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マリア・ファムファタールの楽園(エデン)  作者: 砂之寒天
1年生

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20/25

第20話 12月初頭

 12月。寒さが身に染みる季節となった。

 動物も冬毛になり、マリアの服装もモコモコしてくる。


(冬毛のマリアちゃんかわい〜〜)


 ベリーはキュンキュンした。


 休み時間。マリアを中心に屯す4人がいた。


 クリスマスマーケットの宣伝動画が、ベリーの動画に回ってきた。


「みてみて!マリアちゃん。今週末ここ行かない?」


 ベリーがスマホを指しながら言う。


「……あぁ、ごめんなさいね。今週末はラビちゃんと遊ぶの」


 マリアは申し訳なさそうに言った。


「ら、ラビちゃん??」


 ベリーは困惑しながら聞き返す。そこには、僅かな焦りが。


「えぇ。文化祭で、同じステージにいたでしょう?ラビルナ・ギザちゃんよ」

「あ、ラビルナさんね!!あのチーターみたいな女の子だ」

「……貴方、人の事そうやって覚えるのね。そう、彼女よ」

「ふーん……ラビルナさんかー……」


 ベリーはつまらないという顔を全面的に押し出して、視線を逸らした。

 マリアが意外と、素のままのベリーを好きなこと。それに気付いたからだ。


「ふふ、そんな顔しなくても」


 案の定、マリアは仕方なさそうに笑う。


「……ま、いーよ?クリスマスはボク達と過ごすんでしょ?」


 ベリーの中では、クリスマス=恋人が過ごす日として、当たり前に一緒にいると思っている。が、これが良くない。


「ちゃんと誘ってくれたら、行くわよ」


 マリアは少しツンとした顔で言った。


「っ、あぁ、ごめんごめん!クリスマス皆で過ごそ?」


 ベリーはすぐマリアの不機嫌の理由を察知し、そう言い直す。要は、誘わずに一緒に居れる女として扱われるのが、マリアは嫌なのだ。


「えぇ。……貴方達もそれでいいわよね?」


 マリアは当然のように言う。


「勿論です。……僕から誘うべきでしたね。すみません」


 フィリアは眉を顰めてそう言った。


「いいのよ。今のは流れが悪いわ」


 マリアは気にしないように言った。


「俺も構わない。楽しみにしていよう」

「ケイネラくんも誘いに行こ!!」

「えぇ、行きましょう」


 B組のクラスに行った。


「ケイネラくーん!!!」


 クラス中の人がこちらを見た。ベリーは気にしない。


「……ん?」

 

 クラスメイトと話していたケイネラが、こちらに来る。


「どうかしたの」


 ケイネラが首を傾げる。


「クリスマス皆で過ごそ!!」


 ベリーは持ち前の明るさと共に誘った。


「あぁ、クリスマス……。うん、いいよ。皆で過ごそう」

「おっけ〜!!」


 ということで、5人で過ごすことが決まった。


「ケイネラは毎年誰と過ごしていたの?」

「家族と。まぁでも、今年はいいかな。……恋人もできたし」


 ケイネラは少し頬を染めて、マリアに微笑んだ。


「あら、そう」


 マリアは少し嬉しそうに目を伏せた。ケイネラの手の甲を優しく掻く。


 そこにラビルナが来た。


「マリア」

「あ、ラビちゃん。今週末、楽しみにしてるわ」

「うん」


 嬉しそうに笑う二人。


 ベリーはそれを見て、胸がモヤモヤした。


(……ボクが先に仲良くなったのに。)


 ムスッとした顔で、見てしまう。


 ラビルナがそれに気付いた。


「……ふふっ、マリアの彼氏は可愛いね」

「!!」


 ベリーは驚き、顔を赤くした。


「……そうね。少し可愛らしすぎるかしら」

「まぁまぁ」


 マリアは仕方がないと言ったふうだ。


「……でも、面白そう。マリア、退屈しないんじゃない?」

「……それはそうね」


 ラビルナは首を傾げる。ブロンドの髪が揺れた。


「見てると、フィリアが楽しそうだわ」


 マリアはフィリアの頬をつつく。フィリアは特に嫌がらず、受け入れる。


「おや、気付いていましたか」

「あ!そうそう、フィリアくん、意地悪なんだよ〜!!」

「……好意ですよ」


 フィリアは心外そうに言う。


「ふふ、許してあげて。男友達には意地悪しちゃうのよ」

「え〜」


 マリアからの意地悪なら喜んで受けるが、フィリアからの意地悪は別に嬉しくなかった。


 だが、マリアが許せと言うなら許すしかない。ベリーは観念した。


「そうそう、ベリーさんは意地悪される運命なんだよ」

「ラビルナさんまで〜!!」


 からかわれるから、立場がなかった。


「……さぁ、行きましょうか。またね、ラビちゃん。ケイネラも」

「うん、またね」

「また後で」


 そうして、授業に戻った。


 ベリーは思う。


「マリアちゃんのこと独占したいけど、ムリだよな〜〜」


 隣にいたフィリアはクスリと笑う。


「それは無理ですよ。観念しなさい」

「えっ、ボク、声にでてた!?」

「少し。僕にしか聞こえていません」

「良かったッ!!」


 肝が冷えた。


「貴方は認めるべきですよ。マリアの自由を。二度言いますが、観念しなさい」

「は〜い……」


 言う通りにした方がいい気がした。


「……でも、嫉妬しちゃうんだよね。皆に」

「それは、貴方がまだマリアとの関係に満足していないからでしょうね。時間が経てば自ずと無くなりますよ」

「……確かに」


 フィリアはよく、的を射る発言をする。


「結局、時間か〜〜」

「えぇ、時間ですね。いずれ安定しますよ。僕とマリアのように」

「そっか〜」


 さり気なくマウントを取られたことは気にしない。

 なんとなく、胸のつっかえが取れた。


「……ありがと」

「!おや。いえいえ」


 ベリーは小さく礼を告げた。それが本心だと分かったフィリアは驚いたが、なんでもないように言う。


 放課後、ベリーはマリアの部屋に行った。恋人になってからというもの、よく入り浸っているのである。


️「……ラビルナさんとは、どこに行くの」


 ベリーは少し拗ねながら聞く。


「ふふ、気になる?……内緒」

「も〜〜!!」


 ただでさえ嫉妬で落ち着かないのに、秘密にされてしまうから、ベリーはおかしくなりそうだった。


「来週末は、デートしよ?」

「いいわよ」


 ベリーはホッとした。大丈夫、まだボクは選ばれてる。


 耐えられたと、思い込もうとした。


 マリアはベリーの心情を薄々察していたが、何もしなかった。


 ラビルナと遊ぶ日になった。


 2人は寒地に旅行に行っていた。

 2人は一緒に雪だるまを作っていた。


 Lumiに投稿された2人は、仲睦まじく笑っている。距離も近い。


 それを見て、ベリーは拗ねる。


(あーあ、ボクの場所なんだけどな)


 スマホを放り投げて、ふて寝した。


……


「ん……あれ、今何時?」


 スマホを見る。

 18時であった。


「やば、めっちゃ寝てた……ん?」


 マリアからメッセージが来てることに気付く。


 グループチャットに、動画が投げられていた。5人が入ってるチャットだ。


「なんだろ……」


 少しワクワクしながら、動画を開く。


 ……マリアが雪をハート型にくり抜き、カメラに向けて差し出す。


「……どーぞ♡」


 赤くなった鼻と、ふわふわのウシャンカ。冬らしい赤色を使ったメイクをしたマリアは、雪で真っ白な背景の中、林檎のように鮮やかだった。


「か、かわい〜〜!!!」


 ベリーは口を抑えて、そう叫ぶ。あまりの可愛らしさで、泣いてるようにも聞こえた。


「どうしよう、可愛すぎる……」


 仰向けになって、天を仰ぐ。


 この胸の熱は、暫く冷めそうになかった。

ラビルナ、名前からウサギちゃんのイメージがあります。全然本人とは関係ないのに。チーターだってば。


マリアがフィリアの頬をつつくところで、なんだろう、、長年の信頼関係が透けて見えて尊かったです。ありがとう。

マリアにハートを差し出されたイメージで叫びました。どうしよう、マリアが可愛すぎる。

マリアの嫉妬させるのと供給のさじ加減が絶妙ですよね。狂わせるのが上手いです。私がベリーの立場だったらとても耐えられませんでした。作者でよかった。

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