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マリア・ファムファタールの楽園(エデン)  作者: 砂之寒天
1年生

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14/24

第14話

 マリアと4人でデートしてからというもの。ベリーはマリアの横顔が忘れられなかった。


(……また眠れなかった)


 今、リヒトと付き合っている自分。マリアに焦がれる自分。その間で揺れ動いてしまって、眠れないのだ。


 リヒトからきたメッセージにも、返せていない。


『ごめん、体調悪いからまた後で返すね!』


 ……それっきりだ。


『大丈夫?』

『心配だよ』

『既読だけでもつけて欲しいな』


 通知から内容を確認した、心配のメッセージ。


 今はそれすら、億劫で。


 早朝。まだ日の登らない時間帯。


(……別れようかな)


 フッと、降ってきたように思いついた。


 そう思った瞬間、荷が降りたように胸のつっかえが取れた。それに気づいてしまったら、もうダメだった。


『大丈夫?部屋行ってもいい?』

『ううん、大丈夫。今から、あそこのベンチで会えない?』


「!!」


 やっとついた既読と返事に、リヒトは安心する。


『大丈夫!先行って待ってるね』


 なんとなく嫌な予感がするが、会えるならなんでもいいか。リヒトはベンチに向かった。


 8月半ばの空気はジメッとしていて、肌に張り付く。

 リヒトは街灯に集まる2匹の蛾を眺めていた。


「おまたせ」

「ベリーくん───────っ、大丈夫?すごい隈」


 顔を見た瞬間、まず心配になった。ベリーの目の下にべっとりとついた隈。少し痩せたか。頬の肉が落ちている。


「どうかしたの」


 リヒトは立ち上がって、ベリーの頬に手を添える。


 ベリーはそっとその手に手を重ねて────────手を、頬から引き離した。


「あのね、話がある」

「……なに?」


 リヒトは眉をひそめ、首を傾げた。


「……ボクと────────別れて欲しい」

「っ、」


 息が詰まる。


「どう、して」

「……マリアが忘れられないんだ」

「……そんな、理由で」


 次の瞬間、リヒトは声を荒らげた。


「私だったら辛い思いはさせない!!!あの女より、隣にいても苦しくならない!!私の何がダメなの!?!?」


 ベリーは慈しむように、目を細める。


「──────眩しいから」

「、」

「マリアは、眩しいんだ。君とは違う。君は、同じ暗闇で生きてくれる人だ。でも、マリアがいい。マリアがいいんだ」


 ベリーはそう言った。

 リヒトは、唇を震わせる。


バチン!!


「最低ッ!!!!」


 リヒトはベリーに張り手をした。

 走って、離れていく。


 頬が痛む。でも、それで良かった。それが良かった。


 朝日がベリーの目を焼く。


 蛾は、もうそこにはいなかった。

★評価、ブックマーク、コメント、レビュー、リアクションお待ちしております。よろしくお願いします。


納得の14話でした。

6話とか見返すと、ほんとベリーって明るいんですよ。リヒトといる時の彼はどこか暗くて、ほんとに胸が痛くなりました。

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― 新着の感想 ―
多分、マリアの声は上田麗奈。……なはず。
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