お兄ちゃん大好きだよ
「咲はもとにもどるのか?」
「それは無理だ。」
おれの肩をつかむ手に力が入る。
おれは、まっすぐに眼を見つめてくる相手にさらに続けた。
「失われたものは帰ってこない。だから元には戻らない。」
おれは視線をはずさずにさらに続けた。
「だが、新たに付け加えることは可能だ。おれに任せてもらえるならば、だが。」
「本当に、君の言う魂の核は壊れてないんだな?」
「ああ。・・」
じっと見つめあう二人・・恋愛感情は無い。
「まかせる。妹をよろしく頼む。」
橘警視は一歩後ろに下がって俺に最敬礼した。
「まかせろ。しかしなんか嫁にもらうみたいだな。」
「君にはやらん。」
おれは、彼の妹、橘咲の顔で笑った。
「下のカプセルに入れられていたワイルドキャッツの二人は将軍の部下が運び出した。時間を見計らってそっちで保護してくれ。一部記憶の欠損はあるが、ふつうに生活で来るはずだ。」
「パトロール中の警官が見つけるよう手配した。」
おれは顔を引き締めた。
「早田春海にはもう心が無い、体もそのあとを追うだろう。」
「亜紀は生きているように見えるが?」
「あれはおれと繋がっているからだ。ただの人形だがどうする?」
「そのままとっておけ、咲から引っ越す先も必要だろう。」
「現実的だな、人権がどうのこうのと言うと思ったぞ。」
「妹のためなら悪魔とでも取引するさ。」
にやっと笑いあう二人。
「ところで、こいつらどうする?静にもヒュプノスをつけたから好きにできるぞ?」
「悪魔プログラムの開発者と実行者か?好きにしろ。法律で捌けないやつらに興味は無い。警察はオカルトにもかかわらん。」
「とりあえず、後始末をさせてから考えるさ。タヌキも中央の人間だ。できるだけ知られたくは無い。」
「好きにしろ。」
「お兄ちゃん。大好きだよ。」
「悪魔め。」




