紫の霧が二人を包む
午前の部で勝ち残った一人だけがコロシアムのグラディエーター専用食堂で飯を食える。
いやぁうまいねぇ・・・・
怖い顔でにらみつけてくる見習いさんたち、実のところみんな知り合いなんだが、おれマスクしてるからなぁ。
マスクをとりさえすれば笑顔でご機嫌さん。なんてもんなんだが、今日は特別な用件があるからな。
試合であたっても悪いが手加減してやれん。悪いのはお前らのボスだ。きのどくだがな。
おい、気持ち悪そうな目でこっち見るなや。おれデコレーションケーキ一人で食い尽くすのが夢だったんだ。
お前だってこのくらい食えるだろ。・・ふん。
午後は全米アマチュアチャンプが来てるってんで楽しみにしてたんだがな。
ん?次は出てこないのか?さっきの縞々と星の派手なんがチャンプだったんだと?
時間空いたな、おぃそこのケーキ食いに行っていいか?
ここの研修生はさすがによく鍛えられてる。おれが倒すのに5分もかかるじゃないか。・・
おい、おまえ、そんな怖い顔したってだめだっての。がしっべしっ。
ふむ、あんた丈夫だね、もひとつ、ごきっ。ここの医者は優秀だからいいよな。
おい、防具が壊れてるんじゃねぇ、衝撃を吸収する前に通してるんさ、あっちの人は分かるっていってるぞ。
村田さんだっけか。
はぁはぁ、おぃおまえら、へんなマスクつけたりしてるが、ランカーじゃないのか?
ぐぉっ。決めた後に一発もらっちまった。
くそっ。こいつら、勝つことよりもダメージを残しにきやがる。
もう時間がないか、・・おれは係りに合図を送る。
おぅ、想像以上だぜ。
掲示板にどはでに、
『アニー出て来い。おれが勝ったら嫁になれ。』・・手を振ってやった。
おぅ、うけてるうけてる。
掲示板の次以降の参加者がすべて辞退になり、代わりに一つの名前が入る。
【アニー・フレア】
ざわざわ・・ざわめく観客・・アニーってダレ?
逆に凍りつく関係者。・・アニーが出るか?
③ ② ① 開始
アニーの一の太刀とおれの兜割りが交錯する。
最先端の科学で守られたおれの左腕が肘から落ちる。・・
絶対壊れないヘルメットとマスクが割れアニーの素顔がさらけ出される。
モニターに大写しされる美貌の、左目の上からまっすぐ走る朱線。完全に左目はつぶれている。
微笑むアニー、おれもうれしくなるぜ、そうこなくっちゃ。
俺たちは再び交錯し、紫の霧が二人を包む。さすがおれの嫁。・・
ところでこいつ、こんなところでなにしてる?




