第5話_オコジョをいじめているわけではない
中学生になった、4月のある放課後。
有栖川と並んで、いつもの帰り道を歩いていた。
制服の袖を軽く揺らしながら、
彼女の肩には――
黄白いオコジョが、ちょこんと乗っている。
「ねえ祐司、この子、いつも着いて来るんだよ。
毎日学校の前で待ってるの」
「……見れば分かる」
オコジョは、有栖川の肩の上で、
くるんと丸まり、満足そうに目を細めていた。
(……なんだその位置)
(そこは俺のポジション……ではないが、羨ましい)
「かわいいでしょ」
有栖川が指先で、
オコジョの背中をなでる。
オコジョは、
きゅう、と小さく鳴いた。
(……ちくしょう)
(自然に肩に乗るな)
(しかも慣れすぎだろ)
俺は、無言でオコジョを見つめた。
「どうしたの?」
「いや……」
(どうしたも何も)
(お前が、そいつに懐かれすぎなんだよ)
有栖川は、オコジョを両手でそっと包み込む。
「この子、ほんと人懐っこいよね」
(……断じてペットではない)
(こいつの正体は、
時空管理局の――)
(魔法少女になった有栖川の監視目的のエージェント)
(ただの野生動物じゃない)
俺は、伸ばした手で、
オコジョの胴を軽く掴んだ。
「ちょっと、祐司。乱暴だよ」
「いや、別に乱暴じゃ……」
オコジョは、
じたばたと短い足を動かした。
「もっと優しく触ってあげて」
「……そういう問題じゃない」
(こいつの中身は、管理局員だ)
(でも向こうは、
俺のことをただの一般人だと思ってる)
(だから、この距離感なんだろう)
オコジョは、俺の手の中で、じっとこちらを見上げてくる。
(なんだその目)
(無垢な動物みたいな顔しやがって)
「祐司、もしかして嫉妬?」
「してない」
即答した。
「顔に出てるよ」
「出てない」
有栖川は、くすっと笑って、オコジョを肩に戻す。
「ほら、戻ろっか」
オコジョは、当然のように、彼女の肩に収まった。
(……やっぱそこか)
俺は、少し距離を取って歩く。
「なんでそんなにこの子に厳しいの?」
「……理由があるんだ」
「なにそれ」
「言えない理由」
(言ったら世界がひっくり返る)
(お前が魔法少女だってことも)
(こいつが管理局の存在だってことも)
(全部、言えない)
「変な祐司」
そう言いながら、有栖川は笑った。
夕焼けの道を、三人で歩く。
俺と、有栖川と、肩に乗ったオコジョ。
(……別に、いじめてるわけじゃない)
(ただ)
(お前がそこにいるのが、
どうしても、気に入らないだけだ)
オコジョは、
小さく鳴いた。
まるで、
「僕が守る」とでも言うみたいに。
オコジョ:キュ~(アリスたん!アリスたん!)
作者( ゜Д゜):エロオコジョ!?




