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マリア・ファムファタールの楽園(エデン)  作者: 砂之寒天
1年生

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15/25

第15話 夏休み明け、写真部大会

https://kakuyomu.jp/works/822139841956638962

カクヨムにも投稿しております!応援よろしくお願いします。


なんと、嬉しいことに感想、レビュー、評価、ブックマーク、リアクションというこの世の全てをいただき、大変感謝感激雨あられでございます。ありがとうございます。頑張ります!(無理せず)

 夏休み明け。

 ベリーとマリアは、学校で再会する。


「マリアちゃーん!久しぶり☆」


 ベリーはいつものように、ウィンクしながら言った。


「あら……?リヒトさんは、もういいの?」


 マリアは問う。その視線は、外された、歪なぬいぐるみのあった位置に向いていた。


「あー……別れた!!」

「!!ふふ、あ、そう。それは良い事ね」


 マリアは思わず口が滑って、口を抑える。ベリーは驚いたが、すぐ笑った。


「ふふ、ごめんなさい。つい」

「ふ、はは!も〜☆マリアちゃんったら!」


 ベリーはマリアを小突く。マリアはうふうふと笑っていた。


 それを教室の端で聞いていたリヒトの羞恥と言えば、筆舌に尽くし難かった。


「〜〜っ!!!」


 リヒトは真っ赤になって、教室を早足で出ていく。笑い声が、背中に突き刺さった。


 マリアはそれを見て、目を細めた。


「あら……聞こえちゃったかしら」


 心底愉悦という顔で、笑う。


 フィリアも、思わずと言った風に笑った。


「ふふ、良かったですね、マリア」

「えぇ、本当に」


 そこは、楽園だった。


「今日からまた、ご飯一緒に食べてもいい〜?」


 手を合わせて、片目を閉じてお願いする。


「えぇ、勿論よ。歓迎するわ」


 マリアは手を差し出す。

 ベリーはキョトン、とした。


 そして、笑顔でその手を取った。


「うん!!」


 その顔に、曇りはなかった。


〜〜〜

 それからは、変わらない日常が訪れた。


 当たり前のように笑い、当たり前のようの話す。


 ベリーは写真を撮って、Lumiに上げる。


 花火も見に行ったし、海にも行った。夏休みに出来なかったことを取り戻すように。


 ベリーは心底幸せだった。隣で話すマリアを見て、思う。


(あぁ、やっぱり───────)


 自分は、マリアの隣がいい。そう確信した。


〜〜~


 季節は巡り、夏の熱を置き去りにして、秋になる。


 秋には写真部の大会があった。


 テーマは───────『光のあと』


 写真部の5人は、これに沿った写真を撮ることになった。


 部室で5人は集まる。


「じゃあ、今回は何を撮りましょうか」


 フィリアが進行をする。


 各々意見を述べては、まとまらないまま、方向性だけを探る。


 ベリーは窓の外、軽く色付いた木々を眺める。


(光か……)


 そんなの、言わなくても決まっている。

 ずっと前から、撮り続けているのだから。


 ベリーは撮るものを決めた。


「ねぇ、マリアちゃん」

「なぁに?」

「……君のカウチチェア、撮ってもいい?」

「!!!」


 一同は驚愕した。


「なるほど、そうするか」

「ふふ、面白い……」

「へぇ、いいね」


 皆納得したように笑う。


「……えぇ、いいわよ」


 マリアは満足げに微笑んだ。ベリーも微笑む。


「ありがと」


 そう言葉を落とした。


 フィリアもまた、教会で清掃をしながら、考えていた。


 光────────神だろうか。


 聖像を見上げる。

 ステンドグラス越しの光を受けて、聖像は沈黙のまま輝いていた。光のあと、というには些か眩しい。


(……やはり、夜の聖像ですかね)


 フィリアも撮るものを決めた。


 凛はというと。


 光のあと、ということは一番輝いていたものがあった所を、撮るわけだ。

 そうなると、必然的に彼の足は、そこへ向かっていた。


 ────────グラウンド。


 あの日の輝きが忘れられないのだ。


 太陽の熱。勝利の栄光。体の疲労感。自分が役に立った、という確信。

 全部が、忘れられないほど甘美だった。


 ゴールテープがあった場所。白線は消えかけている。


 パシャリ。


 彼は、それを撮った。


 ケイネラはというと。


(……困ったなぁ、決まらない)


 かなり悩んでいた。


 日常は甘やかだったが、眩い光を見たという感覚は薄かった。


 しかしこれは、これから輝く証だと信じて。


「……よし」


 彼だけは、『光のあと』ではなく、『光が、これから出るかもしれない場所』を撮ることにした。


 提出の日。


「マリアは、何を撮ったのです?」


 フィリアが興味深そうに、マリアに問う。

 他の3人も、興味津々だ。


「ふふ、飾った時に教えてあげる」


 だが、マリアはまだ明かさなかった。


「そうですか」


 その勿体ぶりに、フィリアは満足そうに微笑む。


 そして、大会後。エデンの旧館と本館を繋ぐ渡り廊下に、写真は飾られた。


 5人はそれを見に行く。


 旧館側から見た。


 まずあったのは、凛の作品。


 白線が消えかけた、グラウンドの写真である。


 マリアはそれを一目見て、理解した。あの日のことを指しているのだと。


 凛を見る。……凛もマリアを見ていた。

 2人は微笑みあった。


 次に、フィリアの作品。


 夜の聖像だ。


 どこか恐ろしく、しかし確かに光のあったあと。底知れない雰囲気がフィリアと似ていた。


 そして────────マリア。


「これは……部室ですね」

「そうよ」


 部室だ。夕暮れ、部活が終わった後に撮ったらしい。


「説明を聞いても?」

「特別よ。……貴方達がいると、明るくなるから」

「……そういうことですか」


 フィリアは納得した。同時に、嬉しかった。言外に、マリアにとっての光は4人だと言っているのである。そんな言い方はマリアはしないが。


 それが分かった他の3人も、胸が温かくなった。

 誰からともなく、写真ではなく、マリア本人を見る視線が増えた。


 次に、ケイネラ。


「あら?これって……」

「えぇ……」


 それは──────部室であった。


「光のあとっていうのが思いつかなかったから。光が生まれそうなところにしたんだ」

「なるほど……」


 興味深かった。彼は部室を、光の生まれる場所だと認識しているらしい。


「ふふ、被ったわね」

「僕達は気が合うからね」


 2人はクスクス笑った。信頼の証だった。


 そして、ベリー。


 写真の中央に、堂々と在るカウチチェア。

 圧巻である。


 上手く撮ってある。カウチチェアの堂々たる姿を最大限に引き出した写真だ。流石Luminer。


「……結局、これが最優秀賞を取ったのよね」

「えぇ」


 そう、ベリーの写真が最優秀賞だった。


「マリアちゃんの輝きは、全世界共通だから!」


 ベリーはピースをした。


「ボクはそれを世界に発信する役割なんだよ☆」


(誰よりも近くで見て、誰よりも触れられないから)


 ウィンクする。マリアは笑った。


「っ、はは」


 フィリアが可笑しいと言った風に笑い声をあげる。


「どうかした?」


 ベリーはフィリアを見る。


「いえ……ただ。美しい人には、それを広める広報役が必然とつくものなのだと、思っただけです」

「ふふ、そうだね〜笑」


 美しいものは、広めないと気が収まらない。そういう人は一定数いるものだ。


「これからも、よろしく頼むわよ」


 マリアはベリーの頬をつつく。


「うん、任せて!!」


 ベリーは、太陽のように笑った。

★評価、ブックマーク、コメント、レビュー、リアクションお待ちしております。よろしくお願いします。


写真の順番は、撮った人の心の立つ時間軸順です。凛は過去、フィリアは過去と永遠の間、マリアは現在、ケイネラは未来、ベリーも未来。

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光のあとというけれど、物語の先には何やらデカい闇しか見えんぞ。平穏だけれど、何処となく闇が漏れ出している……
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