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日本一のプロゲーマーが異世界転生したら意味わからん強さしてました   作者: Mini
第3章 海底迷宮編

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狂ってやがる

ユーノ、シーナ、ミアの三人は一本道の通路を走り抜け、道中にあった小さめな部屋の中へとはいる。そこは少しだけ薄暗く、奇妙な雰囲気が漂っていたが……そんなの、今の三人にとってはどうでもよかった。

「なんで……逃げる判断をしたのよ。ユーノ」

「……」

「なんで……正人と一緒に戦わなかったのよ」

「……」

「なんで!?」

顔を背け黙り続けるユーノにシーナは怒りを覚えて思わず胸ぐらを掴む。

「……シーちゃん」

ミアはその様子を見ることしか出来なかった。

胸ぐらをつかみながら話し続けるシーナ……そしてユーノは無反応を貫いていた。だが……掴んでいた胸ぐらの手にポタポタと水滴のようなものが垂れ、その音でユーノは顔を上げた。

「……!?」

シーナは泣いていた。胸ぐらを掴まれていて水滴が垂れる感触はない。ただ……水滴音と、シーナの鼻を啜る音がこの薄気味悪い部屋に響き渡る。

「なんとか言ったらどうなのよ!!あんたは、正人を見捨てたの?何か策があって───」


策……そんなもの、あるはずが無かった。


あるんだったら最初から僕も戦ってた。でも、今の僕じゃせいぜい足を止める程度しか出来なかっただろう。僕の魔法の特性に反応しなかったってことは、僕より強いという証明になってしまう。


だから僕は、この選択肢しか出来なかった。


目が合ったシーナとユーノ。ユーノは再度、目を逸らしながら言う。

「僕だって……僕だって出来ることなら戦いたかった」

「だったら……」

「でもダメなんです!」

「「……!?」」

「今の僕達じゃ、あの人達に勝てない。戦ったところで負けることはなくても絶対に痛手を負ってしまう。」

そう……ユーノだけならまだしも後ろにシーナとミアが居た。足でまといなんかではなく、今の彼女達が戦えば圧倒されるだけ。

「黄緑色の中年冒険者……きっとリーダーなのでしょうね。強さのオーラが桁違いでした。」

悔しがるように、ユーノは拳を握りしめながら言った。その言葉を聞いてシーナは理解できたのか掴んでいた手を離した。

「ごめんなさい……少し、やりすぎたわ」

「いえ、シーナさんは悪くないです。悪いのは、僕が力不足だったのがいけないので……」


本心だ。紛れもない本心。悔しい。僕も戦いたかった。どうして……どうして──────


「正人さんを……助けに行きませんか?」

「え?」

「ミア?」

その言葉に二人は目を見開く。ミアはそのまま続けて話した。

「今の正人さんの実力なら、あの冒険者とも戦えるかもしれない。勝てるかもしれない。でも、それじゃあ私たちは逃げることしか出来ないじゃないですか。ここから先、もっともっと強い人達と遭遇した時、また正人さんに任せるのですか?」

「……!?」

「私は、ここで戻らないと……自分の成長が止まってしまうんじゃないかと思っています。」

「……」

「私も、ミアの意見に賛成よ。私たちは正人のサポートに徹すればいいじゃない」

二人の言う通りだ。僕もそう思うし、そう思ってた……。けど、正人さんはもう……

しばらく沈黙が続き、ユーノは軽く深呼吸をする。

「分かりました。行きましょう。僕達は流星の魔術団……パーティメンバーですからね」

「そう来なくちゃ!」

「ユーノさん……」

ユーノの言葉に二人は微笑した。

「ですが……戦闘においてはですけど、正人さんは『別人』だと思った方が良いですよ。」

「別人?」

「ユーノさん、それはどういう事ですか?」

「……正人さんは──────」



「残りはお前らだけだぞ?さて、どうやって戦おうか」

「こいつ、戦いを……楽しんでやがる!?」

「イカれてるだろ……」

正人は残った二人の敵パーティに向かってそう言い放ち、両手を使って青い炎の槍を生成して……それを放つ。

(やべぇ!?)

ライム色の髪の毛のパーティリーダーはその異常な魔力量を察知してすかさず前に出てその槍を弾こうと剣を抜いた。

剣に風と水を纏う。風で青い炎を飛ばし、水で威力を軽減させる……といっても、こんなの軽減できたうちに入らない。

(上に飛ばせねぇ……このままじゃおじゃんだ)

そう悟った敵リーダーはすかさず防魔術を展開し、その直後……青い炎で創った槍は勢いよく爆発した。


ボンッ──────


土煙がはれ、円型の防魔術を視界に捉える正人。

バキバキッと言う音が鳴り響き、次第にその防魔術は破壊される。

「剣士だと思ったが、魔法と剣士の二刀流か」

「こりゃやばかったぜ……お前やるな」

もう一人のパーティメンバーは圧倒された力の前で失神し、残されたのは正人とこの男……

「俺ァ『ハッキ』今からてめぇを殺す名だ」

そう言って深く腰を落として剣を抜く構えをとった。

正人は軽く頭を掻いて……

(ハッキだとかハックだとか……似たような名前しやがって)

心の中で呟いて構えを取る。


そしてその次の瞬間──────


ダンッという音と、走り出した瞬間の風が通路全体に広がる。

振りかざされる剣……正人はそれを避け左手で青い炎を放出。

「なんだその攻撃は……動きが単調すぎるんだよ!」

「……!?」

(動きがさらに加速!?)

ハッキのスピードに正人驚くが順応に対応していく。

右手で青い炎の鞭を壁に伸ばして宙へ浮き、左手で魔力を込めながら勢いよく接近……

「……まだまだあめぇな」

「……ッ」

接近した正人に反応してハッキも走り出し魔術で強化された剣を振りかざした。

(それも想定してたっつーの)

左手で込めた魔力を青い炎に変換して発動するが……ガシッとその左手を掴まれてしまう。

「だから言ったろ?あめぇって……」

(こいつ、最初から俺の動きを誘ってやがったのか)


左手を掴んでニヤつくハッキ……勝ちを確信したような笑みを浮かべながら……

「死ね」


だが……その剣は振り下ろされることはなかった。

「なんだ……これ!?」

ハッキの体が一歩も動かない。というより動かせれないというのが正しいか。正人はその様子を見ながら魔力を解いた。

すると次第に、青い炎の鞭が通路全体に見え、ハッキの体にも巻き付かれていた。

「鞭……?」

そしてハッキは気づいた。

「てめぇまさか……鞭を使って飛んだ時に仕込んでやがったのか」

「そうだ。左手に魔力を溜め込めばお前はそっちに目がいくと思ったんだ。まんまと引っかかってくれて助かったよ」

分かりやすく頭上に飛んだのもそのせいだ。顔を上にあげさせ正人の左手に注目させる。そうすることで正人は右手で四方八方に青い炎の鞭をばら撒きハッキの体に巻き付かせたのだ。

だがしかし……

「どうやってそんな技量が……」

ハッキの問いに正人は答える。

「構築魔法だ」

「構築魔法だと!?」

「俺のこの青い炎も全て、構築魔法でできている。魔術を発動した時に必ず出る魔法陣……俺はそれがない」

「……なんだよ……それ」

確かに、こいつからは魔法陣は出ていない。そんなこと……有り得るのか?全て、今の戦闘全てが構築魔法なんてことが……

「信じてねぇ顔だな。まぁこの青い炎も威力はまだまだだし全然未完成だけど……」

そう言いながら拘束されているハッキの元へと近づき、正人はその体に触れる。

「やめろ!何をする気だ……俺は海底の都に用があって……」

「悪いが、それは俺らも同じなんだ。次の機会にしてくれ」

「……や、やめろ!」

命乞いをするハッキに対して正人はニヤリと笑みを浮かべる。

「……ヒッ」

その顔はまるで悪い顔を企んでいるような顔で、不気味な笑みをしていた。

(こいつ……狂ってやがる)

「そんじゃ土産に、ちゃんとした炎魔術でお前を入口に送り返してやる」

正人はハッキの体に手をかざし、一気に魔力が開放されるように青黒い魔力がバチバチと火花を上げて魔法陣が手のひらから展開され……

「た、頼む……やめてくれ!やめ────」

その言葉を最後まで聞くことなく、正人は青い炎で一気に燃やし尽くした。

構築魔法を解除し、威力を抑える事なく放たれた炎魔術……辺り一面に熱気と暴風が舞う。

軽くため息をつき、その意気は少しだけ……青い炎が出ていたような気がする。

「……まーじ死ぬかと思った」

勝負に勝って正人は安堵していた。

「それじゃ、俺も先に進んで皆と合流するかな」

独り言ちながら振り返ると……そこにはいるはずの無い仲間がいて、正人を見て少し怖がっていた。

「……正人さん」

「あんた……なんて強さしてるのよ」

「……最後のが、構築魔法を挟まずに出した魔術ですか……」

「いたのか……お前ら。」

別に見られて困ることはないが、何故かいけないようなことをした気分に陥った。

そのまま正人は視線を空に彷徨わせて肩をすくめる。

「まだまだ先は長い。急ごう。」

「え、ええ……そうね」

「分かりました。」

「ちょっと待ってください」

正人の言葉にシーナとミアが頷き歩みを進めようとしたところでユーノが引き止める。

「……どした?」

「なんかあった?」

「……」

「いや、いやいやいや……今の戦闘、全部見ていたわけじゃありませんがあまりにもおかしくないですか?」

ユーノはシーナとミアに訴えかけるように言った。

「それに正人さん、あなたの魔力は日に日に膨張するように大きくなっています。これ以上増えたらいずれ……魔力に呑み込まれることになりますよ!?」

「「……」」

シーナとミアは先程の会話でユーノから聞いていた。でも、二人は正人に言おうともしなかった。隠すように……見て見ぬふりをしようとした。

「まぁ、俺も何となくわかってるけど……魔力が勝手に増えるんじゃ解決策がないだろ」

正人は振り返りながらそう口にした。

正人の言っていることは正しい。

魔力を使って消耗するのではなく増えているのか。

はたまた──────

「ほら、行くぞ。ユーノ」

「……分かりました。すみません」

ユーノは弱々しい声になりながら言って歩みを進めた。

前方にユーノと正人、後方にミアとシーナ。

シーナは正人を見ながら考え込む仕草をとっていた。

(確かに、正人の戦闘技術も魔力量も、威力も桁違い。成長速度は並大抵の人ではありえない。恐ろしいとも感じてしまうわ)

(正人さん……心配です)

シーナだけじゃなくミアも正人を見て心配していた。

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