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プロローグ

初めまして、風狼龍と言います。

OVL文庫大賞と言うのがあったので出してみます。

間に合うかどうかはわかりませんが、出来る所まで頑張って書いてみますのでよろしくお願いします

「ああああああああああッ!?」


俺は今、叫び声をあげながら落ちている。

高度はどれくらいあるだろうか?

いや、そんな事を考える暇もない。

だって、落ちているんだもの!

凄い勢いで落ちているんだもの!

何故……俺はこんな目に遭っているのだろうか?

こんな事になる前の数分前の事を少し思い出す。



俺……椎原しいば祥司しょうじはいつも通り、高校からの帰宅路を歩いていた。

高校で部活をしているわけでもない帰宅部の俺は、いつも通り放課後には帰っていた。

友達は部活をしていて、お前は入らないのか? と聞かれたが、入る気はないと言って、断った事がある。

だから、俺はいつも通りの帰宅路を歩いていたのだが……少し寄り道をしたくなった。

この時の俺はまさか、あんな目に遭うとは思ってもいなかった。

寄り道と言っても、家の近くにある商店街に来ただけなのだが。

この商店街はいつも活気があって、俺もよく来る場所だ。

小さい頃からよく来ている場所なので、知り合いだっている。

だから、ここに来れば色んな店の人が挨拶してくれる。

俺もそれに答える様に挨拶をする。


「おっ! 坊主! 制服で来たのかよ? 初めて見たな! お前の制服姿!」

「思えば、おじさんには見せた事なかったな」

「おう! たまには来いって言ってたのに、お前は全然来なかったからな! 何だ、珍しく寄り道か?」

「悪いかよ……。何か、今日は足がこっちに向いたんだよ」

「で、珍しく寄り道をしたくなったと? 来るとしても、一旦家に帰って、着替えてから来るのにな」

「たまにはいいだろうが」


俺は魚屋を営む体格の良いおじさんとそんな会話をした後、「また」と言って歩き出した。

いつもは家に帰って、着替えてからくるのだが……こういうのも悪くない。

制服姿でいると、知り合いの人達からは珍しそうに見られるのが多いが。

そろそろ家に帰ろうか……。

俺がそう思った時だった。


「もし……そこの貴方」

「ん?」


俺はその声に反応して、声がした方を見てみると、そこには顔や口を隠していて、如何にも占い師と言った格好をしている人だった。

声からして、女性だと判断出来る。

その人の前には机の上に丸い水晶が置かれている。

占い師……なのだろう。

それよりも……この人は俺を呼び止めたのだろうか?

俺は辺りを見渡した後、その人を見ながら、自分を指さす。


「俺……?」


俺がそう聞くと、その人は首を縦に軽く振って、コクコクと頷く。

俺は不思議そうに首を傾げながら近づくと、その人は手を椅子の前に出す。

座れ……と言っているのだろうか?


「座ればいいんですか?」

「ハイ……」


俺が聞いてみると、その人は返事をしながら頷く。

俺は怪しく思いながらも、その椅子に座り、その人と向き合う状態になる。

何か……やばいかも。

向かい合ってから気付いたが、少しやばいと言う感じがした。

何故だかわからないが、そう思えたのだ。


「あの……」

「貴方……」


何故、俺を呼び止めたのか理由を聞こうとしようとした瞬間、その人が口を開き、俺の言葉は遮られる。

素顔はわからないが、サファイアの様に綺麗な瞳がこちらを捕らえているのがわかる。

俺は綺麗な瞳だな……と思ったと同時だった。

その人がいきなり意味がわからない事を言ったのだ。


「落ちますよ」

「あぁ、落ちる……え?」


俺は一瞬納得しかけたが、すぐさま反応する。

今……この人なんて言った?

落ちる……?

落ちるって言いましたか、この人?


「穴に落ちますよ? 貴方」

「は、はい? ど、どういう意味だよ!?」

「そのままの意味です。ちなみに、そのまま穴に落ちて、一人の女性と激突します」

「な、何を急に言い出すんだよ……?」

「急ですみません。水晶に貴方の運命がそう映っていたものですから」

「映っていたって……アンタ、占い師なのか?」

「えぇ、まぁ。これでも私の占い……よく当たるんですよ?」

「一つ聞くが、俺を呼び止めた理由もそれか?」

「ハイ、そうですよ。この事を教えてあげようと思いまして」


教えてあげようって……。

善意からなのだろうけど、穴に落ちるってどういう意味なんだよ?

そもそも占いって当たるのか?

ファンタジーな世界ならともかく、この世界は現実だ。

魔法やら、超能力やらがある世界ではない。

普通に科学が発展した世界だ。


「ゴメンだけど、俺は占いとか信じない方なんだ。当たるとは思えないからな」

「当たるも当たらないも、信じるのは貴方の自由です。ですが……少しは信じてみるのもありですよ?」

「さっきも言ったけど、俺は信じないからな。穴に落ちるとか……そう言われてもピンと来ないな」

「当たるも八卦当たらぬも八卦と言うじゃないですか」

「さっきは信じるのは自由って言っておきながら……」

「……そうですね」

「それじゃ。あ、お金を払わないといけませんか?」

「いいえ、私が勝手にした事なのでいりません」

「そうですか。それでは」

「それでは……」


俺は歩き出して、その場を後にする。

さっきは興奮して、敬語じゃなくてなっていた。

さすがに初対面の人にため口はダメなので、敬語を使っている。

それにしても……あの人が言っていた事、気になるな。

穴に落ちると言っても、どの穴に落ちるのだろうか?

それに落ちた後に女性に激突するとは、どういう事だろうか?

穴の中にその人がいるのだろうか?

そうだとしても、どの穴にいるのだろうか?

落とし穴……はありえないし、される様な覚えはない。

マンホールとかはありえないし……。

と言うよりも、普通、穴の中に人などいるハズがない。

やはり占いだ。

信じる必要もないだろう。

俺はそう思い、近道のために裏道に入った瞬間だった。

地面に足が着いた様な感覚はせず、逆に浮遊感を感じた。

俺は不思議に思いながら、下を見ると、そこには穴があった。

穴と言っても、落とし穴やマンホールの蓋が開きっぱなしのままの穴とかではない。

中は虹色で、不思議な感じさえする。

俺はいきなりの事で反応出来ず、そのまま穴に落ちてしまった。


「うわああああああああっ!?」


俺は落ちた事に驚き、大声をあげながら虹色の空間を落ちていく。

占い師の言っていた穴とはこの事なのだろうか?

あの占い師は俺がこの穴に落ちると言う事を教えたかったのだろうか?

俺がそう考えたと同時に虹色の空間から放り出され、周りには青空と白い雲が見えた。

もしかして……空の上!?

俺は驚きながらも、重力に従って落ちていく。

空には俺が落ちてきたであろう虹色の空間がある穴があり、俺はそれに手を伸ばすが届くわけもなく、そのまま落ちていき、その穴はすぐに消えてしまう。

俺はそれに目を見開き、そんな俺を無視して、体は地面へ向かって落ちていくのだ。



そして……今に至る訳だが、下には城と城下町が見える。

洋風な所を見ると、日本でないのは確かだ。

だが、俺がいたのは日本のハズだ。

でも、日本にあんな城や町などない。

それよりも、こういう状況で冷静な俺もどうかと思う。

今から死ぬかもしれないのに、冷静な俺って……なんかおかしい。

それによく見てみると、城の前に人がいっぱい集まっている。

もし、あの中に落ちれば、俺だけでなく……激突した人もひとたまりないだろう。

もしかして、あの占い師が言っていた女性と激突するってこういう事なのか!?

あの言う事が本当なら、その女性もひとたまりもない。

嫌だよ!?

死ぬにしても、誰かを巻き込んで死ぬのは嫌だよ!?

いや、死ぬのも怖いけどさ!

俺はどうにかならないかと思いながら、考える。

それと同時に城の方から一人の女性とその周りに鎧を着た人が四人が城のテラスに出てくるのが見えた。

女性は白いドレスを着ており、太陽の光で煌めく腰まである金髪が見える。

綺麗だな……と思ったが、俺が落ちていく方向は人集りの方ではなく、そのドレスを着た女性の方だと気付く。

このまま激突すると、あの人はただじゃすまない!

と言っても、俺は空の上だ。

身動きが取れる訳もない。

このまま……俺はあの人を巻き込んで死んでしまうのだと思う。

その時だった。


「ウイング……」


何処からか、そんな声が聞こえた。

俺はそれに反応して、辺りを見渡すが、ここは上空……誰かいるハズがない。

それにあの人集りからだとしても、集まっている人達の声が大きいし、ここまで聞こえるハズがない。

それと同時に自分が落ちている速度が落ちていっているのに気付く。

何故、速度が落ちているのかは知らないが、これなら死ぬ事はないと思う。

俺がそれに安堵した次の瞬間、頭に痛みが走り、そのまま地面に倒れてしまう。


「痛っ!?」

「痛い……!」


え……?

今、俺だけの声じゃなかった?

俺は恐る恐る顔をあげる。

思えば……減速しているだけで、ぶつかるというのは変わりない事だ。

つまり、俺は……。

顔をあげ、目に映ったのは……頭を抑えているドレスを着た女性だった。

俺……頭突きしてしまった様です。

俺はすぐさま立ち上がって、謝ろうと思い、その人に近づこうとした瞬間、首もとに冷たく、銀色に光るものを突き付けられた事に気付く。

ゆっくりと視線を下に向けると、そこには太陽の光を反射して光る剣が見えた。

何で剣を突き付けられて……って言うか、これ本物!?


「貴様……」


隣から声を聞こえ、見てみると、綺麗に煌めく銀髪をポニーテールにしており、ルビーの様に綺麗な瞳で、歳は俺と一緒だろうと思える少女が俺を睨んでいた。

美少女とも思えるが……正直剣を突き付けられていては恐怖しか感じない。


「あ、あの……何で、俺……剣なんて突き付けられてるんでしょうか?」

「貴様……自分が何をしたのかわからないのか?」

「えっと……その人にぶつかってしまいましたが……」

「貴様、この方が誰かわかっていてぶつかったのか?」

「い、いえ……その人がどうか?」


もしかして……やばい人と激突しちゃった?


「この方はルミーナ国の姫君、リーナ・ルミナリア様だ! 貴様はその姫君に事もあろうことか、体当たりをしたのだぞ!」

「え……ええええええええっ!?」


俺は二重の意味で驚きの声をあげた。

一つ目は俺はこの国の姫君に激突してしまった事だ。

いや、城から出てきた時点で、そう言う人だろうなとは思っていたが、本当にそうだったとは。

それともう一つはここが日本ではない事。

そもそもルミーナ国って何処だよ。

聞いた事がないし、そもそも俺がいたのは日本だったし……どうなっているんだ!?

俺が混乱しているのを知ってか知らずか、その少女は俺に剣を突き付けたままだ。

すると、一人の中年くらいの男が城から出てきて、俺に近づいてくる。

そして、その人は俺を見ると、


「もしかしたら、姫様を暗殺しようとしている奴らの一味かもしれん! 騎士フィアはそのまま姫様の傍に! 他はこの者を牢屋へと連れて行け!」

『はっ!』

「……え?」


俺はその男の言葉に驚く。

牢屋……え?

牢屋に入れられる?


「さぁ、来い! 行くぞ!」


俺は両腕を鎧を着た人達に掴まれて、拘束される。

ま、マジで?


「ちょっ、ちょっと待ってくれ!? お、俺には何がなんだか!?」

「黙れ! 姫様を暗殺しようとした奴が!」

「しようとしてない! それよりも俺の話を……」

「後でじっくり聞いてやる! 何処から来たのか、仲間はどれだけいるのかをな」

「そっちじゃなくて!?」


俺は事情を聞いてもらおうとするが、相手にされず、そのまま連れて行こうとする。

俺は抵抗するが、相手の方が力は上らしく、引きずられる。

そして、俺は後ろを振り向いて、ぶつかった姫様を見る。

姫様は頭を抑えるのをやめていて、こちらを見ていた。

そして、目が合い、その瞬間、姫様が何かに気付いたのか、呼び止めようとしてくれたのかはわからないが、口を開こうとする前に俺は連れて行かれてしまった。

俺、椎原祥司、17歳……初めて牢屋に放り込まれました。

如何でしたでしょうか?

楽しめたのなら幸いです。

誤字、脱字などがあったら報告してください。

アドバイスなどがありました、教えてくださると嬉しいです。

頑張っていきますので、よろしくお願いします。

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