第15話 夏休み明け、写真部大会
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夏休み明け。
ベリーとマリアは、学校で再会する。
「マリアちゃーん!久しぶり☆」
ベリーはいつものように、ウィンクしながら言った。
「あら……?リヒトさんは、もういいの?」
マリアは問う。その視線は、外された、歪なぬいぐるみのあった位置に向いていた。
「あー……別れた!!」
「!!ふふ、あ、そう。それは良い事ね」
マリアは思わず口が滑って、口を抑える。ベリーは驚いたが、すぐ笑った。
「ふふ、ごめんなさい。つい」
「ふ、はは!も〜☆マリアちゃんったら!」
ベリーはマリアを小突く。マリアはうふうふと笑っていた。
それを教室の端で聞いていたリヒトの羞恥と言えば、筆舌に尽くし難かった。
「〜〜っ!!!」
リヒトは真っ赤になって、教室を早足で出ていく。笑い声が、背中に突き刺さった。
マリアはそれを見て、目を細めた。
「あら……聞こえちゃったかしら」
心底愉悦という顔で、笑う。
フィリアも、思わずと言った風に笑った。
「ふふ、良かったですね、マリア」
「えぇ、本当に」
そこは、楽園だった。
「今日からまた、ご飯一緒に食べてもいい〜?」
手を合わせて、片目を閉じてお願いする。
「えぇ、勿論よ。歓迎するわ」
マリアは手を差し出す。
ベリーはキョトン、とした。
そして、笑顔でその手を取った。
「うん!!」
その顔に、曇りはなかった。
〜〜〜
それからは、変わらない日常が訪れた。
当たり前のように笑い、当たり前のようの話す。
ベリーは写真を撮って、Lumiに上げる。
花火も見に行ったし、海にも行った。夏休みに出来なかったことを取り戻すように。
ベリーは心底幸せだった。隣で話すマリアを見て、思う。
(あぁ、やっぱり───────)
自分は、マリアの隣がいい。そう確信した。
〜〜~
季節は巡り、夏の熱を置き去りにして、秋になる。
秋には写真部の大会があった。
テーマは───────『光のあと』
写真部の5人は、これに沿った写真を撮ることになった。
部室で5人は集まる。
「じゃあ、今回は何を撮りましょうか」
フィリアが進行をする。
各々意見を述べては、まとまらないまま、方向性だけを探る。
ベリーは窓の外、軽く色付いた木々を眺める。
(光か……)
そんなの、言わなくても決まっている。
ずっと前から、撮り続けているのだから。
ベリーは撮るものを決めた。
「ねぇ、マリアちゃん」
「なぁに?」
「……君のカウチチェア、撮ってもいい?」
「!!!」
一同は驚愕した。
「なるほど、そうするか」
「ふふ、面白い……」
「へぇ、いいね」
皆納得したように笑う。
「……えぇ、いいわよ」
マリアは満足げに微笑んだ。ベリーも微笑む。
「ありがと」
そう言葉を落とした。
フィリアもまた、教会で清掃をしながら、考えていた。
光────────神だろうか。
聖像を見上げる。
ステンドグラス越しの光を受けて、聖像は沈黙のまま輝いていた。光のあと、というには些か眩しい。
(……やはり、夜の聖像ですかね)
フィリアも撮るものを決めた。
凛はというと。
光のあと、ということは一番輝いていたものがあった所を、撮るわけだ。
そうなると、必然的に彼の足は、そこへ向かっていた。
────────グラウンド。
あの日の輝きが忘れられないのだ。
太陽の熱。勝利の栄光。体の疲労感。自分が役に立った、という確信。
全部が、忘れられないほど甘美だった。
ゴールテープがあった場所。白線は消えかけている。
パシャリ。
彼は、それを撮った。
ケイネラはというと。
(……困ったなぁ、決まらない)
かなり悩んでいた。
日常は甘やかだったが、眩い光を見たという感覚は薄かった。
しかしこれは、これから輝く証だと信じて。
「……よし」
彼だけは、『光のあと』ではなく、『光が、これから出るかもしれない場所』を撮ることにした。
提出の日。
「マリアは、何を撮ったのです?」
フィリアが興味深そうに、マリアに問う。
他の3人も、興味津々だ。
「ふふ、飾った時に教えてあげる」
だが、マリアはまだ明かさなかった。
「そうですか」
その勿体ぶりに、フィリアは満足そうに微笑む。
そして、大会後。エデンの旧館と本館を繋ぐ渡り廊下に、写真は飾られた。
5人はそれを見に行く。
旧館側から見た。
まずあったのは、凛の作品。
白線が消えかけた、グラウンドの写真である。
マリアはそれを一目見て、理解した。あの日のことを指しているのだと。
凛を見る。……凛もマリアを見ていた。
2人は微笑みあった。
次に、フィリアの作品。
夜の聖像だ。
どこか恐ろしく、しかし確かに光のあったあと。底知れない雰囲気がフィリアと似ていた。
そして────────マリア。
「これは……部室ですね」
「そうよ」
部室だ。夕暮れ、部活が終わった後に撮ったらしい。
「説明を聞いても?」
「特別よ。……貴方達がいると、明るくなるから」
「……そういうことですか」
フィリアは納得した。同時に、嬉しかった。言外に、マリアにとっての光は4人だと言っているのである。そんな言い方はマリアはしないが。
それが分かった他の3人も、胸が温かくなった。
誰からともなく、写真ではなく、マリア本人を見る視線が増えた。
次に、ケイネラ。
「あら?これって……」
「えぇ……」
それは──────部室であった。
「光のあとっていうのが思いつかなかったから。光が生まれそうなところにしたんだ」
「なるほど……」
興味深かった。彼は部室を、光の生まれる場所だと認識しているらしい。
「ふふ、被ったわね」
「僕達は気が合うからね」
2人はクスクス笑った。信頼の証だった。
そして、ベリー。
写真の中央に、堂々と在るカウチチェア。
圧巻である。
上手く撮ってある。カウチチェアの堂々たる姿を最大限に引き出した写真だ。流石Luminer。
「……結局、これが最優秀賞を取ったのよね」
「えぇ」
そう、ベリーの写真が最優秀賞だった。
「マリアちゃんの輝きは、全世界共通だから!」
ベリーはピースをした。
「ボクはそれを世界に発信する役割なんだよ☆」
(誰よりも近くで見て、誰よりも触れられないから)
ウィンクする。マリアは笑った。
「っ、はは」
フィリアが可笑しいと言った風に笑い声をあげる。
「どうかした?」
ベリーはフィリアを見る。
「いえ……ただ。美しい人には、それを広める広報役が必然とつくものなのだと、思っただけです」
「ふふ、そうだね〜笑」
美しいものは、広めないと気が収まらない。そういう人は一定数いるものだ。
「これからも、よろしく頼むわよ」
マリアはベリーの頬をつつく。
「うん、任せて!!」
ベリーは、太陽のように笑った。
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写真の順番は、撮った人の心の立つ時間軸順です。凛は過去、フィリアは過去と永遠の間、マリアは現在、ケイネラは未来、ベリーも未来。




