第14話
マリアと4人でデートしてからというもの。ベリーはマリアの横顔が忘れられなかった。
(……また眠れなかった)
今、リヒトと付き合っている自分。マリアに焦がれる自分。その間で揺れ動いてしまって、眠れないのだ。
リヒトからきたメッセージにも、返せていない。
『ごめん、体調悪いからまた後で返すね!』
……それっきりだ。
『大丈夫?』
『心配だよ』
『既読だけでもつけて欲しいな』
通知から内容を確認した、心配のメッセージ。
今はそれすら、億劫で。
早朝。まだ日の登らない時間帯。
(……別れようかな)
フッと、降ってきたように思いついた。
そう思った瞬間、荷が降りたように胸のつっかえが取れた。それに気づいてしまったら、もうダメだった。
『大丈夫?部屋行ってもいい?』
『ううん、大丈夫。今から、あそこのベンチで会えない?』
「!!」
やっとついた既読と返事に、リヒトは安心する。
『大丈夫!先行って待ってるね』
なんとなく嫌な予感がするが、会えるならなんでもいいか。リヒトはベンチに向かった。
8月半ばの空気はジメッとしていて、肌に張り付く。
リヒトは街灯に集まる2匹の蛾を眺めていた。
「おまたせ」
「ベリーくん───────っ、大丈夫?すごい隈」
顔を見た瞬間、まず心配になった。ベリーの目の下にべっとりとついた隈。少し痩せたか。頬の肉が落ちている。
「どうかしたの」
リヒトは立ち上がって、ベリーの頬に手を添える。
ベリーはそっとその手に手を重ねて────────手を、頬から引き離した。
「あのね、話がある」
「……なに?」
リヒトは眉をひそめ、首を傾げた。
「……ボクと────────別れて欲しい」
「っ、」
息が詰まる。
「どう、して」
「……マリアが忘れられないんだ」
「……そんな、理由で」
次の瞬間、リヒトは声を荒らげた。
「私だったら辛い思いはさせない!!!あの女より、隣にいても苦しくならない!!私の何がダメなの!?!?」
ベリーは慈しむように、目を細める。
「──────眩しいから」
「、」
「マリアは、眩しいんだ。君とは違う。君は、同じ暗闇で生きてくれる人だ。でも、マリアがいい。マリアがいいんだ」
ベリーはそう言った。
リヒトは、唇を震わせる。
バチン!!
「最低ッ!!!!」
リヒトはベリーに張り手をした。
走って、離れていく。
頬が痛む。でも、それで良かった。それが良かった。
朝日がベリーの目を焼く。
蛾は、もうそこにはいなかった。
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納得の14話でした。
6話とか見返すと、ほんとベリーって明るいんですよ。リヒトといる時の彼はどこか暗くて、ほんとに胸が痛くなりました。




