花嫁の父
この時代では珍しくなった平面画像の中でおお泣きしていた。
画面を見ていた男の目にも涙があった。
二人が見ているのは小さな神社で行われた結婚式である。
おお泣きしているのが結城進、日本が誇る外宇宙探査船【大和】の船長であり、結城舞の父親である。
こちらに居るのは、彼の親友である丸井太、通称タヌキである。
大和との通信は双子の素粒子によって行われているので、タイムラグが無い。
しかし、いまは別のデータの転送中なので、平面画像となっている。
大和は後に続く人類脱出計画のひとつ箱船の航路を開くため、今亜光速で航行中である。
最難関の冥王星外小惑星帯を通過した今乗員たちはヒマである。
全くすることが無い。
さっぱりすることが無い。
本当に・・・無い。
日本最高の頭脳集団が、である。
そのヒマ集団が、暇をもてあましてゲームを作ってみた。
それがTRYである。ちょっと試しに作ってみた。トライしてみた。・・・
始まりはその程度のもので・・・
気が付いたときには
最高の地質学者、偉大な物理学者、とんでもない生物学者・・
が全身全霊を込めて仮想世界を構築していた。
作り上げられていく世界がとても面白かったから・・・
そんなある日、一人がとんでもないことを言い出した。
本当に世界が創られている・・・と。
異世界へ転移する理由ってのがもうすぐあきらかになるらしいです。




