第16話_魔獣と呼ばれるもの
学校帰りの放課後。
魔力探知に、妙な気配が引っかかった。
アリスより先に現場へ向かい、物陰に身を潜めて様子をうかがう。
「あれは……」
魔法生物の中でも、特に強力な個体に与えられる総称――“魔獣”。
動物型から始まり、より強いものになると、キメラ型、竜種型へと進化する。
「……キメラ型の魔獣、だと……」
(ありえない。)
(この時期に、出現するはずのない個体だ。)
二年前から始まった“超次元振動”による魔力の流入。
日本を中心に地球へ魔力は溢れているが、
まだキメラ型の魔獣が現れるほど、世界には魔力が満ちていないはずだった。
「…………」
(いや……俺の存在か。)
(アリスやエリザを観測するため、俺は魔力を使っている。)
(その漏れ出た魔力が、周辺の濃度を押し上げていたのか……)
(俺が原因である可能性が高い事実に、冷や汗が滲む。)
「どうする……」
そう呟いた、その時。
(……アリスも、気づいたみたいだな。)
高速で移動する、蒼の魔力反応。
アリスのものだ。
「この速度……五分もしないうちに、ここへ来るな。」
俺は思考を巡らせる。
キメラ型の“魔獣”は、本来なら原作アニメ三期で戦う敵だ。
第三期では、“魔獣”や新たなライバルたちと戦うため、
アリスとエリザは、時空管理局によってデバイスを強化される。
その名も――『カートリッジシステム』。
魔結晶から転用した魔力を、外部タンクとして使用する技術。
自分本来の限界を超える魔力を、一度に叩き込むことができる。
強力だが、反動も大きい。
原作三期から四期の間、長年の無理が祟り、
アリスは大事故を起こし、一年間のリハビリ生活を送ることになる。
(……あれは泣ける話だった。)
(…結論は一つだ。)
(今のアリスに、この魔獣を相手にさせるのは論外。)
(そもそも、今は『カートリッジシステム』搭載のデバイスもない。)
「……俺が、動くしかないか。」
自分の領域を汚した不純物を見るように、
俺は冷えた視線でキメラ型の魔獣を見据える。
左腕の黒いリストバンド――
デバイス『天輪円環』に触れた。
「……テトラ、力を解放するぞ。」
「《Incorrigible, Master.》」
応じるように、デバイスが反応する。
黒いリストバンドが、かすかに赤黒く発光し、
低い機械音声が、俺の鼓動と重なった。
――ここから先は、俺の仕事だ。
作者( ゜Д゜):主人公のデバイスが正式に登場!
オコジョ:お願いされて(脅されて)管理局製デバイス作りました。




