表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/12

堕ちた花嫁と幻騎士

「いやああああああっ!!!」

ここは暗く、不気味な森の中...

一人の美しい花嫁は汚された....。

私は...泣いていた。


美しい花嫁姿だったはずの私は体中を汚され、服は破かれ、悲惨な姿になっていた...。



申し遅れました。

私の名前は『フローラ』。

フランベールジュ王国の末っ子。

私は今日、遠い国の王子様と結婚(政略結婚ですが)するために長い旅をしていました。



でも道中で賊に襲われ、私は彼らによって犯されてしまった...三日も。





私は汚れた体を少し起こし、隣で焚火をする男を見た。


彼は不気味な姿をしている。

物を切り裂くのではないかと思うほど鋭い切れ目、少しおかっぱ気味に切られた黒髪、そしてせっせと手入れしている四本の剣...。

この男は私が犯されているのを見つけると無慈悲に賊を切り刻んだ。

無言で....。


そして私の隣で剣にこびりついた血を拭き取っている。




私は怖くて話し掛けることができなかった。

しばらくすると、男は私に一枚の布を渡す。

〈体を拭け。〉

そう言っているように見えたので私は体にこびりつき異臭を放つ体液を拭き取った。

体についた全て。



「飲め。」

男は透き通った声で私に一本の薬瓶を差し出した。

恐る恐る口をつけ、一気に飲み干した....が、強烈な吐き気をもよおし木陰に吐く。


「口に含むだけで妊娠を回避できる劇薬だ。」サラっと言うと再び剣の手入れを始める。



「助けていただき、ありがとうございます...。」

「気にするな。」

男は目を逸らす。


「あなたの名前は...?」

「貴様から言うのは筋だろう。」

貴様という言葉に少しカチンときたが、相手は恩人だ。

ここは大人(?)の対応をする。

「フランベールジュ王国の末娘フローラです。」

「俺は...レオだ。(フランベールジュ王国...ナンバー2の大国か...)」

そっけなく返事すると剣を鞘に仕舞う。

「剣...ってことはどこかの国の騎士なのですか?」

レオは突然私を睨みつける。

その瞳に鳥肌が立つ。

「俺は浪人だ。

主君を若くして失い、今は旅をしながら依頼を受けつつ生活している。」

かなり危ない人に助けられたらしい...。


「あの...あなたは術師ですか?」

レオは私をまた睨みつける。

「あなたの体から...そんなオーラが漂いましたので...」

しばらく睨んでいたレオだったが、視線を逸らした。

「俺の幻覚を見破る者を見るのは初めてだ...」

突然の褒め言葉に私はびっくりした。


「俺は剣と幻術を併せて戦うスタイルを持つ。


人は俺の事を『幻騎士』と呼ぶ。



幻騎士...そのワードに私はハッとした。


昔、お母さんが私に歌って聞かせてくれた民謡の一つ。

内容はざっとこうだ。『昔...複数の剣と邪悪な魔法を操る騎士が邪な王に仕えていた...』という感じだったか...。


歌の内容は本当だったのだ。

現に私の前で彼は焚火の火を強めている。


くぅーっと私のお腹の虫が急に鳴き出した。

赤面する私にレオは鼻で笑った。


「ひどい!!!」


レオは私に一枚の焼き菓子をくれた。

食べると口の中に甘い味が広がる。

「口に...合うだろうか?」

レオは不安そうな顔をする。

「ううん...美味しい。」

私が笑顔で答えると彼は満足げな顔をした。

「今日はもう遅い。

これを噛んで寝ろ。噛むだけで歯を磨ける。」レオは小さな板を取り出す。

口に入れると不思議な味がした。

そして...いくら噛んでも無くならない!?


「ちょっ...これどうしたらいいの!?」

「それはチューという魔法の食べ物だ。

製法は言えん。」

「そうじゃなくて!」

「しばらく噛んだら捨てろ。

チューの致命的な課題だ。」

レオが急ににおしゃべりになる。

よほど嬉しかったらしい...。

私は近くにあった衣装の切れ端にチューを吐くと見えない所にポイ捨てした。


振り返るとレオは眠っていた...。



焚火を消すと私は不安な夜を過ごした....。






次の日...

目を覚ますとレオは旅立ちの用意をしていた。

「達者でな。」そう言って立ち去ろうとするレオに私はしがみつく。

「お願いします...置いて行かないで...」

涙が頬を伝う。

怖かった。

また同じ目に遭わされるんじゃないかと思うと...。

「お前のための服はないぞ。」

私は何も着ていない。

賊にひきちぎられ、とても着られる状況ではない。

「いい...私!

裸でもいい!

だからお願い!

私を連れて行って!!!」



レオは困ったように眉を少し動かした。

「...分かった。

美しい姫の命令に逆らう訳にはいかないからな。」

レオは私の肩に手を触れると...私の体に霧が起きて、気がつくと一般庶民の服を着ていた。

「幻術だ。

着ているつもりでいろ。自然とこの幻覚にも馴れる。」

「ありがとう...ございます。」

レオは私の前を歩き始めた。

そして...私とレオの物語が...始まろうとしている...。

フローラ:「ねぇレオ?」

レオ:「なんだ?」

フローラ:「レオの身長と体重と血液型を教えて~♪」

レオ:「身長172センチ。

体重52キロ。

血液型はB型だ。」

フローラ:「星座は~♪」

レオ:「蠍座だ。」

フローラ:「へぇ~♪」

レオ:「そういうお前はどうなんだ?」

フローラ:「え?...ヘヘヘ...(やばい、最初の時にヒールは折れちゃったし...体重も怪しい...)

また次回ね~♪」

レオ:「逃げやがった...」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ