第9話_魔法陣の確認だけでは止まれない
翌日、学校。
俺にはやるべきことがあった。
――確認だ。
ちなみに、魔法少女エリザが小早川エリザだとバレないか問題についてだが。
彼女は変身すると、
瞳の色が紅くなる。
……以上。
たったそれだけなのに、
なぜかバレない。
これが魔法少女クオリティ。
魔法少女アリスなんて、
どう見ても本人なのにバレない。
不思議だ。
だがアニメとはそういうものだ。
朝の教室。
小早川エリザは、
すでに席について教科書を広げていた。
昨日は、魔法少女として戦闘していたとは思えないほど、
今は、静かで、転校生らしい緊張感をまとっている。
だが――
(今日はそっちじゃない)
今、俺が確認すべきは。
有栖川時寧。
俺は席を立ち、
そのまま彼女の机へ向かった。
「……?」
急に近づいた俺に、
有栖川が不思議そうな顔をする。
俺はそのまま、
ぐっと顔を近づけた。
魔力視、発動。
「ちょ、ちょっと、ゆう君……なに?」
学校で幼い時の呼び方、「ゆう君」呼び。
これは珍しい。
つまり――
本人も焦っている。
(それどころじゃねぇ)
俺の視界には、
彼女の瞳がはっきり映る。
普通の人には見えない。
だが俺には見える。
瞳の奥に、
淡く光る魔法陣。
(……六芒星魔法陣)
原作では、
この時点ではまだ兆候段階のはずだった。
だがこれは違う。
明確に――
「完成形」に近い。
(完全に覚醒しかけてる……)
まだ本人は無自覚だろう。
無意識に溜め込み、
無意識に強化している段階。
だが時間の問題だ。
確実に、
原作より一段階、強い。
俺は確信した。
「ちょっと近いってば……!」
有栖川が頬を赤くして、
俺の胸を両手で押す。
「なに? どうしたのよ?」
(やべ)
(言い訳、考えてねぇ)
「え、いや、その……」
頭が真っ白になる。
俺と有栖川は、
なぜか二人同時に顔を赤くした。
(推し、近すぎ)
(距離、ゼロ)
(尊い)
結果として、
魔法確認よりも心拍数が上がった。
……うん。
間違いない。
有栖川は、
原作より強くなっている。
そして俺は――
原作より、本物に動揺している。
作者( ゜Д゜):小説主人公は、戦闘の魔力解放で髪が黒から紅黒メッシュになってます
作者( ゜Д゜)n:バレないのはマスクの問題ではないのだよ、魔法少女クオリティ




