〇始まり
初めまして。翻車魚と申します。
不定期で趣味程度にやっていきます。
ポジティブな意見、ネガティブな意見、大歓迎です。
少しでも記憶に残れば幸いです。
オレの名前は、レオン・アルベール。今日から《アルディア学園》という学校に入学する。
朝の鐘が鳴る音を聞きながら、オレは学園の門を潜った。石造りの校舎は荘厳で、空気そのものが張り詰めている。転入生として、気を引き締めて歩を進める。
受付で入学証を提示すると、担当の女性が微笑んだ。
「レオン・アルベールさんですね。ようこそ《アルディア学園》へ」
「はい。お世話になります」
初対面の相手には礼儀正しく。そう教わった。
オレは綺麗な言葉で丁寧にお辞儀をし、笑顔で挨拶をする。
指定された教室に入ると、十数名の生徒がざわついていた。
一目見て、皆『力』を有しているのが分かる。魔力の質、立ち姿、視線の鋭さ――戦場ではなく、学園という場所にそれがあるのが不思議だった。
「転入生か?」
教壇の前にいた男子がオレを見た。黒髪に鋭い瞳。恐らくクラスの中心人物だ。
「はい。今日からお世話になります」
少し間を置いて、深く頭を下げた。
「へぇ、礼儀正しいな。珍しいタイプだ」
周囲の笑い声が混じった。悪意のようなものを感じ取ったが、ここで反抗すれば始まったばかりの学園生活に支障きたす。
「ありがとうございます。レオン・アルベールといいます。これからよろしくお願いします」
ここでも教えの通り、礼儀正しく振る舞う。するとまた嘲笑う声がきこえ、程なくして授業が始まる鐘が鳴った。
「席に座れ」
講師が入ってくると、空気が一変した。周囲の生徒の視線が一斉に鋭くなる。ただの入学初日だと思っていたが、どうやら自己紹介すらさせてもらえないらしい。
講師が低い声で言う。
「さて――今からこの中で、“実力”のある者を選定する」
「実力……?」
オレは思わず呟いた。
隣の女子が肩をすくめる。
「そう。ここ、《アルディア》はそういう学校よ。力がなきゃ、生き残れない」
その言葉に、胸の奥で何かがわずかに反応した。
“生き残る”。
ずいぶん懐かしい響きだった。
読んでくれて、謝謝っ。




