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第6話_想定外の敗北

ゴールデンウィーク前。

特に大きなイベントは起きない――はずだった。


今は、アニメ第二期三話が経過したところ、

ライバルキャラでもある小早川エリザが転校してくるのは、もう少し先、

アニメ第四話で初登場だ。

この時期にアニメでは、大きな戦闘も、敗北イベントも存在しない。


だから俺は、油断していた。


放課後の教室。

鞄を机に置いたまま、窓の外に目をやりながら、いつものように魔力感知を張っていた。


(……何か来た)


胸の奥が、じくりと熱を持つ。

空気に混じる、歪んだ魔力の気配。


方角は――屋上。


俺は席を立たず、意識だけを飛ばす。

魔法による遠隔視覚で、夕暮れに染まる校舎の屋上を覗いた。


そこにいたのは、有栖川時寧。

――魔法少女アリス。


騎士服型の魔装。

風に揺れる白いマントドレス。


その視線の先に、影があった。


シャドウ型魔法生物。

黒い霧のような体躯。

負の感情と高濃度魔力を吸って膨れ上がった、異常個体。


(……こんなの、この時期に出る敵じゃない)


違和感が、背筋を走る。


アリスが魔法杖を構える。

挿絵(By みてみん)


光の魔法陣が足元に展開し、彼女は宙へと跳んだ。


戦闘が始まった。


閃光。

衝突音。

黒い霧と、蒼い魔力の火花。


(……危ない)


動きが鈍い。

シャドウは、強い。この時期で戦う敵ではない。


空中で弾かれ、アリスの身体が屋上へ叩きつけられた。


「……っ!」


防御結界が砕け散る。

杖が、手から滑り落ちた。


(嘘だろ……)


屋上に膝をつくアリス。

息が荒く、肩が上下している。


シャドウが、ゆっくりと迫る。


次の瞬間。


黒い衝撃が走り、

アリスの身体は床を転がった。

挿絵(By みてみん)


「……負けた……」


かすれた声。

俺の中で、何かが切れた。


(……ふざけるな)


視界が赤く染まる。


次の瞬間、俺は教室にいなかった。


屋上の空間が歪み、

超高濃度魔力が噴き出す。

空間に結晶が生まれた。

挿絵(By みてみん)


円環魔法陣。

魔法少女アリスシリーズを通して、単体魔法陣における極致。

原作二期では存在しない、魔法構造。


紫と蒼の光が、背後に展開する。

エントロピーの増加により、円環魔法陣が一般人でも見えるレベルに色濃く映る。、

魔法陣が可視化された。


「……一瞬だ」


言葉が、魔法になる。


圧縮された魔力が、シャドウを包み込み――


圧し潰した。


悲鳴すら上げさせず、

影は結晶化し、砕け、霧となって消えた。


屋上に残ったのは、

倒れた魔法少女と、俺だけ。


夕焼けの空。

砕けた魔力が、青い光となって漂っている。


アリスは、かろうじて顔を上げた。


「……だ……れ……?」


焦点の合わない瞳が、俺を探す。


俺は答えず、短く告げる。


「無理をするな。もう終わった」


声は低く、感情を抑えたつもりだった。


だが、視線は勝手に動く。


破れた袖。

汚れた頬。

震える指先。


(……やられ姿まで尊いとか、ほんと終わってる)


でも、それ以上に胸が痛む。


これは、鑑賞じゃない。

これは、異常だ。


「……あなた……」


呼びかける声。


俺は、背を向けた。


「管理局が来る。動くな」


それだけ言って、屋上の縁へ歩く。


「ま、待って……!」


弱い声が背中に刺さる。


だが、振り返らない。


正体を知られてはいけない。

俺は“物語の外”にいる存在だ。


夕焼けに溶けるように、

円環魔法陣が収束する。


結晶化した魔力が砕け、

光の粒子となって消えていく。


俺は、闇へと跳んだ。


背後で、アリスはまだ、

俺のいた場所を見つめていた。


誰だったのか。

敵か、味方か。

それすら分からぬまま。


――昼は、同じ教室で並ぶ少女。

――夜は、敵を倒す魔法少女。


その両方を、特等席で見ているのは俺だけだ。


ここは現実だ。物語が、“原作通り”とは限らない

実際、俺というイレギュラーはいるのだ。


(……なら)


(壊れないように、守るだけだ)


それが、

俺の願いで得た――役目だから。

作者( ゜Д゜):エントロピーが増大してます(よくわかってない)

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