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迫る魔の手

どうも風狼龍です。

お気に入りが少しずつ増えてきて嬉しいです。

それではどうぞ。

俺とルーシャはリーナ姫の後についていって、今はリーナ姫の部屋にいる。

リーナ姫は「こちらの椅子に座ってください」と言われて、俺とルーシャは椅子に座る。

そして、リーナ姫も席に着き、俺とルーシャと向かい合う状態になる。

それと同時に部屋の扉を誰かがノックする。


「入っていいですよ」

「失礼します」


リーナ姫の言葉に応える様に、ティーセットを手に持っている銀髪の少女が入ってくる。

そして、銀髪の少女は扉を閉めて、こちらを見たと同時に俺と目が合う。

この人、もう鎧は着ていないが、あの時俺に剣を突き付けた人だ!?

向こうも驚いた表情をしており、その表情はすぐに変わり、俺を警戒している表情になる。

俺を睨みながら、リーナ姫の方へと行き、ティーセットをテーブルの上に置く。


「ありがとうございます。フィア」

「いえ、当たり前の事をしたまでです。それよりも……何故、その男がここに? その男は姫様を暗殺しようとした人ですよ!」

「いいえ、違います」

「なっ!? 何を言っているんですか!? 実際、貴方を襲って……」

「彼は私を襲ってきたのではありません。偶然の出来事だったんです。それに、釈放すると言う事を大臣から聞いてないんですか?」

「いえ、何も」

「まだ情報が行き渡っていなかったんでしょうか? まぁ、ついさっきですし、仕方ありませんね。彼は無実ですよ」

「何故、そう言いきれるのですか!?」

「彼は別の世界から来たからですよ」

「え……? そ、それはどういう」

「今から説明します。よろしいですよね?」

「ハイ、構いません」

「それでは」


リーナ姫は俺の確認を取った後、銀髪の少女に説明を始める。

俺が地球と言う世界の日本と言う国から来た事を。

俺が何故、この世界に来てしまったのかと言う経緯を。

ルーシャの事も少しばかり話している。

リーナ姫がそれを話している間、銀髪の少女の表情は驚いたり、わからないと言う表情をしたり、どういう意味と首を傾げたり、話についていけてそうにない。

話が終わってからも、頭の整理が追いついていないのか、しばらく黙っている。

そして、しばらくしてから理解したのか、「そう言う事ですか」と頷いた。


「彼が別の世界から来た……と言うのは納得出来るかもしれません。見た事ない服も着ていますし」

「そう言えばそうですね。その服、何処かの軍の服なんですか?」

「あ、いえ……軍ではなくて、学校の制服で」


思えば、俺……あの時からずっと制服だった。

制服だって事を忘れていた。

リーナ姫は俺の世界の学校に興味があるのか、目を輝かせながら見てくる。


「学校と言う事は兵士育成学校にでも通っているんですか?」

「いえ、向こうの世界にはそう言うのはありません。学校は学業を学んだり、友達を作ったり……色んな人と交流する場所です」

「へぇ、ショウジの世界の学校はそんな感じなんですか」

「えぇ、まぁ」


どうやら、この世界の学校は兵士を育成する場所らしい。

他にもどんな学校があるか聞いてみると、古い文献などを解読するのを学ぶ学校、魔法使いなどを目指す子が通う学校など、色々あるらしい。

ただ、俺のところみたいな学校はないらしい。

魔法などが存在する世界だからこそなのだろうか。

俺はそう思いながら、銀髪の少女を見る。

名前を聞いていないな……。

そう思っていると、リーナ姫が気付いたのか、俺と銀髪の少女を交互に見た後、微笑みながら銀髪の少女を見る。


「フィア、ショウジに自己紹介をしてください」

「この男にですか?」

「ハイ。もう疑いは晴れたでしょう?」

「……わかりました。私はフィア・アークレイと言う。リーナ姫の側近の騎士だ。以後お見知りおきを」

「あ、どうも。俺は椎原祥司と言います。名は祥司で、姓は椎原です」

「そうか……。私達とは逆なのだな。異世界から来たのだから、ありえる事かもしれん。まぁ、何にせよ、よろしくショウジ。後、敬語じゃなくていいぞ」

「わかり……わかった。よろしくフィア」


俺とフィアは握手をして、お互い挨拶をする。

それと同時に誰かが俺の服を強く掴むのを感じる。

見てみると、ルーシャが俺の服を掴んでいるのだ。

別に何処かに行こうとしている訳でもないのに、どうしたのだろうか?

俺は不思議に思いながらも、フィアとの握手をやめる。

そしてフィアは、俺の服を掴んでいるルーシャに気付き、目をそちらへと向ける。


「君は……?」

「……私はルーシャ・ルフレッド。だけど、ショウジ以外が呼ぶのは認めない」

「こら、ルーシャ! ダメだろう? そんな事言ったら」

「私の名前を呼んでいいのはショウジだけ」

「そんなんじゃ、いつまで経っても友達が出来ないぞ?」

「いい。ショウジがいてくれれば、それだけでいい」

「ルーシャ……あのな?」

「気にしないでくれ、ショウジ。本人が嫌だと言っているのだから、無理にそうさせるのも良くない」

「そうか? フィアがそう言うなら……。でも、リーナ姫が」

「私も気にしません」

「そうですか」


俺は二人の言葉に了承し、ルーシャに言うのをやめる。

ルーシャは本当に俺以外に名前を呼ばせる気はないのだろうか?

もし、そうなら友達が出来るか心配になってくる。

リーナ姫はそんな俺とルーシャを見た後、フィアの方を見る。


「フィア、貴方も一緒にお茶でもどうです?」

「いえ、すみませんが、姫様と一緒にお茶するのは立場や身分として……」

「もう、立場とか、身分とか関係ありません。私が一緒にお茶をしましょうと言っているんですから」

「ですが……」

「なら、命令でどうですか? 一緒にお茶をしましょう」

「命令……ですか」

「命令なら逆らえないでしょう?」

「……わかりました。ご一緒させてもらいます」

「ハイ」


フィアは渋々と言う感じで椅子に座る。

まぁ、身分などがあるから断っていたのだろうか……リーナ姫に押されて、渋々了承した様だ。

それに命令とまで言われれば、逆らえないだろう。

色んなとこで恐ろしい姫様だ。

俺はそう思いながら、リーナ姫を見る。

リーナ姫は俺の視線に気付いたのか、微笑みながらこちらを見る。

でも、リーナ姫はいつも微笑んでいるよな。


「あ、そう言えば……お二方は紅茶は飲めますか?」

「えぇ、大丈夫です」

「私も大丈夫……」

「そうですか、よかった。もし、ダメだったらどうしようかと思ってましたから」

「そうですか」


一応、人の事も考えている様だ。

リーナ姫は俺とルーシャに確認を取った後、ティーポットを手に取り、カップに紅茶を入れ始める。

それにカップは何故か四つある。

最初からフィアを参加させるつもりだったかの様に。

いや、参加させるつもりだったから、四つ頼んでいたのかもしれない。

抜け目のない人と言うか、何というか……。

少ししか接してないのに、この人の考えそうな事が大抵わかる様になった気がする。

リーナ姫は紅茶を入れた後、俺達全員に配り、紅茶を飲み始める。

俺もそれを見て、紅茶を飲んでみる。

飲んでみてわかったが、やはり異世界と言うべきか。

紅茶もこちらの世界とは違う様だ。

言葉が同じなだけで、この世界の紅茶の葉を使用している。

だから、味が全然違うと思える。

と言っても、紅茶には詳しくないけどさ。

俺は紅茶を飲みながら、質問をする事にした。

この世界はどういう世界なのか、どんな事があるのか。

色々聞いておいて、損はないと思う。

しばらくはこの世界で生きていくのだから、情報だってそれなりに必要だ。

俺は紅茶が入っているカップを置くと、リーナ姫を見る。


「リーナ姫、質問してよろしいでしょうか?」

「ハイ、いいですよ」


リーナ姫は紅茶が入っているカップを持ちながら、微笑む。

それじゃ、まずは何から聞こうか。

とりあえず、この世界の情報がほしいところだ。

それなら聞く事は決まっているな。


「それでは。この世界『マーナリー』はどんな世界なんですか?」

「どんな世界……ですか」

「ハイ、どういった世界なのか気になりますので」

「やはり、そうですよね。自分と知らない世界に来たのですから、そちらの情報がほしくなるのもわかります。わかりました。出来る限り、お答えしましょう」

「お願いします」


俺は頭を下げて礼を言う。

リーナ姫は「気にしないでください」と言っているが、俺にはありがたい事だ。

普通なら、情報をそう簡単に手に入れる事は出来ないだろう。

逆に通行人などに聞けば、何言ってんだこいつ? みたいな顔で見られるであろう。

別の世界から来たと言っても、きっと信じてもらえない。

リーナ姫は人を信じる大切さを知っているからこそ、俺は助かっているのだ。

俺は頭を上げて、リーナ姫の言葉をちゃんと聞くために耳を澄ます。

ルーシャも大切な事だと理解しているのか、静かに紅茶を飲んでいる。

フィアも紅茶を飲みながら、俺とリーナ姫の方を見ている。


「そうですね。この『マーナリー』についてですね」

「ハイ、お願いします」

「この世界には色んな種族が存在します」

「色んな種族……ですか?」

「ハイ。私達の様な人族、ルーシャの様な獣人族と言った感じに、色んな種族があるのです」

「私の名前を呼んでいいのは」

「いいから、少し静かにしててくれ。な?」

「ショウジがそう言うなら……。わかった」


ルーシャはリーナ姫を睨みながら言おうとしたが、俺はすぐさまそれを遮る。

ルーシャには悪いが、話を進めるためにも静かにしてもらっていないといけない。

それに俺以外にと言っていると、本当に友達が出来そうにない。

この際だから、慣れてもらう事もしてもらおう。


「すみません。続けてください」

「わかりました。それで……この世界には色んな種族があると言いましたよね?」

「まぁ、ハイ」

「この国にも、人族以外にも色々います。ルーシャの様な獣人族や、また別の種族も、少なからずいます。それによって、この国は出来ているのです」

「そうなんですか……」

「ハイ。そして、この世界には『闇』と言うものがいます」

「闇……?」

「ハイ。闇です」


闇とはあの闇の事だろうか?

光と対になる存在である、あの闇だろうか?


「闇って、どんな存在なんですか?」

「そうですね……。まだ闇については謎が多いんですが、わかっている事だけ話しましょう。闇とは、心ある生き物には光と闇……つまり、表と裏があるのを知ってますよね?」

「まぁ、ハイ。誰にでも、そう言うのは存在するって言うのは聞いた事があります」

「そう言ったものが具体化したものだと言う存在らしいです」

「なるほど……」

「それと、もう一つわかっているのは、負の感情から生まれた存在でもあると言う事です」

「負の感情?」

「ハイ。怒りや悲しみ、苦しみや辛さ、色々あります。それがもう一つの方です」

「負の感情……ですか」

「ハイ」


簡単に言うと、心ある生き物の闇から生まれたと言う事だろうか?

つまり、この世界は魔物が国の外に徘徊している訳ではなく、その闇と言う存在が徘徊していると言う事なのだろうか?

てっきり魔物だと思っていたが、どうやら闇と言う存在が魔物の変わりをしているらしい。

ファンタジーの世界だから、てっきり魔物がいるものだと思っていた。

ファンタジーの世界だからと言って、敵は必ず魔物と言う訳ではないと言う事か。

俺は納得すると、頭の中に収めておく。


「さてと、こんな感じでよろしいでしょうか? 他に聞きたい事はありますか?」

「それじゃ、ここの通貨はどんな感じですか?」

「この世界の通貨……ですか」

「ハイ。俺の世界では、国によって通貨も違いましたから……」

「そんな世界なんですか? 『マーナリー』はどの国も通貨は一緒ですよ」

「そうですか。で、どんな通貨なんでしょうか?」

「この世界の通貨は『マナ』です。こんな風にコインに数字が刻まれています」


そう言って、コインを一枚出して、俺に見せてくれる。

俺はそのコインを手にとって、数字を見てみる。

だが……さすが異世界と言うべきか。

俺のところとは文字が違う様だ。

ましてや、英語でもない。

だから、なんて書いているのかわからないのだ。

この文字はどんな風に書くのだろうか?

俺は首を傾げながら、コインをリーナ姫に返す。

俺が首を傾げたのを不思議そうにリーナ姫が見てくる。


「どうしたんですか? 首なんて傾げて」

「せっかく見せてもらってなんですが……俺、この世界の文字わかりません」

「……あ、そうでしたね! ショウジは別の世界から来たのですから、字が違うと言う事もありますよね。すみません、うっかりしてました」

「いえ、言葉が通じるから、文字も一緒なんじゃと思った自分が悪いんです」

「いいえ。それに気付いていなかった私が悪いんです。だから、気にしないでください」

「いえ、ですが俺にも……」

「いいですね?」

「……ハイ、わかりました」


この人にここまで言われると、何故か素直に頷いてしまう。

そう言う勢いがあると言うべきか、迫力があると言うべきか……何と言えばいいのか悩んでしまう。

それに文字も覚えなければ、この世界でやっていけない。

だが、独学で出来る自信がないし……どうするか。

俺が悩んでいると、隣から服を引っ張られる感覚がして、それに反応して見てみると、ルーシャが俺の服を引っ張っていたのだ。


「どうした、ルーシャ?」

「私が文字を教えてあげる」

「本当か?」

「うん、ショウジが困ってるから、私が助けてあげる。それに、覚えるまでは、私は代わりに読んであげる」

「そうか。ありがとよ。でも、それだと、俺の傍にいる事になるけど?」

「私はずっとショウジの傍にいるつもり。私にはもう親はいないから」

「そう……だったな」


そう言えば、ルーシャは両親を殺されたんだったな。

だから、人間不信になって、人を怖がっているんだ。

俺には普通に接しているから忘れそうになるが、ルーシャは今でも人を恐れているんだ。

だからこそ、俺以外に名前を呼ばれるのを恐れている。

だけど、だからと言って、このままずっとと言う訳にもいかない。

俺だって、元の世界に帰る時が来る。

それまでには人間不信が治っているといいのだが。

俺はルーシャの心配をしながらも、リーナ姫を見る。


「通貨の事はわかりました。後、一つ聞きたいんですが、どうやったらお金とか稼げますか?」

「ギルドとかに行けば、クエストがあります。それをこなせば、生活していくくらいのお金は手に入ると思いますが、文字が読めなければ意味がありませんよ?」

「うっ……。わ、わかっています。少し気になったので、聞いただけです」

「そうですか。他に聞きたい事はありますか?」

「俺の世界にはなかった、魔法に興味があります。魔法について、聞いていいでしょうか?」

「魔法について……ですか。そうですね、私には少ししかわかりませんが、魔法には属性魔法と補助魔法など色んな魔法が存在すると言われています」

「魔法にも色々あるんですね」

「ハイ。私が知っているのは属性魔法と補助魔法くらいで」

「それだけでもいいので、教えてくれませんか?」

「わかりました」


俺の言葉にリーナ姫は頷く。

属性魔法と補助魔法が聞けるだけでも充分だ。

魔法がない世界にいる俺からすれば、魔法はとても興味深い。

この世界の魔法がどういったものか、とても気になる。

目を輝かせながら、リーナ姫を見る。


「それでは属性魔法についてですが、この世界には五大元素と言われる『火』『水』『雷』『土』『風』があり、後は『光』と『闇』が存在します」

「五大元素と光と闇ですか」

「ハイ、魔法にはそれぞれ下級魔法、中級魔法、上級魔法が存在します。下級魔法には詠唱を必要としませんが、中級からは詠唱を必要とするんです」

「詠唱……ですか。難しそうですね」

「覚えればそうでもありませんよ? 使えればの話ですけど」

「やっぱり、そうですよね」

「それと魔力を持っている人は得意とする属性が決まっています。風の魔法を得意とする人もいれば、火の魔法を得意とする。つまり、人によって得意な属性魔法は違います」

「つまり、その人が何の属性魔法を得意とするのかは決まっていると言う事ですか?」

「ハイ、そう言う事です。得意とする属性以外を使おうとしても、使えないらしいですし。魔力の性質がそうらしいので」

「つまり、魔力の性質で使える属性が決まると言う事ですか?」

「ハイ、そう言う事になりますね」


魔力の性質により、どの属性を使えるかは決まる。

火の魔力性質なら、火の属性を……と言った感じか。

更に詳しく聞こうと思ったが、リーナ姫はそこまでしか知らないらしい。

詳しく聞きたいなら、魔法使いに聞く方がいいと言われた。

まぁ、魔法使いの方が魔法には詳しいか。

当たり前の事なのに、何故思い付かなかったのだろうか。


「属性魔法についてはこんな感じでよろしいでしょうか?」

「ハイ、ありがとうございます」

「そうですか。それでは、次は補助魔法についてですね。私もこちらには詳しくありませんが、出来るだけ教えます。あ、フィアは補助魔法には詳しいでしょうか?」

「すみません。私は補助魔法を使わないので、そっちの知識はあまり……」

「そうですか。ルーシャは獣人族ですから、補助魔法は得意じゃないでしょうし……」

「確かに、ルーシャを見る限り、補助魔法は得意じゃないでしょうね」

「補助魔法は自信ない」

「キメ顔で言うなよ」


ルーシャが俺達の会話を聞いて、キメ顔をしながら言う。

って言うか、ルーシャのキメ顔初めてみたよ。

そういう顔も出来るんだな……こいつ。

だけど、ルーシャのキメ顔がさまになってると思えるのは俺だけだろうか?

不思議に思えてしょうがない。


「あの、話してよろしいでしょうか?」

「あ、すみません。どうぞ」

「わかりました。それでは。補助魔法とは、その名の通り、補助を行う魔法の事です」

「例えば?」

「例えば……そうですね。例えば、仲間のスピードをあげたり、力をあげたりなどそういった類ですね」

「つまりは仲間の能力を高めると言う事ですか?」

「ハイ、私が知っている限りでは。すみません、私も補助魔法についてはこれくらいしか知りませんので……」

「いえ、それだけでも充分です」

「そうですか。それはよかったです。他には?」

「そうですね。最後に聞きたい事があります」

「ハイ、何でしょうか?」

「リーナ姫は暗殺されそうなっているんじゃないですか?」


俺がそう聞いた瞬間、リーナ姫とフィアがピクッと少し反応する。

その反応を見る限り、リーナ姫を暗殺しようとしている人がいると言う事だろう。

リーナ姫はさっきと変わらず、微笑みながら俺を見てくる。


「何故、そう思うんですか?」

「いえ、暗殺と言う事に周りがあまりにも敏感すぎるので。あの大臣だってそうです。俺を暗殺者だ、と言って牢屋に入れられたり、俺が違うと言っても信じてくれませんでしたし……さすがの俺でもわかります。リーナ姫、貴方は暗殺されそうになっているんですよ?」

「さすがに、ここまで騒げば気付くか……」

「そうですよね。周りの反応を見ていれば、誰だって気付きますよね」

「やっぱり、そうなんですね」

「ハイ。実は一週間ほど前の話です」


リーナ姫は何があったのかを、説明し始める。

本人曰く、一週間ほど前にとある手紙が城に届いたそうだ。

リーナ姫宛だったので、手紙を読んでみると、そこにはこう書かれていたらしい。


『貴様の命を貰い受ける』


と、暗殺予告が書かれていたらしいのだ。

それを一緒に見ていたフィアが驚き、すぐさま兵士達を呼び集めて、警戒する様に言ったのだと。

その暗殺予告の噂はすぐに城内に広まり、リーナ姫は安全のためと言われて、城内から出る事が出来なくなったらしいのだ。

そして、市民達に顔を見せようとした時に、俺が偶然落ちてきたらしく、今に至る訳だと言う。

つまり、その暗殺予告のせいで警戒心が強まっており、犯人が誰かもわからず、俺を犯人だと思いこんだと言う訳なのか?

だから、あそこまで俺を暗殺者だとしか疑わなかったのか?

なんて言うか……とばっちりと言うべきだろうか。

まぁ、とりあえず、今はリーナ姫のおかげで牢屋から出られたのだから、良しとしよう。

だが、暗殺予告はあるものの、相手はまだ姿を現していないらしい。

だから、あの時……集団か、単独かを俺に聞いてきたのか、あの大臣。

まぁ、自分の国の姫様が殺されそうになっているのだから、人を疑うのは当たり前だと言うべきだろう。

だからこそ、見知らぬ俺をあそこまで疑っていたのかもな。

まぁ、もう過ぎた事をいつまで考えても仕方ない。

一番気になるのは、暗殺予告が嘘の可能性があるかもしれない事だ。

暗殺予告を出しておきながら、この一週間……一度も来ていないと言うのだ。

イタズラで送った可能性もあるが、国の姫様にイタズラで送るだろうか?

それに、ただ来ていないだけなら、幾つかの推測も立てられる。

一つは城の警備が強すぎて、潜入しようとしても出来ないのか。

もう一つは外部の人間を装って入ろうとしているが、外部の人間が城内に入るのを許していないか。

更にもう一つは隙を狙って待っているか。

そして、最悪のパターンなのだが、城内の誰かが暗殺者、もしくは黒幕と言う可能性だ。

もし、最後の方だとすると、リーナ姫は誰を信じればいいのかわからなくなる。

ましてや、城内の者達を疑いたくもないだろう。

だが、アニメとかではよくある展開だ。

現実であるかないかはわからないが、その可能性はありえるだろう。

ただ……憶測にしか過ぎないため、これを言っても無駄だと言う事。

話した所で、誰の言葉も信じるリーナ姫でも、さすがにこれは信じられないだろう。

なら、どうするか。

フィアに相談するべきだろうが、フィアが暗殺者と言う可能性もある。

大臣に相談しようとも思うが、あの人はまだ俺を疑っている可能性もあるし、暗殺者の可能性がある。

この城の兵士やメイドなどに話しても同じ事だろう。

城内にいるとなると、誰が暗殺者なのか、もしくは黒幕なのかわかりはしない。

推理ものの様にぼんぼん謎がわかる訳でもない。

少しでも、情報を集めた方がいいかもしれない。

証拠となるものは全て集めておいた方がいいかもな。

それに……一番怪しいのは大臣だ。

確かに、リーナ姫を思っている一面はあるが、あの小言や俺とルーシャの仲を見た時の反応。

あの反応は怒りや嫉妬とかの類ではなく、予想外の事が起きたと言った感じの反応だった。

あの大臣……怪しいところが多すぎる。

とりあえず、一番の候補は大臣だ。

大抵のファンタジーものなら、大臣が一番怪しいからな。


「ん?」


考え事をして気付いていなかったが、ルーシャが俺の服をさっきからひっぱているのに気付く。

俺がなかなか反応しないものだから、引っ張る力も段々と強くなっていった事を、引っ張られている服が物語っている。


「どうした、ルーシャ?」

「いる……」

「いる? いるって何が?」

「私達以外に誰かいる……!」

「俺達以外に誰かって……オイオイ、そんな冗談は」

「冗談じゃない。私達以外のニオイがする。私は狼種だから信じていい」

「ルーシャはそう言えば、獣人族でも珍しい狼種だったな。思えば、狼種は犬種と同じくらいに嗅覚が優れていると聞いた事がある……。まさか!?」


フィアはルーシャの種族と種類を思い出してか、すぐさま剣を鞘から抜いて、辺りを警戒しながら構える。

思えば、嗅覚が優れているんだったな。

つまり、俺達四人以外のニオイに反応するのは当たり前か。

と言う事は、暗殺者がいる!?

俺もそれに気付くと、すぐさま椅子から立ち上がり、辺りを見渡す。

ルーシャは鼻を動かせながら、辺りを見渡し、何処からニオイがするのかを探している。

フィアはリーナ姫を自分の後ろにやって、守る様に構えている。

ただ、この城内の人が来たと言う可能性もあるが、扉からそんな気配などしない。

と言う事は、暗殺者の可能性が大きいのだ。

その時だった。

何か光るものが目に入り、俺はそれに反応して、その方向を見る。

屋根裏から誰かの手が出ており、手にはナイフを持っているのだ。

恐らくナイフを投げて、リーナ姫を殺すつもりだ。

だが、フィアが盾となっており、リーナ姫を殺すのは不可能だろうし、フィアなら弾く可能性もある。

それと同時にナイフの刃が何かを纏うのが見えた。

いや、待てよ?

ここは魔法がある世界だ。

フィアを貫通し、そのままリーナ姫を殺すと言う事は出来るかもしれない。

魔法で貫通性か何かをあげれば……二人がやばい!?

そう判断すると、俺の体は脳が指令を出すよりも先に走り出していた。

それと同時に、相手も俺が走り出した事に気付いたのか、ナイフを投げる。

俺が行くよりも、ナイフが飛んでいくスピードの方がわずかに速い。

間に合わない……?

いや、諦める訳にはいかない!

リーナ姫には恩がある。

ここで返さないといけないんだ!

俺は足に力を入れて、リーナ姫とフィア目掛けて飛びつく。

俺の行動に反応した二人はこちらを向く。


「危ない!」

「え? きゃっ!?」

「いきなり何を……きゃっ!?」


俺が二人を押し倒したと同時にナイフが壁に刺さる。

それを見た二人はナイフを見た後、俺を見てくる。

と、とりあえず助けられた。

俺は起き上がろうと思い、手を床においた瞬間だった。

フニュッと何か柔らかいものを両手で触る感覚がした。

何だろうか……これは?

俺は不思議に思い、少し手を動かしてみる。

何か柔らかいものの様な気がするが……。


「あっ……ショウジさん……そこは」

「しょ、ショウジ……な、何をして……あっ」

「え……?」


俺は二人の声に反応して、自分が触れているものを確認してみる。

俺が触っていたのはリーナ姫とフィアの胸だった。

それに気付くと、俺はすぐさま手を二人の胸からのけて、立ち上がる。


「す、すすすすす……すみません! わ、わざとじゃないんです!」


俺は弁解しようと一生懸命に言うが、フィアは顔を真っ赤にしながら起きあがり、体を震わせながら、俺に近づいてくる。

フィアの手は拳を作っており、力が入っているのか震えている。

そして、その拳を振り上げると……


「この変態がぁ!」

「痛っ!?」


力強く俺の頭を殴ってきた。

頭から来る激痛に俺は目に涙を浮かべながら、フィアを見る。


「い、痛いだろ! 何すんだよ!」

「お、お前がむ、むむむむ……胸を触ったからだろう!」

「あ、あれは事故であって、わざとじゃ……」

「それにしては、揉む様に触っていたではないか!」

「あ、あれは何か確認するためで……その」

「やはり、そうなのではないか!」

「うっ……言い返せないのが、悲しい」


確かめるためとはいえ、女の人の胸を揉んだのは事実。

だから、言い返せないのだ。

確かに俺が悪いが、助けた後、あぁなるなんて誰が思うだろうか?

ラッキースケベの主人公とかではあるまいし。


「ショウジは胸……大きい人が好きなの?」

「いや、何してんだよ、ルーシャ? 自分の胸を触りながら、何でリーナ姫とフィアを見ているの? それとその質問おかしくない?」

「おかしくない。ショウジの性癖を確かめているから」

「何でだよ!?」


ルーシャは自分の胸を触りながら、リーナ姫とフィアの胸を見てから、自分を胸を見ているのだ。

ルーシャ、お前はまだ成長期だから大丈夫だよ。

多分、人間とは違うと思うけどさ。

それと同時に別のところから、手とナイフが出ているのを見つける。

距離的に考えて、俺には間に合わない。

一番近いルーシャに頼むか!


「ルーシャ! そこの奴の手を掴んで引きずり出せ!」

「もう気付いてる」


俺が言うよりも先に、手が出ている場所に移動しており、その手を掴むと、ルーシャはその手の本人を下に引き下ろす。

そして、屋根裏に潜んでいたのか、そこから仮面をつけている奴が落ちてくる。


「アイツが暗殺者か……」

「に、なるな。姫様、危ないので下がっていてください」

「わかりました……」


リーナ姫はフィアの言葉に頷くと、被害が出ない様に距離をとる。

それと同時にルーシャがこちらの方へと吹き飛んでくる。

吹き飛んできたルーシャを受け止めると、すぐさま仮面をつけた人を見る。

仮面をつけた人はそこに佇んでおり、俺達を見てきている。

フィアは仮面をつけた人を睨み付けながら、口を開く。


「貴様、何が目的だ! 姫様の暗殺か!」

『……そうだと言っておこう』

「紙……? 喋ったら、正体がバレると思っているからか?」


仮面をつけた人はフィアの問いに、紙に文字を書いて答える。

喋ったらバレるかもしれないからか……。

もしくは喋れないのか。

いずれにせよ、相手はリーナ姫を暗殺しにきた奴だ。

警戒は必要だろう。

すると、仮面をつけた人は再び紙に何かを書き、こちらへと向けてきた。


『私の邪魔をするのならば、貴様等も殺す』

「出来るものならやってみろ! 私はリーナ姫の側近の騎士だ! 姫様を守るのが私の指名! 暗殺しようとしているのならば、私も容赦しない」

『お前じゃ、私には勝てない』


仮面をつけた人がその紙を見せて、投げ捨てたと同時に動き出す。

仮面をつけた人は素早い動きで、フィアの前に現れて、袖に仕込んでいたであったのか、そこから短剣を取り出し、フィアの顔目掛けて振るう。

フィアはその一瞬の動作に気付き、剣を前に出して防ぐが、もう片方の手にも短剣を取り出し、素早い攻撃をしている。

フィアはその攻撃に反応するが精一杯なのか、剣で防ぐので一生懸命である。

短剣と剣では重さも違うし、攻撃を出せるスピードも違うだろう。

フィアが防戦一方なのに対して、仮面をつけた人はどんどん攻撃してくる。

頭、体、腕、足……色んな場所目掛けて短剣を振るい、フィアはそれを防ぐのに一生懸命である。

俺も……戦わなきゃ。

このまま見ているだけじゃ、男としてダメだし……あの時の様な後悔はしたくないから!

俺は意を決して走り出し、拳を構える。


「ウオオオオオオオオッ!」

「ッ!」


俺の声に反応したのか、仮面をつけた人はこちらを見てくる。

このまま拳を叩き込む!

俺は自分の拳を仮面をつけた人の顔目掛けて振るう。

これならどうだ!

だが、考えが甘かった。

俺の拳が当たる前に、仮面をつけた人が俺の腹部に蹴りを叩き込んでいたのだ。


「ぐっ……がはっ!?」

「ショウジ!」


相手の蹴りが強かったのか、そのまま吹き飛ばされ、床に叩きつけられて、何回かリバウンドした後、壁に激突する。

それと同時に肺から空気が漏れて、息苦しくなる。

クソ……やっぱりダメか。

そもそも、喧嘩もした事がない俺が勝てるのだろうか?

いや、ダメだ……弱気になっちゃ。

あの時の様な後悔はしないって決めたんだから!

俺はふらつきながらも立ち上がり、仮面をつけた人を見る。

仮面をつけた人は防戦一方だったフィアに出来たわずかの隙に前蹴りを放ち、フィアを蹴り飛ばした。


「あああああああっ!」


フィアは壁に激突して、蹴られた場所を押さえながら立ち上がる。

仮面の人はそれを見てから、こちらを見てきた。

どうやら、標的をフィアから俺に変えたらしい。

覚悟するがいい、と書いた紙を見せて、こちら目掛けて走ってくる。

さて、どうするか。

俺は喧嘩さえもした事がない、戦闘の素人だ。

このままじゃ、普通に殺されるだけだ。

なら、どうすればいい?

魔法を使えれば、別の話になってくるのだが。

そう考えている間にも、仮面をつけた人は迫ってきており、短剣を構える。

あれ……これつんだか?

そう思った次の瞬間、ルーシャが間に割って入る様に仮面をつけた人目掛けて殴りかかる。

仮面をつけた人はルーシャの攻撃に反応し、急ブレーキをかけて、後ろに飛んで回避する。

ルーシャの拳は仮面の人には当たる事なく空を切り、そのまま床に叩きつけられて、その拳は床にめり込む。

どれだけ力を入れてたんだよ。

驚いている俺をよそに、ルーシャは拳を床から抜くと、相手を睨み付ける。


「ショウジに手を出す奴は許さない」

「ルーシャ……」

「ショウジは私が守る!」


ルーシャはそう叫ぶと、仮面をつけた人目掛けて走り出す。

と言うよりも、走っているところが見えない。

ルーシャは足が速いのか、もしくは獣人族の特徴だろう。

ルーシャはいつの間にか、仮面をつけた人の前まで来ており、相手の顎目掛けて拳を放つ。

つまりアッパーだ。

だが、仮面をつけた人はそれを軽くかわして、逆にその腕を掴む。

それにルーシャは反応して、蹴りを叩き込もうとするが、それよりも先に仮面をつけた人がルーシャを投げ飛ばす。

それによりルーシャは壁に激突し、そのまま床に倒れる。

そして、ルーシャを見てから、すぐさま俺の方を見てくる。

ルーシャがピクリとも動かないのを見て、俺は冷や汗を流す。

殺されたのだろうか?

いや、投げ飛ばされたくらいで死ぬだろうか?

なら、何を……。

すると、仮面をつけた人は紙に何かを書き、俺に見せてきた。


『あの獣人族の娘、かなり出来る様だから、先に眠ってもらった。何、気絶させただけだから安心するといい』

「お前……!」


俺は仮面をつけた人を強く睨み付ける。

気絶させたから、安心しろと言われても、友達があんな目に遭わされたのだ。

黙っている訳にはいかない。

それにリーナ姫を殺そうともしているから、尚更だ。

俺が立ち向かおうとした瞬間、部屋の扉が開き、そこから兵士達が入ってくる。


『……増援か。さすがに不利だ。私はこれでさらばとさせてもらおう。また来るぞ』


その紙を俺に見せてから、窓を突き破って、そこから逃げ出す。

それに反応した兵士達は窓へと近づき、仮面をつけた人が逃げていく方向を見る。


「あ、逃げたぞ!」

「逃がすな! 追え!」


兵士達はすぐさま、仮面をつけた人の追跡へと向かった。

俺はそれを確認すると、緊張が解けたからか、体に力が入らなくなり座り込んでしまう。

リーナ姫はすぐさま俺の傍に駆け寄ってくる。


「大丈夫でしたか、リーナ姫?」

「ハイ、大丈夫です。皆さんに助けてもらいましたから。特にショウジさんには体を張ってもらって」

「いえ、いいんです。恩返しのつもりですから」

「恩返しされるほどの事をした覚えはありませんよ?」

「いえ、俺とルーシャを牢屋から出してくれたじゃないですか」

「それは貴方達が無実だからですよ。当たり前の事をしただけです」

「ですが……」

「わかりましたね?」

「……ハイ」


俺はリーナ姫の言葉に頷く。

やはり、この人と言い合いしても勝てそうにない。

それよりもルーシャは大丈夫だろうか。

俺は心配になり、すぐさまルーシャの元へと向かう。

フィアはルーシャを看てくれており、フィア曰く、軽く脳をやられただけらしい。

少しすれば目を覚ますと言っていた。

そして、フィアが言った通り、ルーシャは目を覚まし、眠たそうな顔で俺を見てくる。


「おはよう、ショウジ」

「いや、おはようじゃないよ!? まぁ、何ともなくてよかった」

「何ともなくて……? そう言えば、あの仮面の奴は?」

「逃げたよ。兵士の人達が来て、不利だと思ったんだろうな」

「そう……。よかった、ショウジに何もなくて」

「逆に俺はルーシャに何かあったんじゃないかと心配したんだからな」

「問題なし」


ルーシャはピースを俺の方に向けながら言う。

これなら、問題はなさそうだ。

それよりも……暗殺者は本当に来た。

と言う事はこれから、何度か襲ってくると言う可能性もある。

このままだと、リーナ姫が危ないし、何よりも恩がある。


「リーナ姫」

「何ですか?」

「恩返しとして、リーナ姫を暗殺者から守ろうと思うので、しばらくの間、傍においていただけないでしょうか?」

「恩返しって……さっき言った通りじゃないですか。当たり前の事だと」

「なら、個人的な事だと思ってくださってもいいです。こんなに優しくしてもらったリーナ姫を殺されたくないですから」

「ショウジさん……わかりました。なら、守ってもらいましょうか。フィアもいますが、貴方もいれば心強いです」

「俺は強くありません……。ですが、必ず守ってみせます!」

「期待しています」

「ショウジがそう言うなら、私も」

「本当ですか?」

「だけど、私が守るのはあくまでショウジ。貴方じゃない」

「わかってますよ」


ルーシャは相変わらずだが、リーナ姫は何も気にしていない様だ。

ルーシャも早く別の人と仲良く出来ればいいのだが。

俺はそんな不安を抱きながら、ルーシャを見る。


「お風呂……入りたいな」

「お風呂ですか? でしたら、この城のお風呂に入るといいですよ。広いですし」

「お風呂か……。俺もいいですか?」

「ハイ、いいですよ。ちゃんと男女で分けられてますので。兵士達や使いの人達が住み込みなので」

「そうなんですか。助かる……」

「じゃあ、ショウジ。一緒に入ろう?」

「うんうん、一緒に……え?」

「ん?」


俺はルーシャの言葉に驚くしかなかったのだった。

今回は少し長くなってしまいました。

それではまた次回。

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