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シーズン1

この小説はフィクションです

ようやく桜も満開となり春を実感できる季節が来たようだ、でも夜はまだ寒いな、コンビニのおでんが今宵はちょうど良い、それとひそかに おとりよせした焼酎「百年の孤独」を家族が寝たあとでそっと楽しんでいた・・、しかしこの幸せもつかのまだった

「プルルル・・」いやな呼び出し音だ・・携帯電話の着信画面に表示された番号を疑った3回は見直した・・ついにこの日が来たか・・覚悟はしていたが今日じゃなくても・・現実とはひどいものだ・・

あとはとりあえず身の回りのものを詰めるしかなかった、スーツケースはTSAロック付の帯を付けた、液体は持ち込めないらしい、コンタクトレンズはどうすりゃいんだよ・・

まるで箱根の温泉旅行に行く程度の準備しかできていない・・ひどい話しだ 

東関東自動車道はすいていて飛ばせた、成田第一ターミナルに着きフェラーリ360モデナともしばらくお別れだ、ユナイテッド航空のカウンター向かう足取りに迷いは無かった 自分の中のもう一人の自分にスイッチが切り替わってゆくのがわかった・・


「成田国際空港第1ターミナル南ウイングKカウンターの前で待て」電話での指示はそれだけだった、あいかわらず事務的な話し方しかできないムカツクやつだ、航空会社UAでだいたいの予想はつくが今回はアメリカ合衆国のどこかだろう長期戦になるな・・・

一人で待つ空港ロビーは広すぎる、荷物をころがしていると 背後から女の声がする「ベイカーさん・・?」黒いスーツを着た生意気そうな女だ 「そうだ ベイカー・キングだがなんか用か?」 俺に荷物を渡すように依頼を受けて来たのだと話し出した、生意気だが言葉使いは綺麗だった、エルメスのバッグから取り出されたのは小型のノート型パソコンとUSBメモリそれと航空券を渡された、航空券を見る・・・行き先は「LAX」今回の仕事先が決まった、搭乗時間まで時間があるのでその生意気な女とカフェで少しの間会話をした、普通に話せばまあ今風の女でかわいい感じだ新潟県出身で住まいは町田市つくし野とか、やつに完全に飼われた女で世間を知らない、今度、横浜を案内してほしいと言われ電話番号を渡された、その今度がいつになるか分からないが、十分に下心有りで携帯電話にメモリーしたと同時にメールの着信があり、妻からのメールだ・・・監視されているのか?左右を見回す自分に自分で笑った

そろそろ搭乗時間だチェックインカウンターまで見送ってくれた彼女のあいさつは小笠原流礼法を心得ていた・・・

行き先はLAXロサンゼルス国際空港 アメリカ合衆国 危険な仕事になりそうだ・・・・

座席はエコノミークラスだ、頭にくる、俺は命がけの仕事しに行くのに座席ケチるなばかとふてくされてジャックダニエルを飲んでいると一人の客室乗務員が寄ってきた、そっと封筒が渡された「SECRET」と書かれた封書を開ける・・内容を読む・・・俺は目を疑った・・・こんな事がありえるのか・・・


(LAXとはレターコードと呼ばれは国際航空運送協会 (IATA) により定められており、世界に1万以上ある空港全てにコードが割り振られている。早くに開港した空港にはなるべくその名称にのっとった文字が割り当てられている。例として、羽田=HND、伊丹=ITM、成田NRT、など。主に旅客系で使われる。 また、旅行会社や航空貨物代理店などでも使われる。国際線航空券にも印字されている。)


「SECRET」の封書を開けた 手紙とカプセルに入った薬のようなものが1つ入っている すでに仕事は始まっていた、なるほどエコノミークラスでロサンゼルスまで9時間以上かけて移動する意味がわかった、エコノミークラス症候群の緊急患者を装い救急患者として運搬されLAXの体制やカルフォルニア州立救急救命センターERの情報とノウハウとシステムを盗みとるのが目的だ、日本の国防機密組織が開発している救急救命ネットワーク開発の基礎となる情報であり一般には公開されない、しかし戦争や有事緊急時には臓器の移植が行われる世界最高水準の救命施設である、ここで移植される臓器はI保険会社が交通事故の重症患者から賠償金と引き換えにして手に入れる、また物損事故の修理代や賠償金を契約者が血液を輸血提供することが条件で補償することになり保険料は国防費カバーするので完全に無料となる特約を開発している、人身臓器売買の倫理問題やモラル的問題が大きく社会的には公表されず国が極秘で進めている組織である、臓器の運搬はI保険会社の技術アジャスターが立合業務を装い運ぶことになっている、視力を失った兵士に移植するための目玉の買取価格は1400万円が相場である、この救命施設は東名高速の横浜町田ICにも近く南町田駅の近いグランベリーモールの地下にすでに建設されている、表面的にはショツピングセンターで人も多く目立たないようにしてあるが、地下はミサイル格納庫と救急救命施設が置かれ、核シェルター機能も備えている、ゆえに平坦で広い土地だけを確保したら敵国にばれてしまうので、お買い物が出来る商店街広場としてある 地下は巨大通路で接続され、近隣ではラフェット多摩、横浜ベイサイドマリーナ、米軍厚木基地、キャンプ座間、横田基地、横須賀基地の施設とつながり、現在では御殿場への地下通路を建設中である、

手紙には着陸3時間前にカプセルを飲むことと指示がある、これは水では溶けずコーヒーとのみ反応し体内に吸収し体調が悪くなるしくみだ、これでエコノミークラス症候群の患者が出来上がりらしい、本当か?危険じゃないのか? しばらく迷っていると

到着まで3時間を切った、注文したスターバックスのコーヒーが届いたが手が震える・・・機体の振動ではない・・・カプセルを飲む瞬間コーヒーが少しこぼれた 

すぐに視界が見えにくくなり白くかすんできた、呼吸も苦しくなってきた・・


(エコノミークラス症候群とは静脈血栓塞栓症じょうみゃくけっせんそくせんしょうは、肺血栓塞栓症(Pulmonary embolism; PE)と深部静脈血栓症(Deep vein thrombosis; DVT)を併せた疾患概念で飛行機内などで長時間同じ姿勢を取り続けて発症することがよく知られており、俗にエコノミークラス症候群(あるいは旅行者血栓症やロングフライト血栓症)とも呼ばれ、下肢や上腕その他の静脈(大腿静脈など)に血栓(血のかたまり)が生ずる疾患。原因としては、脱水、感染、長期臥床、手術などがある。この血栓が血流に乗って肺へ流れ、肺動脈が詰まると、肺塞栓症となる。肺動脈が詰まるとその先の肺胞には血液が流れず、ガス交換ができなくなる。その結果、換気血流不均衡が生じ、動脈血中の酸素分圧が急激に低下、呼吸困難をきたす。また肺の血管抵抗が上昇して全身の血液循環に支障をきたす。軽度であれば胸やけや発熱程度で治まるが、最悪の場合は死亡する。)


LAXの救急搬送用ベッドで目がさめた、気持ちが悪く吐きそうだ、からだが異常に重いというか動かないという感じだ、だが間もなく「生きていた・・」と実感できる光景が見えた、このベッドの横に女性が座っているが・・だれだ? 医者からは奥様と呼ばれているが・・・意味はすぐにわかった、その女性は僕と同様に派遣されたスパイでロサンゼルス在住の妻を演じている、名前は「美和」と書き「みわ」と読む、若くはないが同年代の感じで違和感はあまりないように見える、献身的な看護のふりも上手で、アメリカ人は本当の夫婦と完全に信用している、これからER救急救命センターに搬送されるが、僕の手を握って涙しているこの女との偽装夫婦関係が始まるのであった、

第一の仕事は美和が実行する、まずLAXの医療室より空港制御用コンピューターに進入し空港緊急体制のプログラムをコピーして持ち出すのだ、空港のシステムは軍用滑走路としても使用される場合もありアメリカ国防総省の機密情報に侵入することになる、注意が必要だ、僕の体に取り付けられている装置から心拍数や体温の情報が医療室のコンピューターに信号が送信されているはずだ、美和はノートPCからコネクターを接続しアクセスを試みたがパスワードでブロックされる、無理か・・? すぐに「ナースステーションはどこ?」と聞いてそこへ向かった、3分ほどで戻ってきた 再びアクセスしパスワードを入れ侵入成功した、あっさりとコピーできた終了だ

なんでパスワード判ったの? あなたの医療情報にアレルギー情報を入力してくれと頼んできたの、でパスワードは? こういうところのナースは交代勤務が大変でパスワードは皆で統一してるのよそれも単純なやつを、指の動きで読めちゃうわよ、なるほど

で僕はどんなアレルギーなの? 女性アレルギーよ、なるべく女を近付けないようにと入力してもらったわ、大丈夫、ただしゲイでは無いとコメントも入れてあるわよ

はァー余計なことすんなよばか女・・

間もなくER救急救命センターにヘリコプターで到着した、あいかわらず体は重く気持ち悪い、でも女医さんの白衣を見たら下半身は少し元気になってきた気がした

ここからは俺の仕事だ・・・


ERではとりあえずの処置でニトログリセリンやニトロールなどの硝酸薬を飲まされた、舌下で溶かして吸収させる舌下錠だ、痛みは1〜2分でおさまった、体は楽になったが困った問題が起きた、あまりの回復の早さに救急患者としてのレベルを外されてしまいER施設内への侵入が出来なくなったのだ、入り口の薬局カウンターの椅子で治療完了と判断されてしまった、これでは内部システムへの侵入は不可能だな他の方法を考えよう、あっさりとそう思ったのは次々と運び込まれる患者を見ているとさすがに心が痛んだからだ、血だらけの男女の判別もできない人や、青白い死体のような患者が救急で運ばれて来る、俺にはそのふりはさすがにできなかった、妻の役を演じる美和もこの場所は本当につらそうな表情だった、とりあえずLAXまで戻り彼女のフォードエクスプローラーに乗った15分ほど走るとマリナデルレイという人工港としては世界最大の規模を誇るヨットハーバーのある街マリナデルレイに着く、マリナデルレイはスペイン語で“王様の海”という意味で、常時5,000隻以上の船舶が停泊している、美和の父親はパーティーやイベント用にクルーザーを貸し出す会社を経営している、そのクルーザーの中で今後について考えようという事になったが、結局彼女とはこれが最後の夜となった、彼女は空港で得た情報をすぐに日本国の機密部署へ届けなければならない、お別れだ、お互いの緊張感がフッと切れた時には唇を重ね合っていた、翌朝ベッドの横には彼女の姿は無かった、置き手紙も何もない、あっさりと痕跡もなく消えていたのは見事だった、彼女と過ごした41時間は幻のように消えていた・・・・・

テーブルにはレクサスの鍵と目的地が書いてある、フリーウェイを下りニューポートビーチという町へ向かった


フリーウェイを1時間ほど走るとニューポートビーチという高級住宅地に着いたそこにレクサスの大型販売店が有る、ここがNewport Lexusニューポートレクサスである。到着してその大きさには驚いた、ディーラーの店舗というよりリゾートのホテルという感じで7500万米ドル(約88億5000万円)とけた外れの巨費を投じたレクサスディーラーである。大規模ディーラーが多い米国にあっても、12エーカー(約4万8500平方メートルもの敷地は広大である。東京ドームの広さは4万6755平方メートルだからちょうど東京ドームがすっぽり入る感じだろう。ショールームは5ツ星ホテルの質感をめざしたらしい。サービス工場は82ストールを構えている。米オートモーティブニュースは「全米で一番カネをかけたディーラー」と紹介し日本の新聞でも記事にされている。外観から見るだけでもロサンゼルスのシンボルと言われるパームツリー(やしの木)が左右を誘導するようにドーンと長い通路が続く、ここまで大きくなくてもいいだろうと思うLEXUSの看板とさらに壁に「L」のマークが堂々と主張している、アメリカの広大な土地を持つ力強さと米国レクサスの実力を見せつけられた

駐車するとすぐに担当者が来た、車の点検整備と洗車をしてくれるらしい対応は良い

ショールームでコーヒーを飲んで待っているとあやしい男から封筒を渡された

封筒にはまた「SECRET」と書かれている、中を読んで愕然とした・・次の指令だ

ここロサンゼルスでの浸入行動が敵国にばれたらしく、敵は町田の救命施設を破壊しようとしているらしい、日本に戻って緊急対応が必要である、すぐに帰国しなければならない、ろくに観光も出来なかった俺は少々お腹立ちだがしかたない、日本に危機が迫っているのだ その危機とは・・・

「人材派遣会社からの派遣社員になりすましI保険会社に爆弾をしかけ救命施設を爆破しようとしているテロリストがいるので阻止せよ」と、そのテロリストの名前は「可南子」という女だった・・・


I保険会社の町田支店に人材派遣会社から「可南子」という女が派遣されていた、コイツがテロリストか?普通にかわいい感じの女だ、しかしどこと無くあやしい感じもする、仕事も他の派遣社員より出来過ぎるような気がする、とにかくしばらくは監視して不審な行動をとったらすぐに取り押さえ国家機密組織に連行することだ、絶対に殺してはいけない、生きたまま連行しこの女と背後組織の関係を追及するのだ

2〜3日すると保険会社のFAX機械が故障したのだ、今まで普通に使えていたFAXがなぜ今故障するのか? しかたないので新しいFAXを注文して届いた、しかしワンタッチダイヤルに登録されていた300件以上のデータを新しいFAXに入力する作業が必要になった、この作業は派遣社員の「可南子」に頼んだ、

その後一ヶ月ほど可南子は働いていたが特に不審な点は見当たらないまま、関西方面に転居のため辞めるということになった、このままでは逃げられてしまう、でも本当にこの女がテロリストなのか・・・?何とかして突き止めたいそう思っていた、可南子の送別会に呼ばれた、酒に酔わして本当のことを聞き出そうと計画した、あわよくばアレも・・という下心を隠し2次会まで行ったが、仕事を忘れて俺の方が酔ってしまっていた、すでに男性の機能は役立たずなのだ・・・・何かがおかしい、薬を入れられたのか・・・

翌日には可南子は関西方面に行ってしまった、

俺はすぐに何かが気になり社内の監視カメラ映像を再生してみた

そのとき全てが解かった、映像にはテロリストとしての可南子が映っていた・・・・

仕事をしているふりをしてFAXの配線を切断し故障させている、更に新しいFAX機械下の台の中に何かを設置している、爆弾だ、しかも起爆装置をFAXのワンタッチダイヤルのボタンに連動させタイマーとも連動させている、解除にはパスワードが必要なように設定し登録されている、爆弾の威力は関東圏を被爆させる核爆弾でグランベリーモールも吹っ飛ぶだろう、なるほど関西に逃げれば安全だ自分は被爆しないだろうな、やられたチクショウ!!

すぐに会社のFAX下の台の扉を開けた、起爆装置のタイマーが時間をカウントしている

「ピッピッ」とデジタル数字が表示されている・・・・爆破までの残り時間は41:00を表示している・・・

爆破を止めるには解除パスワードの入力が必要だ、

可南子を探すしかない、41時間以内に・・・・・


「可南子の行き先をすぐ調べろ!アイツにパスワードを吐かせないと爆発は阻止できない、41時間しかないんだ早くしろ!」・・・・「愛」に強い口調で言ってしまった、「愛」とは俺が人材派遣会社に送り込んでおいた女スパイである、そう可南子が派遣されて来たときからコイツは何かあやしいヤツだと思い、愛をその人材派遣会社に所属させスパイとして浸入させておいたのだ、思った通り今になって役立った、愛の調べによると可南子の残した荷物や周辺の情報から行き先は大阪と判明したらしい、決め手は女子ロッカーのゴミ箱に残っていたお好み焼きの粉だった、可南子は粉ものが何よりも好物で会社でもひそかに食っていたらしい・・・その粉の成分を分析すると大阪の有名店しか使用していない粉だった、その店で待っていれば必ず可南子は現れるだろう、拉致して拷問にかけてパスワードを聞き出すのだ、よし、行く先は決まった

俺はフェラーリに乗り込んだ、飛行機なら羽田から関空まで75分だ、夕日を背に走る第三京浜から環八に出るコーナーはいい感じで抜けた 羽田まであと30分だな・・・気持ちは少し落ち着いてきた

一方、愛は可南子の後任としてI保険会社に派遣されて働いていた、スパイの存在を隠しての仕事ぶりは良かった、とにかくキーボードを打つのが早いし確実である、少なくても文句の多いベテラン社員よりPC技能は格段に上である、アジャスターの男どもは若い女の子というだけで喜んでいる、癒し系でかわいいなぁとマジで惚れているやつもいた、愛は幼児教育課程を経ておりめざしたいものがあるらしい、今日が俺とのスパイ契約も解除する日だ・・愛の送別会が行われている、お馬鹿なアジャスターが「愛ちゃんと幼児プレイがしたないなぁ〜」口説いていたが、すぐにレジェンドはお開きとなる・・・さようなら・・

まだ春寒い街にみんな散っていった、桜の花びらのように・・・・

ANA最終便で俺はKIXに着陸した、よし、おこのみ焼き屋で待ち伏せだ・・・


※関西国際空港のレターコードはKIXで、キックスと呼ばれる


お読み頂きましてありがとうございます、ご意見お待ちしております

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