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知らない景色

草木の渋い香り。天気が良いのか太陽の暖かさを全身で感じる。なんだか良い心地で目が覚める。


「あれ、外・・・?」


目を開けるとそこに広がるのは草原。


「私さっきまで街に居たのに、え?何で?ここどこなの?」


目を身開けて驚いているのは、"みいさ"という少女である。肩に掛かる程の黒髪に黒い瞳、体系は細身に筋肉が程よく付いておりワンピースを着ている。

寝ころがっている姿勢から座る姿勢に態勢を変えた。


そこは草原が辺り一面広がっているのみで、人や動物の気配が全くない。普通ならもう少しパニックになってもおかしくはないのだが、みいさは一瞬驚いただけで何故か冷静である。それは目の前に広がる壮大な景色と心地良い空気が心を落ち着かせているのだろうか。


しばらく無言で辺りを見渡す。


みいさが先ほどまでいた街には草原はない。

ここは一体どこなのか?

どうやってここに来たのか?

何故ここで寝ていたのか?

考えても全て分からない。


"ここにいても分からないから取り敢えず歩き出そう"


そう思い、立ち上がり歩き始めた。

人工的に作られた道はなく、ただただ目の前の草原を真っ直ぐに歩いた。

しばらく歩くと街らしき風景が見えてきた。


「やったぁ、街だ!」


これで、ここが何処なのか分かる。

そう思い、小走りで街に向って行った。


ー・ー・ー・ー


街に着くと、そこには見たことがない人々の暮らしがあった。


道の両端で出店みたいに食材や日用品などを売っている人がいれば、荷馬車で移動している人などがいる。


着ている服も布製品のものがほとんどであり、みいさの服装は紺色のワンピースで、あまり目立たないが、でも少し周りからは違和感を感じるといった微妙な服を着ている。


とにかく誰かに話し掛けないと始まらないので、近くの出店で買い物を終えた女性に話し掛けることにした。


「すいません、ここは何て言う街ですか?」


「ディープルだよ」


話し掛けられた女性は優しい表情で答えてくれた。

しかし、その答えを聞いた途端、みいさは耳を疑った。


"カタカナ?"

"カタカナの地名なんて聞いたことないぞ"


「あのー、日本にそんな地名ありましたっけ?」


みいさは恐る恐る聞いた。

出来れば、さっきの言葉は冗談であってほしいと思っていた。


「ニホン?なんだいそれは。そんな名前聞いたことないよ」


女性は笑いながら、じゃーねーとその場から去って行った。


みいさはあの人が何を言っていたのか理解できなかった。

でも、日本じゃないとしたらここは何処かの外国かもしれない。

たまたま言葉の通じた人が日本を知らなかっただけで他の人なら知ってる。なんて無理矢理な解釈をした。


「すいませーん!」


今度は出店にたまたま客がおらず、暇そうにしている男性に話し掛けた。


「ここはどこの国ですか?」


"こんな変な質問をしたら絶対馬鹿にされる"と心の中でヒヤヒヤしながら男性の答えを待つ。


「嬢ちゃん、何変なこと俺に聞いてんだよー!」


案の定、馬鹿にされた。しかも大声で。


「ムーナ国だよ。嬢ちゃん、国の名前を知らずに来るなんて変わってるね。

....あれ?嬢ちゃん、ここらでは見掛けん顔と服装だけど、どこから来たの?」


「日本です。ご存知ですか?」


「ニホン?知らん国だわ。遠い所から来たんだな。それよりも、何か買ってってよ!」


"やっぱり日本を知らないんだ。

しかも、ムーナっていう国も私の世界にはない国名だ"


「お金持ってないんでいいです」


本当は特別に1つあげるよ。という言葉を期待していたのだが、世の中そんなに甘くはない。

男性にお断りをして歩き始めた。


そういえば先ほどから周りの視線が少し気になる。

やはりこの服だろうか。

だが、そんな視線も気にならない程に考えなければいけないことがたくさんある。


"本当にここは何処なの?もしかして全くの別世界に来てしまったとか?"



みいさは考え込みながら歩いていた。



その姿を後ろから追う者がいた。

その者は、みいさの腕に付けているある物に目を付けていた。


「ちょっと君」


みいさの左肩に手を置き声を掛けた。

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