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日本一のプロゲーマーが異世界転生したら意味わからん強さしてました   作者: Mini
第3章 海底迷宮編

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そんじゃ殺すわ

「素晴らしい!素晴らしい!!!具現化まで体得しているとは……これはこれは予想外!」

ハッキよりも強いと感じてしまうほどの魔力を正人は感じ取った。

(感情によって強さが変わるタイプか?なんにせよ、出方を伺うよりこっちの全力をぶつけてみるとしようか)

発揮に続きスーツ姿との対決……ボスラッシュとも言っていいその戦闘に正人はもう出し惜しみをするのを辞めた。

バチバチと青黒い火花を上げている正人の青い炎の剣。それを見ていたスーツの男は黒縁のメガネをクイッと上げながら舌なめずりをする。

いい獲物を見つけたライオンのごとく、狂気じみた笑顔をこちらに向けていたが、依然として正人は『キモイ』としか思わなかった。

(さっさと、片付けてぇが……意外と強ぇんだよなこいつ)

正人は見ただけでわかっていた。こいつの強さが。感情の起伏で魔力の量も変わるという特殊なやつ……いや、『魔力の特性』なのだろうと。

そしてそのスーツ男は体勢を構え、発した。

「わたくしの名前は『ディール』あなたを殺しにまいりました」

「そうかよ。ならさっさと殺せ───」

瞬間、視界からディールが消え【音もなく】正人の背後をとった。

すぐに正人は振り返りながら剣を振るうが、そこにディールの姿はなく……

「どこを狙っているのですか?」

「……ッ!?」

元の場所に戻り、ニヤリと笑みを浮かべていた。

「気色悪いからやめてくんねーか?その笑い」

「酷いですねぇ……これがわたくしのデフォルトですよ?そっちこそ、失礼な態度をとるのをやめてくださいよ。」

こりゃダメだ。話しても無駄。キリがないというやつだ。

次の瞬間、正人は勢いよく走り出す。その動きを見ていたディールも同様に走り出し、魔術を発動していた。

「『幻夢!』」

迫り来る煙のようなものを青い炎の剣で切裂く。それと同時に、正人は意識を持っていかれそうになる。

(なるほど……幻か……)

構築魔法を一度解き、うちに溜めていた青黒い魔力でそれを無効化させる。

「素晴らしい……本当に素晴らしいですねぇ!」

(魔力総量がわからない。こいつ、自分自ら魔力の制限をしていたのか?)

ディールはそこまで考えたところで軽く手首を振りながらゆっくりと歩く。

その隙だらけな動きに正人は常人なら反応できない速度で接近し、裏をとった。

右手には青い炎の剣。左手をディールに向けて魔法陣を展開させる。

(ここにきて炎以外の術か!?)

ディールでさえも……正人の構築魔法に翻弄されるほどに、成長していた。それは魔力の増大が止まらないせいなのかは分からないが、とにかくディールは今……この段階では炎魔術の最大技を出そうとしていると思っていた。

(本当はもっと後に出したかったんだが、出し惜しみはしないと決めた今……出さない訳にはいかない)

そう……かつてユーノに教えてもらった構築魔法の会話。

『他の術の魔法陣を出しながらっていうフェイクもできるようになるのか』

『まぁそうですね……極めたらの話ですが……』

ずっと正人は構築魔法から術を出すようにしていた。魔力の制限というデメリットを逆に利用し……構築魔法を成長させるために。


その結果……


今のこと形が完成した。


今までずっと、炎魔術を使っていたが──────


「さぁ、次のステージへ行こうか」

バリバリッという青黒い火花を魔法陣から放ち、炎魔術かと思われたその術は……

「まさか!?構築魔法でこのわたくしを……」

「『雷撃よ』」

正人がそう唱えた直後……その魔法陣から勢いよく電撃が走り、そこに正人の得意術である炎魔術を取り入れることで爆発も兼ねた攻撃へと進化していた。

一本道の通路になっていた迷宮はこの階だけでなく上下5階に地震のような揺れが巻き起こる。

バタンッという音がなり……それはディールが両膝を地面に着けていた音だった。

「まさか……この、わたくしが……構築魔法なんかに……」

「いいことを教えてやるよ。使い道にならない雑魚でも極めぬいたらそれは最強にもなりうるとな」

「どうして……」

雷撃のせいかシューッという音をたて、焦げながら言うディールに正人はニヤリと笑みを浮かべながら答える。

「生憎と俺は日本一のプロゲーマーだったもんで」

「……?」

その言葉を聞きながら、ディールは地面へと倒れ……起きてくることはなかった。

「あ、そっか……プロゲーマーも知らねぇのか」

頭を軽く掻きながら少し気まずそうにする正人。

「ま、でも俺もよく逆張って雑魚武器使ってたからな。あながち間違いじゃねぇか」

そう言いながら前方へと視線を向けると……そこには先程のディールのようなスーツではなく、どこかで見た事のある黒いフードを被ったローブ姿の奴らが三人……こちらに近づいてきていた。

「誰だ?」

「まさかディールがこんなに呆気なくやられるとは……」

「でもいいもの見れたよね。使い道のない構築魔法を戦闘で活かしてる人初めて見たよ」

「ハッ……こんな茶番を見るために来たってのかよ俺たちは」

「誰だって聞いてんだ」

正人は右手を軽く前に出し青い炎をボウッと出しながら聞いた。だが、三人の黒い何かは動じずこちらに来るやいなや倒れたディールを抱えてどこかへと消えようとしていた。

「おい、ちょっと待て」

「?」

「んだよ」

「回収しに来ただけだから」

「いやちげぇだろ。俺が返すと思ってんのか?」

「逆になんで帰っちゃダメなの?」

小柄のフード野郎は正人に聞き返した。するとディールを抱えていない者が歩みを止め、振り返る。

「久遠 正人さん」

「……!?」

「君にはお土産を持ってきているんです」

どうして俺の名前を……という言葉が出る前に……敵の足元から魔法陣が出現し、それが何かすぐに分かった。

「……おい、まじかよ」

それは……ユーノと出会う前、フリースペースでの出来事……正人たちを襲ったAランクのつるっぴかの大男がその魔法陣から出てきたのだ。

「俺……を……殺せ……」

前あった時よりも体格はかなりでかくなっている。そして何より人格が変だ。そして三人のフード野郎は一言残して消えていった。

「そんじゃ、あとは頑張ってね」

「……てめぇら……」

なんとなく……分かっていた。前の得体の知れないドラゴンも、この迷宮でユーノ達と離れたのも、全てあの黒い何かのせいだ。その証拠に前に会ったやつと同じ姿をしている。

(間違いないが……まずはこいつを何とかしねぇと……)

「俺を……殺じで……ぐれ」

地面を揺らしながら迫り来る大男をジャンプして避け、そのまま退きながら話しかける。

「お前!あいつらに何をされた!」

「いえ……ない。早く……俺を……」

「お前は誰なんだ!」

「……しら…………ない」

「お前の仲間はどこにいるんだ!」

「全員……殺され……ちまった……」

(クソが、マジで非人道的なことを……)

恐らくディール同様話したら死ぬ呪いを掛けられている。そしてフリースペースでいた仲間たちはあいつらに殺され、こいつは人形として改造された。

一つ一つ……考えただけで腹が立つ。拳を強く握りメキメキと音がなっているのが分かる。そして今、正人は殺す以外のことを考えているが、恐らくそれ以外の解決策はないのだろうと……察していた。

「お願いだ…………俺を……殺してくれ……頼む」

苦しそうにいいながら腕を振り回す大男。全てを避けながらそれでも正人は思考をめぐらせていた。

(何か……なにか無いのか……)

壁を蹴りながら、天井を蹴りながら避ける正人……だが、大男の右の大振りが正人を襲った。

「……ッ───」

地面を擦りながら飛ばされる。

(殺すしか……ないのか……)

正人は人間世界で生まれ育ってきた人間だ。さすがに殺すには抵抗がある。なんども人を殺そうとしたことはあったかもしれない。でも殺すまでにはいたらなかった……。

でも、正人はハッキを焼き殺してしまった。


『人の域を……超えてしまったような気がする』

考えれば考えるほど、何故かどうでも良くなってきて……


正人は右手に青い炎を纏いながらつぶやくようにして言った。

「そんじゃ……殺すわ」

そう言って、勢いよく接近した正人は大男の顔に手をかざして青い炎を全開にした。

苦しみもがきながら戦っていたその体は青い炎によって全身焼かれ……消し炭になっていた。


「また……殺しちまった」

上を見上げながら言う正人……その余韻に浸る暇なく次の行動をしないといけない。

「ユーノはまぁ大丈夫だと思うけど……シーナとミアが心配だな。」

そう言いながら正人は探知魔法を迷宮全体に張り巡らせる。

(違う。これも違う。こいつも違う……いた。あれはシーナか?)

思ったよりも近くにいたらしい。同じ階の階段付近でシーナ指揮人物が魔物と戦っている。

「あのドラゴンと戦ってるのか。すぐ向かおう」

正人はその場を走り抜けて急いでシーナの元へと向かった。



とある場所にて


「これから世界会議が開かれるというのに、風の都、ヒューロンの国王が変わったとはどういう事だ」

「……どうやら息子が国王になったらしいです」

「いかん。ハックはこちらの言うことを全て聞いてくれていたのだ。駒が居なくなっては世界会議でこちらが有利に働かないではないか」

「……今後はどのようなお考えで?」

「決まっておるだろう。ハックの息子を手玉にする」



「久遠正人の行動を監視しておるのか?」

「ええ……立派に強くなっていますよ。これなら意外と早くお会いできそうです」

「彼には少し辛いことをさせてしまう。」

「わかっていますよ。その為に我々がいるのです」

黒いフードを外し、正人が映っている丸い水晶を見る誰か。

すると後ろから三人のフードを被ったもの達が魔法陣から姿を現す。

「帰ってきたか」

「ディールはこんな有様だ。これは想定外じゃないですか?」

「いいや想定内ですよ。彼は僕たちが思っているよりずっと強い。だからこそ目をつけているのです。」

「あいつ殺さねぇのかよ?」

「ダメですよ。彼は僕たちの希望にもなりうる存在です」

「ハッ……Sランクが言うセリフじゃねぇな」

「僕は今やSランクではないですよ……力が封印されていますからね。だからこそ彼が必要なんです。楽しみにしていますよ。久遠正人……」

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