おれと舞の事情、二人で一人
おれの治療にはまる1日を必要とした。
落とされた腕をくっつけるのにはたいした時間がかからなかったんだが。
関節といい筋肉と言い、グジャグジャになってたからな。
内臓もいくつかつぶれてたし。・・・
治療タンクで浮いていたら、チュンが来た。そんな怖い眼でにらむなや、ちびってしまうだろ。・・
おれも今ややこしいことになっているが、こいつもまたややこしいやつだ。
チュンは基本を一つにした上で三つの人格を使い分けてやがる。おれは区別がつくけどな。
「おいジョン、後でおれの部屋に来い。お前がそこで浮かんでいる理由を教えてもらおう。」
おれは笑って答えてやった。まだしゃべれないんでな。
チュンの部屋はコロシアムの最上階にある。
職員とS級ライセンスのグラディエーターしか入ることができないが、おれも今はライセンス保持者だ。
ふん、木のドアか、とことん贅沢なことだ。
部屋自体は木をふんだんに使っているが華美ではない。趣味がいいじゃないか。・・
「おいジョン、舞ちゃんをどうした?」・・そんな怖い目で見るなや、ちびってしまうだろ。
「おれが見たときにはもう、舞の魂は悪魔に食われてしまった後だ。」
「悪魔だと?またいいかげんなことを。」
「いや、少なくともおれには、あれが悪魔に見えた。あのバフォメットはそうとしか表現できん。
・・おれが意識だけの存在なのはお前も知っているだろう。ゲームから弾き飛ばされたおれは、
悪魔を見つけ戦い、勝った。それがたまたま舞の心の中だった、らしい。」
「それで?」
「今思えばあのバフォメットこそは変質した舞の魂だったんだろう。
・・バフォメットを倒したあとには桜色の玉が残った。それこそ舞の魂の核だったと言うわけだ。」
「いいかげんなでまかせでもなさそうだな。」
「それで、情けないことなんだがな。おれの意識と言うか魂は、舞に喰われた。はははは。」
「喰われただと?」
「そうだ。舞のやつ魂を削られたもんで、だな、不足した分、おれを取り込みやがった。おれもともと核っていうか、自分の中心と言うものがなかったからな。おれを喰らい込んでその中心に収まりやがった。何べんでも言ってやるが、おれは被害者だ。おれが主導権をとっているように見えるが、本質は舞だ。体もそうだけどな。」
「なら、なんでお前がここにいる?」
「そりゃお前、分かっているだろうが。アニーに落とし前をつけてもらうためにさ。舞いも言いたいことがいっぱいあったみたいだしな。ただ舞いは核だけなんでな、純粋にお前に会いたいとしか、考えられんかった訳さ。」
「ふむ。」
「それでだな、ふたりともここへ来たかったんで、ここに居る訳さ。わかったらアニーと換われ。」
・・
「おいアニー分かってるんだろうな、勝負は分けたが、試合のルールでは挑戦者のおれの勝ちだ。分かってんだろうな。あとの二人にも納得させとけ、お前はおれの嫁だ。」
「約束は守る。けどおいジョン、顔が近すぎる。」
「嫁の顔に傷が残ってねえか確かめてるだけじゃないか、気にすんな。」
そのままおれはアニーを押し倒した。
ぇ?舞の貞操はって?
怖いこと言うなや。そんなもんに手を出したらどうなるかおれにも想像ぐらいできらぁな。




