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マリア・ファムファタールの楽園(エデン)  作者: 砂之寒天
1年生

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18/25

第18話 文化祭② プリンス&プリンセスグランプリ

 プリンス&プリンセスグランプリ当日。


 楽屋は熱に包まれていた。


 マリアはヘアメイク科の学生2人に、メイクとヘアメイクをしてもらう。


 担当は、派手髪派手メイクのギャル2人だった。


「じゃ、ウチらが完璧にしちゃうね〜」

「マリアちゃんはそのままでも完璧だから、上限突破?」

「それな〜」


 マリアはくすりと笑う。彼女達のノリは嫌いじゃない。


 リハーサル通りにヘア、メイクが完成した。


「やばい、ウチら天才ぢゃね??」

「え、それな??てかマリアちゃんが天才的に可愛い」

「それはそう」


 鏡を見たマリアは頷く。


 目力を強調するため、ブラックのアイラインとつけまはとても長い。

 シェーディングもガッツリいれ、濃厚な印象を与える。

 舞台メイクでしか使えなそうな、ギラギラの緑のアイシャドウも好きだ。

 リップは真っ赤。少し青みの入ったそれは、冷たく美しい印象を与える。


「……完璧よ」


 自分に言い聞かせるように、マリアは呟いた。


 ギャル2人がマリアの肩に手を置く。


「完璧なのは当たり前ぢゃん?」

「後はマリアちゃんの歩き次第だから。大丈夫、できるよ」

「ギャチ応援してっから。優勝掻っ攫ってこい!!!」

「えぇ。勿論よ」


 マリアは笑った。


「優勝するのはこの私よ。見てなさい、恋に堕としてあげる」


 そう宣告した。


 舞台袖に移動する。


「っ、おぉ。……仕上げてきたね」


 ケイネラはマリアを見て、息を詰め、感嘆の声を上げた。


 彼は海色の髪色を活かした、青い波のような服を着ていた。裾は動きに合わせて、波のようにサラサラキラキラ動く。

 正に、美。彼の魅力を引き立てる衣装だ。


「貴方も、素敵よ」

「もちろん。ありがとう」


 当然だと頷いた。


 そこに、ラビルナが来た。


「あら……アルテミスみたいね」


 マリアはそんな感想を持った。

 ラビルナは、月のような銀色の輝くドレスを着ていた。オフショルでラビルナの褐色の肌が露出しているので、対照的でよく映える。


「ありがとう。マリアは、ファムファタールみたい」

「あら、ファムファタールよ」

「あぁ、そうだった」


 クスリと笑う。


 3人はお互いを見つめる。


「……励みましょう」

「うん」

「そうだね」


 それ以上の言葉は要らない。3人はステージを見つめた。


「さぁ、始まりました!!プリンス&プリンセスグランプリ!!」


 司会が話し出す。

 舞台袖で、それを見ていた。


(………)


 絶対に優勝してみせる。これは証明だ。エデンで一番美しいのは、マリアだということの。


 ラビルナも、並んで司会を見ていた。


 ケイネラは2人を見る。

 2人とも気迫が凄まじい。マリアが蛇なら、ラビルナはチーターだ。どちらも捕食者の目をしている。


 だが、負ける気はない。ケイネラにもトップモデルとしての矜恃があるのだ。


 やがて、演出が始まった。


 既にスポットライトが当たってる所に出ていくのではなく、演者がステージに立った後に、スポットライトが当たる。だから、ライトが当たるまで観客は様子が分からない。


 まずは、ケイネラから。


「ケイネラ・メリカ!!!」


 カッ


 ライトが点く。


 ケイネラは慣れたように、ステージを歩く。自分の魅せ方を分かっている歩き方だ。


 彼の海の雰囲気に、潮の匂いがするようだった。


 観客は彼の美しさに焦がれた。


 スポットライトが消える。


 次だ。


「ラビルナ・ギザ!!!」


 カッ


 見た瞬間、観客は眩しさに目を細めた。


 それ程までに神々しく、眩しい。スパンコールがふんだんにあしらわれたドレスは、満月の如く。


 ステージを歩く。

 遠くを見つめて。


 フラッシュを炊かれながら、ラビルナは輝いた。


 大トリは、マリアだ。


 マリアは息を吸い、ステージに躍り出る。


 暗闇の中、一瞬目を閉じる。そして目を開き、真っ直ぐ正面を見た。


「マリア・ファムファタール!!!」


 カッ


 スポットライトが点く。


 マリアの姿が現れた。


 一瞬、会場が静かになった。


 あまりの美しさに、誰もが呼吸を忘れた。


 しかし瞬時に、会場は沸騰する。


 ワーッ!!!


 カメラマンのシャッターが光り、会場中でもカメラが回る。


 ベリーも夢中で動画を撮った。撮りながら、マリアを直接視界に収める。


 あまりにも、魅惑的。あまりにも、耽美。


 マリアは大輪の薔薇のように鮮やかで、蛇のように恐ろしかった。


 会場の喧騒も相まって、脳が沸き立つようだ。


(可愛いっ、可愛いっ、可愛い……っ!!)


 息が苦しくなるほど、可愛かった。


 ふと、目が合った気がした。


 バチン


 マリアがウィンクした。


「っ〜〜〜!!!!」


 明らかに、ベリーに向けて。ベリーは心臓を掴まれた。


 それを見ていたフィリア達も、心臓がドクりと脈打つ。


「いま、なにを……」

「ウィンク、したな……」


 2人はあまりの衝撃に、真っ赤な顔で、呆然とした。


 ワーッ


 ライトが消えても、歓声は消えない。司会が話し出すまで、それは続いた。


「では、投票です!!」


 スマホを取りだし、投票する。


 誰に投票するかなんて、言わなくてもわかる。3人は何も話さなかった。


 そして、結果発表。


「まず、準プリンセス!!」


 少し間を置いて。


「……ラビルナ・ギザ!!!」


 拍手が上がる。


「決まりですね」

「あぁ」


 そして、プリンセス。


「プリンセスは───────マリア・ファムファタール!!」


 歓声が上がった。


「当然ですね」

「だな」

「やっぱり!!」


 3人は納得の結果だった。


 プリンスは、やはりケイネラであった。


「最後に、グランプリを決めます!」


 ケイネラとマリアの、どちらが美しかったか。それを決める。


 ステージには、マリアとケイネラが立った。


 暫し、会場が騒めく。


「……集計が終わりました!」

「おっ」

「来ましたね」


 勝者の顔は、スクリーンに映る。


ジャカジャカジャカ……


 溜めが長い。皆は息を飲み、祈った。


 映ったのは────────マリアの顔だった。


「マリア・ファムファタール!!!グランプリは、マリア・ファムファタールです!!」


ワーーーッ!!!!


 大きな歓声が上がった。


「やりました……!」

「やった……!」

「わーっ!!!」


 3人も喜ぶ。凛とベリーは泣いていた。


 マリアは、スポットライトに照らされながら、少し安堵する。


(……良かった)


 辛勝だと思った。だが、これでグランプリはマリアのものだ。


「グランプリのマリアさん!一言お願いします」


 マリアは少し考えてから、言った。


「……貴方のおかげよ」


 マリアは笑った。

 これに会場の観客は、心臓を撃ち抜かれた。


キャーー!!!


 黄色い歓声が上がる。


 ケイネラは負けたが、満足した表情だった。


 トロフィーを受け取る。マリアに相応しい輝きだった。


 ラビルナは、舞台袖でその輝きを見ていた。


(あぁ、私はまた、届かなかった───────)


 しかし、この結果にどこか納得してしまう自分がいた。


 戻ってきたマリアに話しかける。


「グランプリおめでとう、マリアさん」

「えぇ、貴方も」

「……来年は、負けないよ」

「!!」


 ラビルナはマリアに拳を突き出す。


 少し間を置いて、マリアは静かに、拳を合わせる。


「……私も負けないわよ」


 そう宣告した。


 熱冷めやらぬまま、席を立つ。


「これは神の決定ですね。……マリアは神に選ばれたのです」


 フィリアは感動したように語った。


「ふ、俺のお陰か……」


 凛はマリアの一言を反芻していた。


 ベリーは……


(……どうしよう、……大好きだ)


 マリアへの好意を確かめていた。ウィンクの衝撃が、まだ胸に残っている。


 暫くして、私服に戻ったマリアが楽屋から出てくる。


「おまたせ」


 まだステージの光が残っているような雰囲気だった。


「グランプリ、おめでとうございます。この世のものとは思えないくらい、美しかったですよ」

「おめでとう。心臓が幾つあっても足りなかったな」

「マリアちゃん、おめでとう!!……本当に綺麗だったよ!」


 ベリーは言葉に迷って、結局そんな感想になった。


「えぇ、ありがとう。皆のお陰だわ」


 トロフィーを持ったマリアは、嬉しそうに笑った。


「マリアちゃん、記念に1枚!」

「えぇ、もちろん」


 ベリーが写真を撮った。


 それは、好意を確認するようだった。


 会場を出るため、中を歩く。


 片付けられたセットを見て、マリアは思う。


(あぁ……終わったのね)


 マリアはその時確かに、この祭りの終わりを認識した。


「マリア、どうかしましたか?」


 立ち止まったフィリアが問う。


「……いいえ。なんでもないわ」


 かぶりを振った。


「……そうですか。マリア、行きましょう」


 フィリアは手を差し出す。


 マリアが、ゆっくり、その手を取る。


「……えぇ、行きましょう」


 そして、新たなシーンへと、マリアは進んで行った。

★評価、ブックマーク、コメント、レビュー、リアクションお待ちしております。よろしくお願いします。


関係ないんですけど、トゥウェンティーズっいうブランドを見つけて……マリアに似合いそうなんです……是非調べてみてください。淡いピンクのやつとか、緑のやつとかね。いいよね。下のリンクです。

https://x.com/20s_tnewties/status/2005474101444378801?s=46&t=ys_oDGiLIdLy69bO8Z7sFA

https://x.com/20s_tnewties/status/2005609996877258959?s=46&t=ys_oDGiLIdLy69bO8Z7sFA

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