの方を向き、顔の前で両手を合わせて謝った。


『いいよそんなの。誰だってそう思うはずだよ?私も最初は夢かと思って受け入れられなかったもん』



「ありがとう。ところでさー、みいさのいた世界ってどんな所なの?色々知りたいな」


アンは目を輝かせながら聞いた。


みいさは先ほど、ラベルに教えた事と併せて他の事も二人に教えていた。





ー・ー・ー・ー



ブーーッ



話に夢中になっていると、短い停泊時間はあっという間に過ぎ、船が出港の合図を響かせていた。


『もう出発なんだ。てっきりここで何日か止まると思ってた』


あまりにも早い出港にみいさはラベルに聞いた。


「でも、ここからシャンバラまで結構遠いし、そこで一日は停泊するはずってランギリ様が言ってたよ」



「シャンバラ国は綺麗な所なんだよ!そこで散策とかしよ!ちなみに私のお勧めの場所もあるんだ~」


どうやらアンはシャンバラ国に行った事があるそうだ。


『行きたーい。楽しみだな~』


みいさはとてもワクワクしていた。

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