舞剣姫
「水チューだ。
噛むか?」
「やめておきます。」
「大丈夫だ。
これは噛み続けていれば消える。
噛んでいれば喉が渇くことはない。」
私は試しに噛んでみた。
ほんのり甘い...。
「次の町まであと15分だ。
気をつけろよ...。」
案の定、私たちは山賊に囲まれてしまった。
その数100。
「身ぐるみ剥いで置いてきな!
命だけは助けてやる!!!」
「どうするの...レオ?」
「無視する。」
「無視するの!?」
レオは何事もないかのように素通りした。
「待ってよぉ...。」
半ベソをかきながら私も後を追う...。
「あれ?
どうしたんだろう?」振り向くと山賊達は金切り声をあげてのたうちまわっている!?
「助けてくれぇ!!!!」
「熱い!体が焼ける!!!」
どうやら強力な幻覚で五感を奪ったようです...。
「さて、着いたぞ。」
そこに広がるのは美しい町...。
よく家族で旅をしたことはあったが、こんな町は見たことがなかった。
レオはポケットから銅貨を数枚取り出すと露店に売っていたドレスを購入した。
それは一般庶民の着るよそ行きのもの。
でも生まれて初めての他人からのプレゼントにとても心が温かくなった。
「俺の財布はこれを買うくらいで限界だ。
許してくれ。」
「ううん。
嬉しい。
ありがとう...」
私はドレスを胸に抱いた。
「下着は...安く売っている。これで買えるだろう...。」
レオはポケットをまさぐると錆びた五枚の銅貨を渡した。
それが彼の貧乏さを物語っていた。
「俺はたまに集まった材料で長持ちする菓子を作る。
それが俺のご馳走だ。」
ここで初めて、私は彼が自分のせっかくのご馳走を私のために出してくれていたことに気がついた。
「レオ...」
レオはそれを察してくれたらしく、少し照れた(とは言っても少し眉が動いただけ...)。
「ありがとう!」
「ふんふふ~ん♪らんらららんらら~♪」新しい服を着て、すっかりテンションが上がってしまった私は思わず即興でダンスを踊ってしまった。
それを不思議がるレオ。
どうやらダンスというのを余り知らないみたい...。
「お前...」
「これはダンスって言ってね...?」
突然、レオが私の肩を掴む。
「舞剣姫の使い手がまだ生きていたのか?」
えええええええぇっ!!!!!!!!
何それ!?
またお伽話でしか聞いたことのない伝説の名前が...
舞剣姫...昔、愛する王子を虐殺された姫が激昂し、罠に嵌めた人間を王子の愛した剣の舞で皆殺しにし、一族を滅ぼしたと言われる(かなり要約しました)。
「私が...その姫の末裔とでも言うの?」「知らないのか?
フローラ。
奥義というものに血筋など関係ない。
その人間が生まれ持った細胞にある。」
レオは突然、腰から二本の剣を渡した。
「この剣を貸す。
俺とトレーニングだ。」
「え...
えええええええぇっ!!!」
急過ぎませんか!?
レオ:「次は逃がさん。」
フローラ:「きゃはははは~♪
くすぐったい~♪」
レオ:「言っておくが、俺はくすぐり拷問のプロだ。」
フローラ:「わひゃりまひた!はなひまふから!!!
ゼー...ゼー...」
レオ:「さぁ、包み隠さずいえ。」
フローラ:「身長...167センチ...体重...45キロ...血液型...AB型...。」
レオ:「星座は?」
フローラ:「乙女座★」
レオ:「....」
フローラ:「きゃはははは!!!!!!
ごめんなひゃいぃぃぃっ!!!!
ゼー...ハー...
蟹座...です...」
レオ:「ではまた会おう...」
フローラ:「締めくくり下手ッ!?
きゃはははは!!!!!
ごめんなひゃいぃぃぃっ!!!!!」